2021年映画5選+α

昨年は「min.t」というサービスでまとめてましたが、今年はこちらで。
(今年の下半期が忙しくほぼ映画館にいけてないので、半分に減らしてます)
昨年の記事はこちら↓から

この5選におけるマイルール

1、あくまで「選」なので、順位付けとかはしない。それぞれにそれぞの良さがある。
2、劇場・配信は問わない。最近は配信だからこそという映画も出てきているので、どっちに優劣があるとかないとかそういう話はしない。
3、対象は日本国内で2021年公開作品。自分が今年初見だったという理由で2020年公開作を入れたい場合は「+α」の部分で。
4、映画単体で完結しているというのは最低条件。「TVシリーズ」や「前作映画」などが視聴前提の連作系でどうしても勧めたいのは「+α」扱い。

1本目:スペース・スウィーパーズ

Netflixオリジナル作品。早速配信限定作品から。SFエンターテイメント系作品。
「船員が全員訳アリの宇宙デブリ掃除屋が、偶然拾った『世界を変えうる』子供に翻弄されていきつつも、最後は団結して世界の危機に立ち向かう」
非常に内容が単純明快分かりやすく、痛快で見やすく、アクション性も強い作品。いわゆる「頭空っぽにして、ポップコーン食いながらビールあおるのが最高に楽しい」作品
それでいて、韓国の国策として支援を受けている作品だけあって、VFX関連のコスパのかけ方のバランスがお見事な作品でした。

2本目:花束みたいな恋をした

東京テアトル配給作品。恋愛もの。
「サブカル系男女の、偶然出会いから恋、そして別れを描いた名作」
このご時世に、映画館にわざわざ足を運ぶようなオタクだと「あ~わかるわかる」というネタがちりばめられつつ、それらでうまく感情移入させるような脚本構成にびっくりしました。
どこかで読ませていただいた本作の評論記事で「サブカルは好きだけど、どれにも本気になり切れてない若者という描き方が見事」というのを見かけて、本当にその通りだなとチケットの下りや、ゲームの下りなんかでよくよくかみしめるようになりました。

3本目:サイダーのように言葉が湧き上がる

フライングドック10周年記念作品。
「片田舎のショッピングモールで起きた、ひと夏のはじけるような恋物語」
昨年の東京国際映画祭での先行上映を観させていただいてから、本公開を非常に楽しみにしていて、初日から突撃させてもらった作品。
ストーリーには目新しい要素は正直ほぼないが、「音楽」を主軸に「レコード」「俳句」「タギング」「スマホとSNS書き込み」などの言葉にフォーカスをしていくことでグイグイ引き込んできたうえで、ラストシーンでの爽快感。それでいて、最近のアニメ作品には見られないほどビビッドなカラーの画面デザインで本当に驚きましたが、監督のルーツとして80年代ポップカルチャー風テイストと後に知って納得しました。
「ウィルキンソンもって映画を見始めたら、終わるころには恋の甘さにサイダーになってる」というのをよく人に勧める際に言ってます。

4本目:Arc アーク

石川慶監督 × ピオトル・ニエミイスキ撮影監督の名タッグによる作品。
個人的に前作「蜜蜂と遠雷」以降、大ファンです。
「遺体をまるで生きているような形に永久保存する技術と、それを応用して開発された不老不死の技術。それらの中心で葛藤することになる女性の人生を描いた、近未来SF」
日本人に響きやすいテーマ性の原作を、見事なカメラワークと照明・グレーディングの描写で描き切っていると同時に、3世代を演じ分けた主演の芳根京子さんの演技力と、それを見事にまとめあげた監督に脱帽でした。
「観客を引き込む物語性、カメラ、照明、役者、美術、音楽。アートよりの映画に必要な要素を見事にすべて高得点叩き出している、文句なしの一作」
美術的にも、現代から地続きになっている感を出している「近未来感」で視聴者の頭に違和感なく未来像を描かせることに成功しているなと感じます。

5本目:サマーフィルムにのって

主演陣に元乃木坂メンバーを迎えた、一見「アイドル起用作品かな?」と思わせられた、すごい作品でした。
「文化祭に向けて、キラキラ青春映画を撮っている映画部のメンバーに嫌気が差し、自分が好きな時代劇を作ろうと仲間と奔走する「映画を作る」青春映画だが、ここにタイムトラベルなどのSFが徐々に絡み始めて・・・」
特に賛否がすごく分かれた「ラストシーン」は、個人的にものすごく好きな部分です。(ネタバレ怖くて、詳しくは書けませんが)
映画を作る映画としてみるよりも、青春部活ものとしての側面が強いなと感じるとともに、自分が創作を始めたころにあった青臭い葛藤がちゃんと描かれていたように感じました。
不特定多数に対して作品を出すこと、公開後にする後悔、後悔を経たうえでどういう形であっても作品を納得する形で完成をさせるという姿勢、それが主人公の感情面にもつながる作中での二重構造が見事でした。脚本の強さに引っ張られた一作だなと感じてます。

ここまでが、今年の5選ですが、ここからどうしても+αで語りたい作品を追記していきます。
+α扱いな理由も一緒に追記します。

+αの1本目:映画大好きポンポさん

+α枠の理由
「記者・報道関係者向け試写という枠で一足先に観させていただいたため、実質関係者と思ったので、「5選」そのものにいれてはいけないなと感じたため」
(ここから下の本作についての文面は上記の理由で、オススメというよりは宣伝味が若干混じるかもしれませんのでご了承ください)

KADOKAWA配給。原作は杉谷庄吾(人間プラモ)さんのpixiv投稿作品。
「映画を作る映画として、制作現場を見事にデフォルメした上で、モノづくりの真髄とは何かを視聴者に問いただす、クリエイター賛歌アニメ作品」
原作のpixiv投稿されたころからの大ファンで、公開を本当に心待ちにしてた一作でした。それ故に様々な心配もしていましたが、監督の見事な手腕によって、「クリエイターにも、それを応援する側も、楽しめる一作」に仕上がっていました。
原作・映画本編どちらでもいいですが、映画本編については「90分」という非常に視聴しやすい尺なのも積極的に勧められる一因です。
原作も「コミックス化されてる一巻分」ならWEB上で無料で読めるので、是非。

+αの2本目:劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト

+α枠の理由
「TVシリーズか、総集編の視聴が推奨されるため

TVアニメシリーズの完全新作劇場版。
今まで映画も含めて、個人的に2021年最高傑作。
唯一、「事前知識なしでいきなり劇場版だとちょっと厳しい」という欠点がありますが、それでもオススメします。

元々は「2.5次元舞台のような『アニメから舞台へ』という導線の逆ができないか」ということで「舞台からアニメへ」を意識したブシロードのプロジェクト。
「舞台を志す9人の少女たち。卒業を控えてそれぞれの目指す舞台が徐々に分かれていく中で、心の中で抱えていた様々な葛藤が『ワイルドスクリーンバロック』という場で描き出されていく」
アニメじゃないと描けないほど壮大なアクションや舞台装置の挙動、画面構成やライティングの妙が本当にすごい一作。
配置されているものにすべて意味があるように見えて、がっつり深堀できるというのが、「アニメで描く舞台」として本当に素晴らしかったです。
類似作品が少なく、説明が難しいのもあるので、公式youtubeチャンネルで公開されている第一話を見ても「大丈夫そう」となったら、TVシリーズか総集編を追いかけてもらえたらいいかなと思います。
このアニメ第一話に「このアニメ世界のルールは全部入っている」ので、これでいけるなら、劇場版も間違いなく刺さるかと。

以上、2021年映画5選+αでした。