シェア
クロミミ(黒見千 くろみゆき)
2020年7月17日 20:21
第三章 盲目的な幸せ いつもそうであるように、台風はあっという間に通り過ぎて、週末は雲ひとつない真っ青な晴れ模様となった。目の眩むような空の青さを見続けていると、何か途方もなく大きな怪物の口を前に立ち尽くしているような気分にさせられる。きっとわたしには大きすぎるのだろう。 不意に、ため息が出た。せめて雨ならばよかったのに。そうすれば嵐のあの日感じた快感をもう一度味わうことができたかもしれな