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 超能力者たちの相談部

 突然だが、人には知られたくないことや、知られてはいけないことが必ず一つはある。

 ここはごく普通の中学校。この学校には共通の隠し事をしている五人の生徒がいる。

 僕の名前は千季心(ちとせしん)、中学二年生。とあることを除けばごく普通の男子中学生なのだが、一つだけ普通では説明つかない能力を持っている。それは、『精神を操る能力』。人の感情や思考等を僕の自由に操ることができる能力である。このような力を一般的には超能力と言う。この学校には今、超能力者は僕含め五人。それぞれ持っている超能力が全く違っていてみんな面白い。

 「ねぇ、静紅。僕新しく部活作ることにした。」
「へぇ、がんばれー。応援するー。」
「もちろん静紅にも入ってもらうからね。」
「・・・は?」
この子は時ヶ谷静紅(ときがやしずく)。僕と同じ中学二年生のいわゆるかっこい系女子。彼女も超能力者の一人で、『時を操る能力』の持ち主である。
「しずくぅ…お願い、だめ?」
「あーもう!わかったよ!」
なんやかんやで静紅はいつも許してくれるから僕はいい友達を持ったなと心の中で感心していた。「まずは、部員を集めないと。できれば僕たちみたいに能力持ちの人がいいなぁ…」
と僕が言うと静紅が口を開いた。
「じゃあ、さのっちの所に行くよ。」

 紗埜桜羽梦(さのるうむ)、通称さのっち。彼女の持つ能力は『空間を操る能力』。
「さのっち、一緒に部活やろ!」
僕は無邪気に誘った。
「わ、私なんかが入ったら…」
と、毎度のことながらとてもマイナス思考の返答が返ってくる。
「さのっちは超能力者なんだからもっと自信持ちな」
ほぼ静紅が説得してくれて、無事了承を得た。
「ねぇ、部活の内容って何するの?」
さのっちが静紅に質問をするが、静紅は「ごめん、内容は知らない」と言う。そういえば静紅にも何の部活をするのか教えてないや…。まぁいっか!

 「あれ、お前ら集まって何してんだ?」
後ろから声をかけられて振り向くと三年生の先輩がいた。仲浜羅威(なかはまらい)先輩、この人も能力者だ。
「あの、仲浜先輩。一緒に部活しませんか?」ダメもとで聞いてみた、すると…
「いいよ、楽しそうだし。このメンバーってことは超能力系の部活でしょ?」
と、言われた。すごい、図星だ。
「ん?結局部活って何するの?」
「確かに、内容分からないと不安だよ…。」
静紅とさのっちに質問された。が、今はまだ言えない。あと一人。あの子もそろってから言いたい。
「そういえば仲浜先輩の能力って何ですか?」
静紅が質問してすぐに先輩は口を開いた。
「俺の能力は…『物を操る能力』だよ。」
「物を浮かせたりとか…ですか?」とさのっちが聞いた。すると先輩は「まぁ、そんな感じだな」と笑っていた。
四人が集まってから一週間がたった。しかし、僕はあと一人…『死を操る能力』の持ち主を入れなければならない。
「どうしようかな…。」と悩んでいると静紅が
「あぁ、死の能力者?居場所とか知らないの?」と言った。
「それが、名前も性別も学年も何も知らないんだよね…」
と話しているとさのっちが口を開いた。
「それ多分、黎騎君のことじゃない…?」
「黎騎君…?」とほかの三人の声が被る。
詳しく聞いたところによると、名前は黎騎瀬慶留(くろのせける)。一年の男の子らしい。放課後早速僕たちは一年の教室へ向かった。

 下校の時間になり生徒のみんなが帰っていく中、僕たち四人は黎騎君が教室から出てくる瞬間を待っていた。どれだけ待っても黎騎君らしき人は出てこなかった。するとさのっちが口を開いた。
「ねぇ、まだ教室に誰かいない…?」
「…。誰もいないみたいだけど?」と僕と静紅が言った。しかし、仲浜先輩はさのっちの言葉を聞いて教室に入った。
「紗埜、どの辺から気配を感じた?」
と、仲浜先輩がさのっちを手招きする。
「この辺りです…。」と掃除用具入れを指さすさのっち。すると、仲浜先輩がロッカーを開けた。中には手を縛られ、口にガムテープを張られた黒いオーラの少年がいた。
「なんでこんなところに…」
「もしかして、いじめ?」
とさのっちと静紅が話している間に仲浜先輩がロープとガムテープを外してあげていた。「君が黎騎瀬慶留君?」
と聞いてみた。すると、小さくかすれた声で「はい…。」と返された。僕はすかさず部活の勧誘をした。
「黎騎君、僕たちと一緒に部活しない?」
「…何の部活ですか?」
「私たちも知らないんだけど?」
「確かに、俺も聞いてない。」
と説明を要求された。
「では、部活の内容を発表します!僕らがやる部活は…超能力者たちの相談部、略して…
『超相談部』です!」

🈡

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