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過去の様式をぶっ壊した建築 ~母の家~
買い物の帰りに、手さげかばんが自転車の前輪に引っかかって、横断歩道で豪快にひっくり返ったくろちゃんだ。
車道に散らばったサバ缶を拾って下さったお兄さん、ありがとうございました。
肩から落ちて、肩を痛めたので、その後整形外科に行ってきた。レントゲンを見ながら医者に、強そうな骨だねって褒められた。
今日は、1964年にアメリカのフィラデルフィアで建設された住宅、「母の家」についてお話しする。設計者はロバート・ヴェンチューリ。
「母の家」はヴェンチューリのお母さんの家である。この住宅は、一見普通の住宅そうに見えるが、世界的に評価されている住宅である。
それでは、普通の住宅に見える「母の家」の、何が凄いのかを見ていこう。
1. 母の家
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64185497/picture_pc_134a581372f9905f979678b34fb9914c.jpg?width=800)
正面 母の家/米国 フィラデルフィア/1964/ロバート・ヴェンチューリ
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64185508/picture_pc_9c21c3650554be20980c57b37340955c.jpg?width=800)
エントランス
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64185517/picture_pc_4567da2971164a033f6e5b73f6be93b4.jpg?width=800)
居間
ヴェンチューリは、「建築の多様性と対立性」と「ラスベガス」という本でも有名だ。
初めて「母の家」を見た方は、「少しだけ変わった造形だな~」とか、「玄関はどうなっているんだろう」とか、「違う形状の窓がそれぞれ付いてる」等、思われたかもしれない。
僕も大学2年生の時に初めてこの建築を見たが、どこにでもありそうなこの住宅が、何故、世界的に評価されているのか全然分からなかった。
2. 分からないときは素直に人に聴こう
しかし、何かしらの理由があるはずなので、授業が終わった後に先生に質問しに行ったのを覚えている。
先生は言った。「屋根に着目しろ。」
へ?
少し考えた後、なんとなく屋根のどこの部分のことを言っているのか分かった。なんか変だな~と思ってはいたが、、まさかここが凄いポイントだったとは。
そう。屋根の真ん中が切れているのだ。屋根に、1本の切れ目がはいっている。
しかし、これの何が凄いのだ?
3. 伝統的な建築物を否定する
![資料_母の家](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64255144/picture_pc_4f12cf73b606f2ac7c7b205b2dca6c52.jpg?width=800)
これまでの住宅は、伝統的な切妻屋根が一般的だった。
ベンチューリは、どうすれば、新しい建築を表現できるか考えた。
そこで思いついたのが、切妻屋根(雨や雪を効率よく地面に落とすために△の形をした一般的な屋根のこと)に縦方向の切れ目を入れることだった。
ここで重要なのは、何故そのような表現を行ったかだ。
ここからが、『母の家』が芸術のレベルへと昇華された核心の部分となる。
ベンチューリは、新しい建築を表現するためには、過去の建物を否定すれば良いと考えた。そこで、どのような造形的操作行えば、過去の建物を否定することができるか考えた。その表現こそが、切妻屋根という伝統的な屋根形状に、1本の切れ目を入れることだった。まさに伝統を冒涜する行為。
切妻屋根に1本の切れ目が入ることで、切妻屋根の三角の形が真ん中で分断され、切妻屋根が切妻屋根ではなくなってしまう。ベンチューリは、実にシンプルな方法で、伝統的な屋根形状を否定したのだった。
芸術とは、既成概念を壊すことである。
「切妻屋根(古い建物の象徴)を~、ぶっ壊す!」 をやってしまったのが、ベンチューリさんなのでした。
以上です。
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