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《感想》アガサ・クリスティー著『謎のクィン氏』/第四回「空のしるし」


まえがき:ハーリ・クィン氏のモデルとキャラクター

グーテンベルク21版アガサ・クリスティー著『クィン氏の事件簿(1)』の序文によると
イタリア喜劇の道化役ハーリクィンがモデルのようです

わたくしの母親の部屋の暖炉の上にはドレスデン製の人形セットがありました。それはわたくしの子供心を魅了し、成長後もわたくしを捉えて放しませんでした。それは
イタリア喜劇の道化役ハーリクィン〔古典イタリア喜劇や現代のパントマイムに出る道化役〕、その恋人のコロンビーヌ、ピエロ、ピエレット、パンチネロ、パンチネラなどの型をした人形たちでした。
〈略〉
後年、わたくし(の作品)は詩や幽霊話から犯罪にうつってゆき、ハーリ・クィン氏の登場となったのです。

グーテンベルク21
アガサ・クリスティー著
『クィン氏の事件簿(1)』著者の序より


そしてアガサ・クリスティーは
ハーリ・クィン氏についてこう続けます

彼は自分の好むときのほかは誰からもその姿をかくして見えなくなれる存在です。
すこし人間ばなれしていますが、人間の事件、ことに恋人たちに関心をもっています。彼は死んだ人たちの、代弁者でもあります。

グーテンベルク21
アガサ・クリスティー著
『クィン氏の事件簿(1)』著者の序より


相方のサタースウェイト氏についても

彼はクィン氏の友人でして、ゴシップが好き、人生の傍観者、自分自身では人生の哀歓の深みにはふれえないけれど、この小柄な男は、目の前に展開する人生にドラマを見分け、そこで自分がする役割も心得ているのです。

グーテンベルク21
アガサ・クリスティー著
『クィン氏の事件簿(1)』著者の序より


クィン氏のモデルについて調べている中で、グーテンベルク21版の同作品のアガサ・クリスティーの序文を見つけたので引用させて頂きました

ただわたしが普段再読しているのは早川書房のクリスティー文庫版 なので
以後感想については早川書房のクリスティー文庫版『謎のクィン氏』を読んでのものです

アガサ・クリスティーについておさらい

アガサ・クリスティーは、1920年代から1970年代まで活動していた作家さん

『謎のクィン氏』は1930年発行の12篇をまとめた
クィン氏とサタースウェイト氏の不思議なコンビの不思議なお話し

今回はその中1篇「空のしるし」の感想などです

「空のしるし」のあらすじ

サタースウェイト氏はある裁判を傍聴します 被告人は有罪
被告人は善良な人物だっただけに犯した罪について複雑な気持ちになります
その後食事を取ろうと行きつけの店〈アルレッキーノ〉のいつもの席に向かったところ先客がいることに気が付きます 

先客はクィン氏でした

「空のしるし」感想

今回やっとハーリ・クィン氏のモデルを調べて書くことができた中で気がついたのが

サタースウェイト氏の行きつけの店名
〈アルレッキーノ〉

ハーリ・クィン氏のモデルとなってる“ハーリクィン”はイギリス版の名前。
イタリアでは“アルレッキーノ”だそうで

同じ道化役の名前が
 イギリス→ハーリクィン
 イタリア→アルレッキーノ
 フランス→アルルカン
のようです

アガサ・クリスティー作品の中で遊んでますね



「空のしるし」感想(※ネタバレあり)

「空のしるし」の意味するところにはアガサ・クリスティー様まいりましたって感じです
(実際解き明かすのはクィン氏とサタースウェイト氏の2人ですが)

証言するメイドの口振りが ”雲が神の手のようにみえだ” とが ”13日の金曜日” などと 迷信的ととれるような内容だけど
その現象、実際あったことのみを素直に受け止めて解き明かした真相…
そういうことかぁーって。まいりました


勝手にアガサ・クリスティー祭り中

9月はアガサ・クリスティーの誕生月です
勝手にアガサ・クリスティー祭りと称してアガサ・クリスティー作品の感想をいつも以上に書いてます(そのつもり)

ちょっとひとりごと

早川書房のクリスティー文庫にも
アガサ・クリスティーの序文
載せてほしいなぁ…


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