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黒主山の懸装品(前掛)

今年度の手ぬぐい

今年度の手ぬぐいは、現在、黒主山が巡行で使用している「伝萬暦帝御服」「五爪龍文錦」と銘を頂いている前掛からデザインをしました。
これは1989年に復元新調されています。
町内では、「万暦帝」とか「龍の前掛」とか好き勝手に呼んでます。
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旧前掛

以前使用していた旧前掛の「赤地四爪龍文綴錦」「波濤飛龍図」と呼ばれる前掛は琉球王国最後の君主尚寧王が袋中上人に献じた明の時代の官服を裁断し組合せたものです。
この旧前掛については、檀王法輪寺に黒主山に寄進したとの古文書が残っており琉球との交流があった貴重な資料とされています。
私自身は巡行で使用しているのを見た記憶はなく、実物を見たのも2014年に後祭復興に際し使用した時だけです。

旧前掛

町屋の焼失と官服の発見

旧前掛は「炎天下にさらすことをやめて保存を考えて下さい」と以前から指摘されていたそうで、長年新調する際の図案をどうするか議論されていたそうです。
そんな折に町内で火事が発生。町屋は焼失してしまいましたが、幸いにも収蔵庫は焼け残り(1972年)
その収蔵庫内の整理をしている際に古い木箱を発見、その中に正面を向き玉を抱く五本爪の龍文様の官服が納められていました。

偶然発見され官服

この錦地が緋色の毛氈で囲われていること、その毛氈の下方に擦れてできたような損傷が3箇所あり舁棒の位置と一致するなど、以前は前掛として使われていたのではないかと推測されることから、新調する図案にできないかと当日の理事長は考えたそうです。

箱書

この発見された時点ではどのような錦地かもわかりませんでしたが、この錦地が納められていた木箱には漢詩の箱書があり、この解読を依頼した結果、
「袋中上人」の名前と「(訳)万暦帝が即位の折の衣装は…」
をもってはじまる八言絶句の漢詩がこの古錦に描かれていた絵図がどの様なものか詳細に解説していたのです。
この漢詩を元に朽ちている部分の図案を描き、復元新調へと進んでいったのですが、当日の役員は大変苦労したそうです。

前掛を復元新調に至る部分までで一旦失礼します。
漢詩の解読などをまた別にアップしたいと思います。

漢詩の書かれた木箱
新手ぬぐい

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