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小池都知事の言う東京大改革の一丁目一番地は情報公開じゃなかったの?

ーそれなら東京52区市町村の首長から出された要請文を公開しろー

 2024年6月12日に小池都知事が都知事選の出馬を正式に表明しました。小池都知事は現職にもかかわらず、なかなか都議選の出馬を表明しなかったためか、いろいろな人々が小池都知事に対し都知事選に出馬するように働きかけをした旨が報じられました。その中に、東京都にある52の市長、区長、町長、村長から都知事選に出馬するようにとの趣旨の要請文が都庁内で渡されたことが5月28日に各マスコミによって報道されました。注1
 
 東京都には23の区、26の市、5つの町、8つの村、合計で62の市区町村があります。その中で大多数の52の市長、区長、町長、村長が小池都知事に対し、再出馬を要請した。そのこと自体、ニュースバリューがありますから、各マスコミがこぞって報道したことは分かります。

 また、東京都に住む一有権者として、現職の小池都知事のどの政策などを評価して52の区市町村の首長が都知事選に出馬するように要請したのか中身を知ることは2024年7月7日の都知事選挙の投票に欠かせない重要ポイントと考えて、以下の内容で東京都に対し情報公開請求をしました。請求件名は以下の通りです。

2024年5月28日に各マスコミで報道された都内52市区町村長が連名した小池都知事への立候補要請文に関して

・上記要請文及び庁内の処理状況が分かる文書
・上記要請文を提出にあたってのアポイントメント要請文及び東京都の回答が分かる文書
・上記要請を受け取る際の都庁の部屋の予約状況が分かる文書
・上記要請を受け取る際のプレスリリース文、記者会見部屋の予約状況及び記者の質問内容が分かる文書及び取材記者一覧(注2)

 一番最初の請求が52の区市町村の首長が出したとされる都知事への立候補要請文の原文。そして、その原文を東京都の都庁内でどのように処理をしたか。
 次の請求は6月6日から6月21日まで16日間の会期で2024年第2回東京都議会が開催される前の東京都知事として忙しいと思われる時期に、各マスコミで要請文を手渡したとされる瑞穂町長の杉浦裕之氏、新宿区長の吉住健一氏、調子市長の長友貴樹氏が事前のアポイントも取らずに要請文を持っていき、都知事がいくら現職の各首長とは言え、その場で直接要請文を受け取るようなことがありうるのか。事前に日程の調整をメールなどで行っているのではないか。
 3番目の請求は現職の首長が東京都知事選の出馬要請文を持ってくるのに、まさか廊下で受け取って立ち話というわけないだろう。報道を見る限りきちんとした部屋で要請文を受け取って、そこで懇談をしたらしいことがうかがえる。それならその部屋の予約関係の資料が東京都に保存されていてもおかしくないな。
 最後の請求は現職の首長が要請文を渡している様子を写真で報道しているマスコミもある(注3)。それならば、現職の首長が要請文を渡しに来ますという旨のマスコミ向けのプレスリリースと現職の首長がどういう理由で小池都知事に対して立候補を要請したのかを話すための記者会見の部屋の予約状況が記録された紙があってもおかしくないな。
 現職の首長が小池都知事の政策のどの部分を評価しているかを各マスコミ記者が取材をする際にあらかじめ、取材受付をしていてもおかしくないし、どういう質問があったかのメモも保存されている可能性はあるだろう。

 このように、情報公開請求をした意図を書いておくと、各情報公開の件名は個人的な空想や妄想に基づくものではないことが分かっていただけると思う。立候補要請文に対する都庁の処理の文書などは不存在だとしても、マスコミ等で報道され写真にまで取られている立候補要請文については開示されるだろう。と思って期待をしていたら、東京都からは予想外の返答が。

 個人情報を被覆したうえで、その回答文の全文を公開する。

「請求にかかる文書を作成及び取得しておらず、存在しないため」と書かれた東京都の「不開示決定通知書」(6総総第226号)

 各マスコミ各紙で報道された東京52区市町村の首長から出されたとされる要請文すら、「請求にかかる文書を作成及び取得しておらず、存在しない」扱いとは。

 小池都知事はこういう風に言っていたんですけどね。平成29年1月20日の都知事定例記者会見を引用します。(注4)

(引用開始)【知事】すみません。まだ二つあります。公金支出の情報を公開いたします。東京大改革の一丁目一番地は情報公開であるということは常々申し上げてまいりました。都政の「見える化」、「都民ファースト」の都政の実現ということで、全庁の公金の支出情報、これを公開いたします。
(以下略。引用終了)

 東京大改革の一丁目一番地は情報公開だと、小池百合子都知事が発言しておきながら、一市民の情報公開に対しては、各マスコミが報道した東京52区市町村の首長から出された要請文すら「請求にかかる文書を作成及び取得しておらず、存在しない」扱いにすると。

 小池都知事のいう情報公開って情報操作の意味ですか。

 そして、マスコミの言う権力監視って口先だけですか。これだけ、具体例を示しても、一市民の主張ということでいつものように無視するの?


注1ー全国紙のみならず地方紙にも報道された。その一部を紹介する。

読売新聞  東京都知事選挙、52区市町村長が小池知事に出馬要請…「重く受け止める」 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

朝日新聞 「立候補を期待」都内52市区町村長、小池百合子都知事に連名で要請 [東京の政治] [東京都]:朝日新聞デジタル (asahi.com)

日本経済新聞 小池百合子都知事に東京都知事選挙での3選出馬要請 都民ファーストの会ら - 日本経済新聞 (nikkei.com)

産経新聞 小池百合子氏に都内自治体の首長8割が都知事選出馬を要請 「重く受け止める」 - 産経ニュース (sankei.com)

注2ー東京都は電子処理システムで情報公開請求ができるので情報公開請求は電子でした。また・は字数制限があったので請求文書からは外している。

注3ー上記読売新聞の報道写真のキャプチャーは以下のように書かれている。

(左から)杉浦裕之瑞穂町長、吉住健一新宿区長、長友貴樹調子市長から要請書を受け取る小池知事(28日、都庁で)=木田諒一朗撮影

このキャプチャーを見て、小池都知事の行動が公務の一環でないと考えるのは無理ではないか。

注4-平成29年1月20日の都知事定例記者会見の全文は以下参照。

小池知事「知事の部屋」/記者会見(平成29年1月20日)|東京都 (tokyo.lg.jp)

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