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小説「笑う門には福来る」

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毎週日曜更新。日々退屈で憂鬱なアナタに心ほぐれるギャグをお届け!寝ても覚めてもふざけ倒す主人公(12)が巻き起こすドタバタ日常劇(全23話)です。
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2023年10月の記事一覧

笑う門には福来る 第5話 相手のないケンカはできぬ

笑う門には福来る 第5話 相手のないケンカはできぬ

 一時間目のチャイムが鳴る前——。
 先生はまだ来ていない。茂は我が物顔で教卓の前に立つ。
「えー、お天気です。今日は台風の影響により、午前中は大雨暴風に見舞われるでしょう。午後には火事・地震が起こり、夜には隕石が降ると思われます」
「この世の終わりじゃん!」石川がつっこむ。
「お次はエンタメコーナー! キラン! 話題の原作、ついに映画化です」
 チャイムが鳴るも、当然のように茂は席につかない。一

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笑う門には福来る          第4話 志は木の葉に包む

笑う門には福来る          第4話 志は木の葉に包む

 藤原家の末っ子、小春はいつもより早く目が覚めた。弾んだ足でリビングへ向かうと、兄たちの姿はなかった。席につけば、母が朝ごはんを用意してくれる。
「おはようハル、早いね」
「うん! だってきょう、『たんじょうび』だもん!」
「おめでとう。またお姉さんになったね。何が欲しい?」
「スマホ!」
「それはまだ早いかな」
「えー、みんなもってるのに!」
 兄たちにはあるのに自分にはない。それが不服だった。

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笑う門には福来る          第3話 惚れた病に薬なし

笑う門には福来る          第3話 惚れた病に薬なし

 南雲は藤原家に向かいながら、茂の親がどんな人かを想像していた。家庭訪問である。あれほど明るい子なら、きっと父か母が陽気な人なのだろう。どちらが出迎えるかとドキドキしながらインターホンを押すと、出てきたのは青年だった。聞くところによると、母が仕事のため早めに学校を切り上げたという。
 リビングに入ると、左手にはボードとカレンダーが壁にかかり、その下には整頓された封筒や、ファイリングされた書類が棚に

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笑う門には福来る 第2話 ツッコミストに休みなし

笑う門には福来る 第2話 ツッコミストに休みなし

 茂の担任である南雲は、放課後の職員室でため息をついていた。ここ一週間、茂に振り回されっぱなしなのだ。南雲が授業を始めようと教室に入れば——。
「はーい、お兄さんちょっと止まって」
「何だよ?」
「思い切り息を吐いてください。あらお兄さん、飲んでますね」
「酒気帯び運転どころか徒歩だわ!」
 さらにクラスメイトも便乗してくるからタチが悪い。
「公務員なのに朝からお酒?」
「クビになっちゃうよー」

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笑う門には福来る    第1話 急がば回れ

笑う門には福来る    第1話 急がば回れ

 茂には、三人の兄と一人の妹がいる。茂は長男と同じ部屋であった。朝目を覚ますと、隣に敷いてあった布団は片付けられている。シャーっとカーテンを開ければ、日光が部屋を照らす。ひと月前まで新鮮だった窓の景色は、日常の一部となった。

 藤原一家は引っ越したばかりである。茂は鼻歌を歌いながら、真新しい階段を降りた。
 妹の部屋の扉をノックして、そっと開ける。手をマイクに見立て、小声で足を踏み入れた。末っ子

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