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【太極拳】蹲墻功(壁スクワット)【健康法】

蹲墻功(ドゥンチャンゴン)という練功法があります。今では広く健康法として知られているものですが、元々は楊式太極拳の練功法だったようです。同じような例として、スワイショウがあります。今では簡単にできる気功の一種ですが、元々は形意拳の秘伝の練功法だったと言われています。

ということで、元々は楊式太極拳の練功法で、地道に続けると勁力の増強に効果があると言われている蹲墻功(壁スクワット)を紹介します。

やり方はすごく簡単です(一番下に動画を載せています)。
1. 壁に向かって立ちます。
 この時、近いほど難しく、離れているほど簡単です。
2. 鼻(または額)を壁スレスレにしゃがんだり、立ち上がったりします。
3. 足は肩幅くらいから始めて、慣れれば閉じてもできるようになります。
4. 手の場所は、最初は斜め下45度くらいに広げておくといいです。
 掌は壁の方(前方)に向けておき、途中まで下がった時に裏返す、手の甲を壁につけるようにすると簡単になります。掌を壁に沿わせたままだと、少し難しいです。
5. もう少し慣れてくると、手を横に開いたり、上にあげたり、腰の後ろで組んだりします。腰の後ろで手を組むのが一番難しいです。
6. しゃがんでいく時に、含胸抜背、収腹、尾閭中正、松腰(胸を含んで、お腹を引っ込めて、尾骶骨を巻き込むようにして、腰をリラックスさせます)などを意識します。開命門(命門を後ろに張り出すようにして開く)も重要です。
7. 膝は壁についても構いませんが、足の位置は変えてはいけません。
8. 立ち上がる時も、鼻(額)は壁スレスレを通るようにする。

という感じです。鼻を壁に擦ってしまうと赤くなるので、僕はバンドエイドを貼ったり、ニット帽をかぶっておでこを擦るような感じで行います。最初は脚や股関節が痛くなるし、何より腰が緩んでいないと腰にめちゃくちゃ負担がかかります。無理に一番下まで行かなくても、しゃがめるところまでしゃがんで、上がれば良いです。最終的には1度に100回くらいできるようになれば良いですが、10回くらいできるようになった以降は、筋力が足りているかどうかだけなので、地道に増やしていけば良いと思います。

気功的、健康法的な意味としては、本来は座功や站椿功の積み重ねで小周天(体の前と後ろの任脈と督脈という経絡を繋げて、気をぐるぐると回す)を実現しますが、この蹲墻功を繰り返すことで、自然とそれが行われると言われています。さらに、仙骨も活性化され、命門も開くそうです。やってみると、その辺りが熱くなって、活性化するのがわかると思いますので、あながち誇張でもなさそうです。

武術的な意味としては、中国武術というのは思っている以上に背骨をしならせます。しならせると言うとちょっと違うのですが、波打たせると言うか、背中とか腰を緩めて使います。古武術のような日本の武道は割と腰を入れると言うか、立腰して腰を張るように使うのですが、全く違います。比べると、中国武術の方が背骨を自由に使っている感じです。なので、その自由さを身につけるのにこの蹲墻功は役立ちます。最初は、腰が緩んでいないので、壁に近いと膝が突っ張ってしゃがめなくなります。足を閉じて行うのも、全然できないと思いますが、腰を緩められるようになって、上半身がゆるんでくると少しずつできるようになります。

動画では、前半は足を開いて、後半は足を閉じて行っています。斜め、横、後ろなどから撮影してみましたので、参考にしてください。手は、掌を壁に向けるのを先にやっています。途中で掌を裏返す方が少し簡単になります。

武術にしろ、健康法にしろ、5秒でできるとか、3回でできるとか、そういうのは効果も大してありません。逆に、こういう地道な練功を繰り返すのが近道です。是非頑張って身につけてください。

おわり



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クロネコ@太極拳から学ぶ会
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