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出世よりも徳を積んでおきたい私

主君を真のトップに押し上げると、あっさり地位や財産を手放して新天地に移り、確かな戦略でくり返し成功をおさめた范蠡。卓越した人物眼、苦労をいとわぬ忍耐力、同僚や家族を大切にする優しさ、どれをとっても見事です。その范蠡が持たなかった、あるいは遠ざけていたものを挙げるなら、それはナンバー1になる野心ではなかったでしょうか。そしてそれこそが、よきナンバー2の条件のように思えてなりません。

このシリーズは密かに楽しみにして読んでいるのですが、中国の古典は本当に示唆深いなと思います。

今回のテーマはナンバー2の条件

ではありますが、部下としての心得としてもとても大切だなぁと思います。

今回の話の主人公は、中国・春秋時代(紀元前770年~同403年)の終わりを生きた范蠡(はんれい)です。結構、凄い決断をされているなと思います。

覇者となった勾践のもとで上将軍と称するまでに出世した范蠡ですが、越の国に戻ると勾践あてに書をしたためて辞職を願い出ます。呉への復讐(ふくしゅう)が成就し、勾践の屈辱を晴らせたことが表向きの理由ですが、内心で「名を遂げた主君のもとに長くいるのは危ないものだ」と考えていました。

ということで、物凄い地位を約束されていたものの、その地位を投げうってある意味逃げるように国を去るという話。

私自身、トップになりたいという感覚はあまりなく、自分を活かしてやりがいある仕事をしたいと思う気持ちが強いので、この范蠡(はんれい)の感覚分からないでもないんです。

そしてトップの心変わりはそれはそれは怖いとよく知っています。私自身少なからず諫言はした経験がこれまであります。その行動が響かなかったことが現職に転職するキッカケともなったわけなのですが、、、

でもそうした行動の根底にも別にその人を押しのけてトップになりたいって気持ちがあった訳ではないのですが、そうは取られなかったんだろうなぁと思っています。

だから今はロンドンにいる上司にはなるべく安心していて貰えるように、小まめに連絡を取ったり、週一で1on1をしたりしていますし、日本チームには可能な限りの情報提供をしています。

前職での私の行動に対しての悔いは全く残っていなくて、あの経験はとても良かったと思っています。トップのためにしっかりと働きはするものの、自分の身の振り方は自分で決することの大切さを実地で学ぶことができたからです。

それ以来、社内の方々はもちろんのこと、社外の方とのやりとりもとても大切にできるようになったと感じています。自分の居場所を見つける一環としてnoteを書いたり、Twitterしたり、自分の考えを発信することも自然と出来るようになったと感じています。

出世したいという感覚は全くないものの、自分に積む徳みたいなものは可能な限り積んでおきたいなぁとは思っています。会社内だけで通用するものではなく、広く世界に通用するようなものが欲しいと思っています。


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黒坂宗久(黒坂図書館 館長)
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