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vol.216 個展作品 モデル:はるるさん
緋色展の展示作品モデルさん6人目ははるるさんです。
はるるさんに個展のモデルになってもらった理由は展示作品のテーマが環境問題、性的マイノリティ、Chat GPTのようなAIに関すること、自己の内面の問題(コンプレックス)、民族融和など少し重めのものが多かったのではるるさんのようなふわっとした雰囲気の中に一つ芯のあるモデルさんだからこそ重めのテーマの中で柔らかい中に目に留まる作品ができるのではないかと考えたからです。
はるるさんの印象は「綿花」です。
一見、白くてふわふわしていて綺麗と思えるけどその中にきちんとした芯がある(実際の綿花の中にはワタガラがあって柔らかいだけではない)ということで自分にははるるさんには綿花のイメージがあります。
そんなはるるさんでどういう作品を作ろうかと考えた時に思い至ったのが日常を切り撮ることでした。でもなんの変わり映えもしない日常を撮ってもストーリーにはならないのでちょっとした理想の入り込んだ日々の物語を作品にすることにしました。
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「 刹那の言葉 」
Model:はるるさん
嬉しいこと、楽しいこと、悲しいこと、嫌なこと、怒ってること。自分の思いを人に伝える。
言葉で伝える、行動で伝える、文字で伝える。気持ちを伝える方法はいくつもあるけれど、自分の気持ちを伝えるのに伝えた刹那に消えゆく言葉は儚い。
行動で伝える。文字で伝える。言葉で伝える。気持ちを伝える方法はいくつもあるけれど、自分の気持ちを伝えるための行動もいつか記憶の彼方に消えゆくのは悲しい。
文字で伝える。言葉で伝える。行動で伝える。気持ちを伝える方法はいくつもあるけれど、
自分の気持ちを伝えるのに不完全な言葉から派生した文字を私は選ぶ。
言葉は不完全だ、自分が本当に伝えたいと思ってもその言葉が正しいか分からない。
言葉は不完全だ、自分が伝えたいことが相手にそのまま伝わるかは分からない。
だから文字で残そうと思う。
不確かで、不完全で、不条理でどうしようもない言葉を使って。
今は恥ずかしくて伝えられない思い。何年も先の未来に連れていきたい今の気持ち。
たくさん、たくさんの気持ちをいつか見てもらえたらいいなと思って文字に起こす。
すぐに生まれて消えていく言葉より、何度も考えて紡いだ文字に想いを乗せて今日もまた手紙に私の気持ち、想いを書き綴る。
何度も考えた言葉を、そっとお気に入りの紙にインクを乗せていく。
紙の上をペン先が走る。
サラリサラリと。
耳に届く軽やかな音と共に気持ちが、想いが文字としてこの世に生まれ書き終える手紙。
封筒に手紙を入れ、ゆらりと揺れる蝋燭で色とりどりのワックスを溶かす。
熱でとけたワックスが混じり合う様はまるで自分の感情を見ているよう。
溶け切った蝋をゆっくりと手紙に落としスタンプを泳がす。
封をされた手紙。いつの日かあなたが開けて、読まれるその日まで、さようなら。
外から聞き慣れた車の音がする。
ここから先、あなたに気持ちを伝えるのは刹那に消える儚く優しい言葉。
こちらがはるるさんをモデルにして作り上げたかった作品になります。
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展示作品より一部抜粋。
さて、今回のはるるさんの撮影裏話的なものはですね。
まず撮影に使用した小物の金額が他の作品よりも桁が違うということですね。何せはるるさんがその左手に持っているのは自分が普段使っているイタリアのaurora社製限定万年筆でメーカー希望小売価格は14万円なのです(汗
あと会場で聞かれたのはスタジオはどこを使っているのか。そしてこの写真のふんわり感はどうやって出しているのかというのをよく聞かれました。
スタジオは豊山町にある一戸建てのモデルルーム兼レンタルスペースのような場所を借りて撮影しまして、写真のふんわり感はL39(スクリューマウント)時代のCanonの50mmF1.2というレンジファインダー用レンズを当時まだ持っていたX-T4にくっつけて撮影しました。
Fujifilmのフィルムシュミレーションとクモリレンズが独特の世界観を表現してくれたのではないかなと思います。
では、また。
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