宇宙戦艦ヤマト 復活編 04
第2章 思いがけない再会(1)
1
沖田の遺体は宇宙空間を漂っていた。
ヤマトが爆発し、海中へ沈みかけたそのとき、波動エネルギーの余波が空に向かって放たれ、沖田を瞬時に宇宙空間へと放り出したのである。
あまりにも一瞬の出来事であったため、そのことに気づいた者はひとりもいなかった。
以来二十年間、沖田は宇宙を彷徨い続けていた。
太陽系からさほど離れていない場所にある銀河系内のとある惑星。
その星はすべてが氷に覆われていた。
北極点に唯一存在する小さな建物を目にしなければ、生命の棲む惑星だとは誰も思わなかっただろう。
ニューテレザート星。
その星に息づいている生命はたったひとつしかなかった。
「……ああ」
ニューテレザート星に存在する一体の生命体がため息をつく。
金色に輝く彼女の身体は、ほかにたとえようがないほど美しかった。
「やはり報せたほうがよさそうね」
女がゆっくりと立ち上がる。
彼女の名はテレサ。
かつて島を愛し、地球のために消えていった女。
テレサは生きていた。
二十年以上が経過した今も、その美しさは少しも変わっていない。
テレサの目の前にはひとつの遺体が横たわっている。
その身体はもはや人間の形をとどめていない。
しかし、テレサにはそれが誰であるか即座にわかった。
なぜなら遺体には、ほんのわずかではあるが衣服の切れ端が付着していたからだ。
見覚えのある錨のマーク。
島に見せてもらった沖田艦長の写真を思い出す。
錨のマークは艦長の制服に刺しゅうされたものとまったく同じ形をしていた。
「ヤマト……」
テレサは目を閉じた。
当時の思い出が鮮明によみがえってくる。
つづく
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