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エッセイ:ぜんぶ

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愛犬の話、ニューヨークの話、ランニングの話などなど、その時々の気になったことをつらづらと書いています。
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#ニューヨーク

あれこれ考えず、とにかく、遊べ

6月といえば、くるみ(愛犬)が生まれた月。 でも、くるみは保護犬なので、いつ、どこで生まれたかは謎。 私と出会った8月24日の方が、記念日としてしっくりくる。 ※3年前のくるみと私の成長期はこちらから↓ それはさておき、くるみは今月3歳になる。人間の年齢では28歳ぐらいだそうだ。あの、からだは超小粒なのに、怪獣の子供か?!ってぐらいお転婆で怖いもの知らずの仔犬だったのに、すっかり、お姉さんって年齢じゃないか。確かに、最近は、誰彼かわまず、飛びついたり、犬同士で、はしゃぎまく

知らない人なのに、通じる。

嶋津さん、お手紙ありがとうございます。 きっと、嶋津さんは、私の心象風景が見えるのですね。たくさんの言葉を羅列しても理解されないこともあれば、限られた言葉の中に真実を見つけてくれる人もいる。私の心に雨が降ったら、多分、貴方はそれに気づき、傘を差し出してくれる人かもしれませんね。 素敵な解説、そして、感想、ありがとうございます。 今日のニューヨークは、霙雨だけど、心に虹がかかりました。

レースって、走れたら良いだけじゃなかったんだ。

9ヶ月ぶりに、リアルレースに出た。セントラルパーク4マイルレース。 2ヶ月前ぐらいから、NYC最大のレース主催団体NYRRが、試験的にレースを開催し始め、これはその第五弾。 以前は毎週5000人程度の規模で開催されていたレースが、今は300人程度に縮小。コラールも1つで、30分毎に振り分けられたスタート時間15分前程度に、検温と質問を受けた後、入る。そこでも、ランナーは前後2メートルのソーシャルディスタンスで並び、スタートは2名づつ、10秒おき。マスクは、オールタイム着用

優しいわんこ

ママちゃんは、絶対、僕を叱らない。 僕が、絨毯の上に粗相をしても、ご飯を食べこぼしても、おやつをがっついて、ママちゃんの指を間違って噛んでも、ママちゃんは、絶対、叱らない。 仕事で忙しい最中や夜中、僕が徘徊老犬になって、ママちゃんを困らせても、ママちゃんは怒らない。 ただ、その度に僕を抱っこして、「大丈夫、心配いらないよ。」と、撫でるんだ。そして、「きっと、次は上手に出来るよ。」って、言ってくれる。その言葉は、僕に自信と勇気を与えてくれる。だから、もうちょっと、頑張れる

Autumn in Central Park

朝、いつも通り、セントラルパークへ走りに行った。 数マイルで、急に差込みが痛くなり、公衆トイレに駆け込んだ。新型コロナ時期だから、いつもサニタイザーを持ち歩いている。便座をサニタイザーで拭いたり、色々、注意をしながら用を足すのは時間と手間がかかる。いい感じのペースで走っていたのに、気が削がれた気分で、トイレから出ると、そこは、秋真っ只中のセントラルパークだった。 走っていた時も、気づいていたと思っていた。だけど、流れる景色と、止まって眺める景色は、こんなにも違う。 今日

葉っぱが、ただ枝から離れて落ちるだけなのに。

今朝もセントラルパークへ走りに行った。 新型コロナパンデミックで、3月半ばから、自宅勤務になった。通勤時間がなくなり、朝から走れる環境になった。愛犬コーディと一緒に過ごす時間も増えた。だけど、良い事ばかりではない。 今、ニューヨークは息も絶え絶えだ。経済も文化が衰退していく代りに犯罪率は上昇。街を歩くだけで、緊張を強いられる。 そんな中、セントラルパークは、例年通り、秋を迎えた。 1周6マイル(10キロ弱)のループをゆっくりジョグする。木々が随分、色づいたなぁ、と思う

「短編小説?」僕の不自由な生活

最近、頭の中が、ぼやっとすることが多い。 それなのに、寝ていると、たくさん夢を見る。その夢は、実際にあったことなのか、それとも、単なる夢なのか定かではない。 僕の名前はコーディ。人間が称するところでは、”犬”である。 生まれた場所は、テネシー。気が付いた時には、僕には、人間のママがいた。ママはとっても優しくって、僕が色んなイタズラをしても、「ダメ!」と怖い顔を作って叱るけど、心の中では、笑っていた。だけど、”噛む”行為だけは、「絶対、ダメ!」と、心の底から、僕に伝えてい

かつて、ここにはマンハッタンという世界一の都市が存在していたんだって。

NYCマンハッタンの空き部屋率が最高値となったらしい。 今年3月半ばから、新型コロナウィルス パンデミックで、ロックダウンとなったこの街。ロックダウン解除と共に、息を吹き返そうとした矢先、Black Lives Matter運動が起こり、それに便乗した暴動で、街が破壊された。 今、世界の中心地とも言われるタイムズスクエア、ロックフェラーセンター、そして、5番街は、ビジネスマンや旅行者の数より、ホームレスやジャンキー達がうろつき、荒廃した雰囲気だ。かつての鼻に付くほどの煌び

あなたは、なぜ、歌う?踊る?奏でる?

私はアーティストではない。 でも、ニューヨークシティに住んでいる。 アメリカ生まれでもなく、会社の命令で来たわけでもなく、社会人になってから、自分の意志でこの街に住もうと決めた。もう、かれこれ20年以上前のことだ。 ニューヨークに憧れて住もうと決めた人たちの中には、ダンサーや音楽関係者、映像や絵、ファッション等に強い興味を持っている、所謂、アーティストが多い。 でも、私は違った。日本では旅行会社に勤めていた一般OL(表現、古っ!)、別に何か特別の能力や才能があるわけで

”老いる”こと。

うちには、3年半前にアダプトしたコーディというシニア犬がいる。 里親募集では8歳という触れ込みだったが、アダプト後、動物病院でX線検査をした際、「この骨の状態だと、もっと歳でしょうね。」と言われた。 つまり、年齢詐称犬である。 でも、現実として、10歳を越えた犬は引き取り手がぐんと減る。その上、当時、コーディは、皮膚病で顔以外の毛は禿げ状態。過去に事故に遭ったと思われ、軽いびっこ持ち。どう考えても、貰い手が殺到しそうにはない。 きっと、コーディをボランティアでケアした

大きな乾杯、小さな乾杯

抗がん剤は投与2日目から、どーんとくる。 全身の毛細血管まで渡り切った抗がん剤が、私のがん細胞と戦う。その戦いは熾烈で、健康な細胞達も巻き添えを食う。 だから、身体が動けなくなる。気持ちが悪くなる。目も霞む。 私は、傷を癒す野生動物の様に身体を丸め、戦いが終わるのをじっと待つ。 1週間程で、戦いは終焉し、私の身体は必死で細胞の修復作業にかかる。徐々に身体は、元気を取り戻し、普通に過ごせる週がやってきて、そして、また抗がん剤投与が始まる。それを3週間に1回、合計6回が私