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公務員人生終了ときつねさんのおつげ?


公務員を辞めた理由

2024年5月末日、33年間の公務員人生を終えた。
辞めた理由は、「やりたいことがあるから、第二の人生スタート!」ということにしてみた。だけど、本音は、自分が思い描く仕事の仕方、振る舞いができていない自分が嫌になったから。思いと行動が一致していなかったから。

やりたいことがあるのも、嘘ではないし、単純に違う仕事をしてみたいというのも事実としてあった。

幼少期、経済状況が厳しかったこともあって、この仕事は私の軸であり、手放すなんて考えもしなかった。ここだけは、絶対ぶれてはいけないとずっと思ってきたし、環境がどうなろうと、自立しているべきと強く思っていた。

そう思いながらも、ここ7年くらいずっとフリーランスになりたいとか、自宅で絵を書いたり、文章を綴ったり好きな時間に好きなことをしたい。と思ってもいた。

でもこの気持ち、本心なのかだいぶ怪しい。現実逃避だったのかもしれない。本当にやりたければ、仕事が休みの日にやればいいのに、やる気なんて全然なかった。
本屋に行って、起業の本をペラペラめくってはみるものの、勉強しようという気にもならなかった。
どうせまた月曜から仕事なんだから、土日はどこかで外食して、あとはぐだぐだしたっていいじゃんとなる。

仕事のことを考えると気分が重い、新しいことに挑戦する気にもなれない、だるい、めんどうくさいとなる。この気力のなさは、すべて仕事のせいだということにしてきた。

辞めてみてどうなった?

そして、時間ができた今、絵を書いたり文章を綴ったりしているかというと、全然していない。かろうじてやっていることは、chocoZAPに通うこと。小さなポシェットを斜め掛けにして、到着したらそのままマシンに直行。
それはもう、まるでCMで見た光景そのもの。時々、ピラティスもやるが、オープンスペースでの大開脚に、少々落ち着かない感じ。あと、張り切ると酔う。

あとは、Duolingoでフランス語をやっている。
1人の少年と1匹の猫、1人の男性と1頭の馬、これ何回やっただろう。たまに、猫がクロワッサンを食べています。と訳すのが出てくるのだが、傍らにいる飼い猫をながめては、そんなことある?なんて、AIが作った問題につっこみをいれている。もしかして、フランス猫は、クロワッサン食べるの?

仕事を辞める数か月前、急に気がついたことがある。
昔から日曜日がなんだか苦手。正確には家で過ごす日曜日が苦手と言った方がいいかもしれない。その理由は、次の日からまた仕事が始まるからだとまたしても、仕事のせいにしてきた。
でも、月曜日が休暇でも、そして現在のように、毎日が休暇でも日曜日はどういうわけか好きじゃない。理由ははっきりしないけど、仕事は関係なかった。ただの思考の習慣なのかもしれない。

ジョー・ディスペンザ

この考えは、ジョー・ディスペンザの著書『あなたという習慣を断つ』の影響。分厚いけれど面白い。最終的には、複数の段階による瞑想を行うのだが、第一から第四ステップまである瞑想のうち、第一ステップの「導入」ですでに足踏み状態。問題となっている思考にフォーカスするステップがあるから、私にはちょっとしんどい気がした。

それはさておき、どんだけ仕事を悪者にしていたのだろう。こんなに長く勤められて、知り合いも出来て、いいことも楽しいこともたくさんあったのに。
しんどいことがあったとき、周囲の人と何てことない会話をすることで、随分と気がまぎれたり、元気になったり、気持ちがしゃっきりしたりと、数えきれないほど助けてもらった。

辞めた実感がない

自分が一番大切だと思うものほど、手放すと人生が変わります。

よくそんなことを聞く。

確かに人生変わった。無職になった。
でも次への華麗なるステージアップは、まだやってこない。

それにしても、どうも辞めた実感が全くない。
たまたま休んでいるだけで、暫くしたら普通に出勤する日がくるような気がしている。
上司に気持ちを伝え、了承を得て、書類の手続きを済ませ、周囲に報告、食事会も開いてもらった。最終出勤日には、とてもきれいな花束をいただいて、あいさつをして、正面玄関まで見送りをしてもらった。

その見送りも、自分ごととは思えなかった。今まで幾度か定年退職者のお見送りをしてきたが、まさか自分が花束を抱えて見送られるとは・・・

勤めていれば、どこかのタイミングで、こういう場面がくることもあるのだから、そんなに珍しいことではないのに、ついドラマチックに考えてしまう。
私は月星座が獅子座で、その特徴は、嬉しい時も悲しい時も、ドラマチックに出来事を感じて堪能するタイプらしく、まさにそのとおりだと自分でも思う。世間からみれば、ただの退職なのに、こんなふうに文章を書いているのだから。

悶々としながら、辞める、辞めないの両者が強くなったり、弱くなったりを繰り返しての決断だった。

辞めた理由の根っこ

自信のない自分、できない自分、恐れる自分、いつもドキドキして緊張している自分、そんな自分をさらけ出すのが嫌だった。
と言っても、そんなものはとっくにバレていたであろうに・・・
それでも、ちゃんとしている人、それなりに仕事ができる人として見られたかったのだ。

人のために何ができるか、じゃなくて人からどう見られているかを気にしている。完全に他人軸だ〜

こうやって、過去を振り返ってずどーんとしている暇があるなら、楽しい未来にフォーカスしなさい。瞑想。瞑想。とジョー・ディスペンザに言われそうだ。

稲荷神社でのインスピレーション?

私はこの5年程、徒歩通勤だった。その通勤途中に稲荷神社があって、気が向くと寄っていた。先客がいると、何だか嬉しい気持ちになった。
神様が喜んでいるような、その先客と自分の心が通じているような、よくわからないけど、嬉しかったのだ。

辞める少し前の朝、その稲荷神社に寄った。いつものようにお参りをすませると、ふっと、きつねさんの物語が浮かんだ。

私が繰り返し読んでいる、まさよさんという方の著書『神使いさんがこっそり教えてくれる神様のこと』に書かれている、「神使いさんは神様の命がなければ動けませんが、目は動かすことができます。」という一説を思い出し、そこから妄想物語が広がっていった。

ファンタジー小説を書こう。
きっと、きつねさんからのメッセージだ。

これがあの自分が考えているというより、イメージが勝手にどんどん降りてくるっていうやつか。ついに私にも、そういうのがきたのか!

「きつねさん、私きつねさんのお話書くから。必ず書くから」と心の中でつぶやいた。そんなときは、気分が盛り上がっているせいか、普段はクールな表情のきつねさんが、「ようやく目覚めましたね」と微笑んでいるようにさえ見えた。

気づけば、職場の正面玄関に到着するまでの10数分ほど、その妄想物語が続いていた。
これから仕事だというのに、こんなに気持ちが盛り上がっているなんて、何か楽しいぞ。

忘れないように職場でポイントをメモした。
帰宅後、さっそくまとめてみた。
しかし、えっ?これだけ?全然話が広がらない、新しい感じもしない、面白いとも言いがたい。ちょっとでも小説とか、妄想物語が広がった!なんて思ったことが恥ずかしい。

一気に意気消沈・・・今朝の盛り上がりは何だったんだ。
気分のアップダウンが激しすぎて、疲れる。
でも、きつねさんに約束しちゃったよ。どうしよう。
「どうしようも何も、テンションが上がらないなら、やめればいいさ。無理に書く必要はない。今朝はひと時の盛り上がりをありがとう。それでいいんじゃない」byきつね

きつねさんがそう言ってくれたかどうか、定かではないが、せっかくなので、その微妙な妄想物語をここで紹介しようと思います。

『きつねさんと神様の小さな冒険』

とある稲荷神社に鎮座する2体のきつねさんが、神様に言いました。

「神様、今日はどこかにお出かけしましょうよ」
「お出かけね、でもね参拝のお客さんくるから、ここにいないと申し訳ない気がしてね」
「大丈夫ですよ。わたしたちはどこにいたって、みんなの声を聞けますよ」
神様は、空を眺めながら、真面目な顔して手を合わせ、お辞儀をしているみんなのことを思い出していました。

きつねさんたちは、そんな神様をみて、こう言いました。
「地球担当8000年ですから、感覚が地球人になっちゃうのも仕方ないです」
「でも、神様もたまには外出したほうがいいですよ。どこにでも行けるのに、最近ずっとここにいるでしょう」

神様は、またまた考えました。
「そうね、確かに気分転換ってものをしてなかったね」
「ほら、またそれ、地球人的発想になってます〜」

神様は、言いました。
「よし、それじゃ那須高原に行こう。レンタカー借りましょう。それで、牧場に行ってアイスクリームを食べて、たくさんの牛さんと戯れて、お弁当食べて・・・ね」
「えっ、あの神様、私たちは時空を超えて、どこだって一瞬で行けるんですよ。なのに、まさかの都内近郊ですか。しかも神様自ら運転ですか」

「だって、みんなは車とかバスとか色んな乗り物に乗って、時間をかけてお出かけするでしょう。同じようにしたいと思ってね」

きつねさんたちは、神様のそんな思いにほっこりしました。
「わかりました。那須高原に行きましょう!」

「では、さっそくですが、わたしたちどんな地球人に変身しますか」
神様の設定はこうです。
32歳、日本人女性、ジャズシンガー、和製パリジェンヌな雰囲気、
日本語のほか、英語、フランス語を話せる。
大好きな2匹の柴犬を連れて、久々の小旅行を満喫中。
彼は普通の会社員で、ちょっと忙しいので今回の旅には同行しない。

「結構、具体的ですね。柴犬さんはわたしたちということですね」
神様は、にっこり頷きました。

こうして、無事に設定も決まって、神様たちは旅行に出発しました。

途中、サービスエリアに寄って、きつねさん(柴犬)はお水を飲んで、
神様(和製パリジェンヌ)は、アメリカンドックを食べました。

牧場に到着した神様は、今度はアイスクリームを食べました。
きつねさんは、牛に不思議なまなざしでみつめられ、どっきり。
そういえば、馬たちもどこか姿勢を正しているような・・・

神様たちは、牧場を満喫しました。
特に、どこから来たの?と聞かれることもなく。

「今日は楽しかった。きつねさんたち、私を誘ってくれてありがとう」
「わたしたちも、こんなにかわいい柴犬さんになって、一緒に同行できて、うれしかったです」
「ところで神様、今日のお宿はどうするのですか?」
「もう、十分楽しんだから我が神社へ帰ろうと思う」
「ええっもう帰るのですか?」

神様は、きつねさんからの今回の提案に心から感謝し、これからは時々こうやって一緒にお出かけしましょう。と伝えました。
さて、次はどんな設定でおでかけするのでしょう。

神社に戻ったきつねさんは、最近よく来る女の人に、魔法をかけました。
いつも何かに悩んでいるけれど、変われなくて、モヤモヤしているあの人に・・・

微妙な妄想物語はこれでおしまいです。

きつねさんへの感謝

この稲荷神社は、在職中に同期の友人とも寄ったことがある。
鳥居の直前まで、なんだかんだと愚痴を聞いてもらって、憂さ晴らしをして、鳥居をくぐるときには、おすましで本殿に向かった。

そんなときは、どことなく、きつねさんの表情があきれ顔にみえたものだ。

きつねさんの背中には、昭和19年と書かれている。私の母が生まれた年だ。その頃から見守ってくれているんだ。
時が過ぎ、参拝する人が入れ替わっても、ずっとここにいて、これからもずっといるんだろうな。

その稲荷神社には、2体のきつねさんのほかに、まだきつねさんがいる。

本殿の屋根の上に、元気いっぱいな感じの2体のきつねさん、本殿の中に、ちょっとうつむき加減の可愛らしい2体のきつねさん。

もう、通勤していないから毎日通ることはないけれど、たまに会いたくなるきつねさん。これからもどうぞよろしく。

次回のおでかけは、この4体のきつねさんも一緒に行くのかな?
「もう妄想物語は、十分でございます。また、話が広がらないってへこむんでしょうから」byきつね一同
「気持ちはわかるけど、そんなにはっきり言わんでも・・・ねえ」by神様

「冗談はそれくらいにして、あなたが一番忘れてはいけないことがありますね。それは、こんなに大きな決断に、理解を示してくれたご主人への感謝です。今、何もしていないというけれど、ありがたいことではないですか。
今にありがとうの気持ちを大切に、次へのステップまで楽しく過ごしてくださいね。瞑想はしてもしなくても大丈夫。自分にあっていることが大切ですよ。」by神様&きつねさん一同

舞台となった稲荷神社
宝禄稲荷神社

本文にでてくる著書
あなたという習慣を断つ
神使いさんがこっそり教えてくれる神様のこと
                       2024.7.22   くろまめたん
























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