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ユール(冬至・クリスマス・生誕祭)サバト儀式のやり方と蜜猫的考察。

ユール。現代ではクリスマスに代わったが、これらは古代ケルトの暦で冬至を意味する12月20日頃に行われる祭だ。キリスト教圏ではイエス・キリストの生誕祭だが、ケルトでは冬至から陽の時間が長くなることを、太陽の男神の復活と重ねた祭りとなる。古い伝統が残るヨーロッパの地域では冬至から12月25日頃までをユールタイドという。
ユールは、10月のサウィンで死んだ太陽の男神が復活するため、サバトの中でも盛大に祝ったことから、今でも世界各地に形を変えながら残っている。今回はこの季節行事を儀式化した魔女のユールのサバトについて、わたしが実際にやって感じたことや、気付いた点を深堀りしたいと思う。

昔は狩猟や農耕を営む者(自然信仰者)にとって、ユールはなくてはならないものであった。厳しい北国の冬に、太陽の男神の復活は希望の光だったからだ。その特徴をはじめに挙げておく。

1)太陽が復活する冬至

自然信仰では、大地の女神と太陽の男神に例えることが多い。人間と同じように自然の神々も生み育て死んでいくということや、食べ物やエネルギーの享受と恵みに感謝をするといった信仰だ。わたしたちのエネルギーにとって代わるのが太陽である。太陽がなければ活動できないし、食べ物も育たない。ゆえに厳しい冬を前に太陽は一度死んで、冬至から陽が長くなる頃に復活するとした。太陽が復活すれば、自分たちの生活も希望に溢れたものになる。そうした希望の祈りを込めて盛大に祝ったのだ。

2)サバトの中で1番神聖な日

ユールは、各サバトの中でも一番神聖視されている。太陽の復活はまさに神(自然)の御業だとしたのだ。上記のように人々の希望に満ちた願いもあり、讃美歌を歌い、プレゼントを交換し、冬にしては豪華な食事で祝った。いつしか子供を祝う日(クリスマス)と化しても、生まれたての太陽の男神に供物(プレゼント)を捧げる地域も残っている。ベイビー太陽を温かく育てよう、希望の光を心にいつまでも、という願いが込められている。

ユールサバトをやってみた

ハロウィンが終わるや否や、街は1日でクリスマスカラーに変わってしまう。どこへ行ってもクリスマスのポップソングが流れていて、わたしは少し嫌な気分になる。確かにマライアキャリーも山下達郎も素敵だけど、ワクワクするよりも、わたしはもっと厳かな心境でいたいのだ。そう、もっと讃美歌やクラシックが似合うと思う。

その神聖な雰囲気を求めてか、この時期キャンドル瞑想が多くなる。太陽の男神が復活した、小さな命になぞらえて、キャンドルを1本だけ灯して瞑想する。この小さな灯りに救われる人が沢山いるのだ。この熱に救われる人が。
しんしんと雪が降り積もるここ北国の冬は厳しい。暗いし寒い。昔の人にとってはこの世の終わりのような寒さであったろう。マッチ売りの少女よろしく暖がなければおかしくなってしまうだろう。ユールはそんな心を癒すものでもある。

ユール当日には、キャンドルをたくさん灯して、暖炉やストウブも焚いて、冬で一番暖かくて、光いっぱいでサバトを行う。雪の妖精は窓の外から家を眺めることになる。太陽を模した赤いキャンドル、大地を模した緑のキャンドルにたくさんの火が灯って、来年の希望や願いを確認するのだ。
今は寒さが厳しい冬でも、春になったらこうしよう、と考える。

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