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宇宙戦艦ヤマト 復活編 26

第8章 ユキとの取り引き(3)

2(承前)

「……結婚?」
 吐き気を覚える。
 そんなことできるわけがない。
 ユキはゴーステストを激しく睨みつけた。
「その勝気な目、嫌いじゃないぞ」
 ゴーステストは鼻を鳴らして笑うと、懐から鈍色に光るキューブ型の金属を取り出した。
「これがなにかわかるか?」
「…………」
「カックーミサイルの自爆スイッチだ。私がこれを押せば、地球人は救われる」
 ユキはとっさに床を蹴り、ゴーステストに飛びかかった。
 自爆スイッチを奪うつもりだったが、ゴーステストはユキをからかうように、右手に持ったそれをひょいと頭上に持ち上げる。
 そして、左腕で彼女を強く抱きしめた。
「もう一度、訊く。私と結婚しないか?」
 ゴーステストの吐息がユキのうなじを撫でていく。
 全身に鳥肌がたつのがわかった。
「返答次第では、このスイッチを押してやってもよいのだが」
「…………」
「首を縦に振れば、おまえはマグネ星最高指導者の妻だ。一生、贅沢な暮らしをさせてやる。地球人も救われる。みんなが幸せになれるのだ。なにを迷うことがある?」
 ユキは抵抗したが、ゴーステストの力は強く、逃れることはできそうになかった。
(助けて!)
 瞼の裏に浮かぶのは古代の姿ばかりだ。
「あと五分でミサイルは地球に到達する。早く決断しないと手遅れになってしまうぞ」
(古代君……私、どうすればいいの?)
 地球人がすくわれるのであれば……。
 ユキの心は揺れた。

つづく

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