2022年、「何が面白かったか」を振り返る ~ その1:映画・アニメ・ドラマ系~

コロナ渦中になってからなんだかんだ毎年「何が面白かったのか」を映画に絞った状態ではありますが、書いてました。(昨年)(一昨年
今年は、忙しかったのもあって意外と映画がみれてない分、色んな作品に触れたな~としみじみ思うことがあるのでノンジャンルで色々書き連ねてみようと思います。
出来れば来年も同様の記事をかけるようにしたい。

今年に関しては思い出しながらいくつかの記事に分割して書いてみてます。
他の記事は以下からどうぞ。

記事内での大枠のルール

  1. 2022年中に触れたエンタメ系コンテンツであれば基本的にノンジャンルで取り上げる。ジャンル分けは主観で適当に。

  2. 2022年中に触れたのであれば、旧作であっても取り上げていく。

  3. 順位付けとかしたいわけじゃないので、比較とかしてどっちが上とかそういうのはしない。

上記踏まえた上で、まずは例年も触れてきた映画作品あたりから紹介してみようと思います。




映画

NOPE

人生で初めて、IMAXのフル画角とそうでない画角が行ったり来たりするのに違和感を感じなかったことと、音響パワーに圧倒された「最高のB級映画」。

上記理由で、池袋グランドシネマサンシャインか109シネマズ大阪エキスポシティでIMAX復刻上映が来たら是非迷わず足を運んでほしい一作。そうでなくても上映しているところにいけそうなら迷わず一度見てほしい作品。
「世界で初めての映画」と言われる、黒人ジョッキーが馬にまたがっている映像。その「名もなき黒人ジョッキー」の子孫として撮影用の動物を飼育・調教しているハリウッド郊外の牧場で、主人公たちの父親が「不幸にも、空から落下してきた5セント硬貨が直撃して死亡する」ことから物語が始まる、サスペンスホラーSF。

メッセージ性の強い作品が多いジョーダン・ピール監督が、「見世物」としての映画・役者って何なのかをも訴えつつも、見事にエンタメとしても一級品に仕上げた一本。


ハケンアニメ!

「派遣」社員的なブラックなお仕事の話ではなく、「覇権」を取る方の「ハケン」アニメな実写映画。

「大抜擢されたけど空回り気味な新人監督」×「ビジネス最優先の敏腕プロデューサー」、「復活の天才ワガママ監督」×「ワガママとビジネスの板挟みでも作品を守るプロデューサー」という2陣営がそれぞれに最高のアニメを届けようと、現場スタッフともぶつかりながらも「クリエイティブってなんなのか」に迫っていく「お仕事もの」。

近い作品だとやはり「SHIROBAKO」感もありつつ、あちらとは別に作中キャラの掘り下げ方が実写なりにすごく上手かったなという印象。
多少現場とは違う「ファンタジー」はあるものの、EDロール直前のベランダのシーンで多くの「創作」に携わる人はボロ泣きするんじゃないかと思える一作。
(自分は制作にミリも関わってないですが、出向先の会社で劇中劇の2D作画パートが真後ろの席で徐々にできていくのをずっとみていたのもあって、「劇中内のモブキャラ」ぐらいの距離感で本作の現場を見ていたこともあって、情移入が人並み以上にあるかもです)


トップガン マーヴェリック

トム・クルーズが、半ば自伝的な要素を混ぜることである意味で「創作者讃歌」的にもなった、「トップガン」から36年ぶり待望の続編。「これぞアメリカ映画!!!!」というパワフルさを画作り・脚本・演技からも感じれる「ここまで真に迫る戦闘機映画はもう二度と撮影できない」というのも納得できる大傑作。

「いつかドローン(映画配信サービス/CG合成)に、パイロット(映画館/スタントもできる役者)の仕事は奪われるぞ」という上官のセリフに対して、主人公のマーヴェリック(トム・クルーズ)が「でも今日じゃない」と言ったシーンは、いろんな業種・業界にも落とし込めますが、昨今のAI画像生成論議にもちょっとつながる部分もあるなと今更ながら思う次第です。
小さな画面では感じ取りにくい、微細な役者の顔の歪み方までもを画に落とし込もうと、トム特製の戦闘機操縦の訓練メニューをこなして実際にマッハ5の戦闘機内での撮影に耐えれるようにした役者陣。戦闘機内に大量のシネマカメラを持ち込み、機体操縦してる役者自身でカメラのコントロールも行ったというので、真に迫る映像がそこには広がっていました。

細かな顔の感じを見るためにも是非配信だけでなく、音響・大画面にこだわった映画館でも是非。


MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない

🕊ハトです🕊
「前も同じような仕事してたな...…」というのをマジでリアルに企画側が感じたのでできてしまった、密室?社畜タイムループ物。

「あ~なんか職場でこういうことある(あった)よね!」感がすごい!!w
別になくても「こういう人いますよね」感が各キャラにかなり詰まってることで謎の説得力が生まれているなと。
ここ数年、規模を問わずにエンタメよりな邦画が元気なのを感じれてめちゃくちゃ良いんですが、その中でもMONDAYSはかなり制作の裏側をきっちり公開してくれてる印象があるので、もし本編見れた方はそちらへも。


劇場版「ゆるキャン△」

ゆるキャンで泣かされるとは思わなかった……
大人になっても「何でもできるってわけじゃない」って気がついたけど、自分たちの「楽しいって思ってることが色んな人に伝わって、その人達がまた次の人達に楽しさを伝えていく」……そんな作品。

クリエイティブの現場側にいると、この言葉が痛いほど刺さって本当にボロ泣きしてました。
純粋にきらら系癒やし映画として、安定してる良さもあるのでその点でもオススメしやすい一作だなと。


サウンド・オブ・メタル

日本語副題、邪魔ぁ!!!!w
2021年公開作ですが今年初めて観たので紹介を。
メタルバンドやってたら難聴になってしまったという感じのストーリーの「アマゾンプライム限定映画」「ヘッドホン推奨映画」。

全体的に画作り面での描写がキレイなのもあるけど、何よりも音響。ほとんど劇伴がないこともあり、台詞回しや環境音にすごく耳を向けることが多く、逆に「音楽映画」として音の大事さが際立っていたように思う。
一時期映画館でもやってましたが、最初はアマプラという配信限定映画にしていることで、余計にヘッドホンでの視聴環境を想定された作品だったんだろうなと感じてる。


ドント・ルック・アップ

こちらも2021年公開のNetflix映画。
三流天文学教授と学生が、地球衝突コースで向かっている小惑星を発見し、確実に地球が滅亡してしまうことがわかり、その事実を広めて何とか食い止めようと奮闘することで巻き起こる「ブラックジョークまみれの、引き笑い映画」。

視聴者も最初は作中のワイドショーコメンテーターのように笑って観てしまうブラックジョークがいっぱい出てくるが、どんどん引き笑いに変わってしまいどんどん「笑えなくなっていく」。
裏テーマとして環境問題を抱えているのがすごくわかるが、それを良い形に「人災」としての側面に見事に昇華できている一作だなと。
ディカプリオがめちゃくちゃ冴えない大学教授役してるのも良い……


アベンジャーズ/エンドゲーム

今更ですけど、観ました。
今更履修するにはハードルの上がりすぎたMARVEL作品を多少でも観れるようにしようと、ガチ勢の友人たち数人の意見を参考に「アイアンマン」「アイアンマン2」「アベンジャーズ」「アイアンマン3」「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」と視聴して本作も観ました。

結果、やっぱり有名なラストバトルの一連のシーケンスは確かにグッと来ました!リアルタイムで本作を追いかけれた人たちの脳みそがこんがり焼かれて世界的に熱狂の渦を起こしたのもうなずけました。
多分スターウォーズとか、ロード・オブ・ザ・リングとかをリアルタイムで追いかけてた人たちも似たような感動があったので、今後もMARVEL続いてくだろうなーとしみじみ感じてます。

(ただやはりこれから追いつこうとする人向けに、映画7本観てくれと言うのはマジで勧めにくいし、自分も息継ぎしながらすこーしずつ観てるようなレベルなので、よほど気になってなければ無理して追いつかなくても良いのでは?とはなりました)




アニメ・ドラマ・中尺程度の映像作品

ラブ、デス&ロボット

ネトフリオリジナルの、1話15分未満の短編がいっぱい詰まってる作品集。 場合によっては実写も入っているが、9割がたCGや手書きのアニメーションオンリーの作品群で、毎回手法も表現も結末もバラバラなため「今回は何が来るのか」をワクワクする感じが非常に良い。

ただ、内容はハッピーなものが意外と少ないので、その点は要注意。海外作品特有の意味深な終わり方やブラックジョークな締め方をすることが多いかなと。

日本からも、「シドニアの騎士」や「亜人」、直近だと「空挺ドラゴンズ」の制作で知名度が一気に上がったポリゴンピクチュアズがシーズン3で参加。上記の作品で国内知名度が上る前から、「日本国内で海外アニメーション作品を主体に受注しているスタジオ」だったこともあるのか、周囲の海外作品と一緒になっても味変されずに一連のシリーズとして歯ごたえのある一作になっていたのでこちらも注目点です。


リコリス・リコイル

放送終了後にイッキ見しましたが、デッケェ矢印で見事に脳みそこんがり焼かれました。
現代社会の迷彩服として、女子高生の制服を着た孤児で構成された政府非公認超法規的治安維持組織「リコリス」に所属してる二人を中心にしたガンアクションと日常の温度差が際立つバディ物。

主役二人の関係性もありますが、周りのキャラも徹底的に面白い。その上で細かなモチーフやレイアウトがすごく印象的に使われていて、ゴリゴリのアクションと合わせてプリプロのコアスタッフの地力の強さが見事に噛み合ったアニメでした。

各声優さんたちの演技面もめちゃくちゃ自然体にできている一方で、シリアスからギャグまでめちゃくちゃ振り幅があって、こちらでもこんがり脳焼きが……


ぼっち・ざ・ろっく

「引きこもり一歩手前ぇ~です~ぅ」の入りでゲラゲラ笑った。
きららアニメとは思えない主人公崩壊っぷりと、確かに日常系なのにゲロ重な演出でこちらも脳焼きされました。

音楽系アニメ作品で最大の難所の「演奏シーン」、特にドラムの重量・反発感あるスティック裁きってめちゃくちゃ難しいはずなのにしっかり作られていて度肝抜かれました。GoPro風画角みたいなのもCGを下地にしてるからこそできてると思うので、本当に面白い。

更にぼっちちゃんを使った映像表現の振り幅を観て「あれ?これ映像博覧会状態では???」となってます。


平家物語

今年公開の映画「犬王」もある意味で同じ題材を扱った作品・ほぼ同時期での制作と考えると、監督やコアスタッフ・制作スタジオの違いでここまで作品になるのかという驚きが。
「義務教育を真面目に受けてるほどネタバレをされている作品」「続編が絶対にないことが唯一の欠点」と言われるのが納得の名作でした。

作中、「眼」が重要な要素として出てきますが、その色や形や視線がすごい色んなところの演出として散りばめられていてめちゃくちゃ良かったです….…

劇中で清盛が「貴族だけが支配している世界に、武士という身分で風穴を開けた」というような話をしていて、義務教育日本史だけやっていた身からすると悪役風に描かれがちな平家がかなり新しい視点でみれたのも意外性があって良かったなと。


86―エイティシックス―

昨年の作品ですが、今年のアマプラ無料配信終了直前にイッキ見しました。
2期入ってから中盤少しダレる印象はありますが、特にラスト2話でのカタストロフ感がすごい。ラスト2話で積み上げた伏線を演出・レイアウトで一気に回収していくパワーは一見の価値ありだなと。

それにしても「多脚戦車」は「ロボット物」のジャンルに含めもんなんですかね?


サマータイムレンダ

時間ループを繰り返していくことで、島に伝わる「影の病」にまつわる家族や友人の死を回避していこうとするサスペンス作品。

オススメされるまで映像・CGの書き出しを指す「レンダリング」の「レンダ」だと思っていたんですが、マジで「レンダリング」でゲラゲラ笑ってしまった。でもそれを塗りつぶすだけのサスペンスとしての面白さで引っ張りきっていて素晴らしかったです。




以降、記事二本目へ……