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酷暑に沸く脳

一歩外に出れば
紛れることはできても逃げることはできない

どうか、何も悟らないでくれと
微笑むことにすら怯えて出来上がる
違和のある無表情

歩けば
歩いていくほど重くなっていく脚

陽射しは静かなる断罪者
どこからだってこちらを見ている

間違いを始めてからどのくらいが経っただろうか
時間を数えることは徐々にそれ自体が飽和して脳の肥やしにもならずに
連続する空っぽな今日の波の中に消えていく

欲しかったのは夜ではなくて
影だった
少しだけ何も無いことにしてくれる、
姿一つ隠れられるような刹那の、
呼吸ひとつ分の、
影だった

外に出ては
平等を恐れて。

橋は日替わり

瞬けば次の朝
透明の、鎖のような連なり

暑苦しさ
煩わしくて服を脱ぐ

これまた透明なシステムの上の足跡

馬鹿馬鹿しくなって外側に飛び込んだ


ぬるま湯のなかにイルカ

並んで泳ぐ

太陽の死角


たまに口を休めて
目を回してみる

予定調和の外側の景色を。


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「此処ではない何処か」
そんなのは何処にも。

何を望んでいるのか知りもしないのに
どこに至れるというの

行きたい場所なんてありゃしないと
わかっているくせに

わかっているくせに血肉の下で
そっとじっと望んでる

きっと枯渇することのない永遠に潤った大地が
きっと枯れ朽ち果てることのない果実のたくさん実った大樹が何本も生えているような
きっと柔肌の汚れなき天使が微笑んで膝枕してくれてずっと微睡んでいられるような

そんな永遠なる安息という言葉がしっくりくるようなわかりやすい楽園が
どこかにあってくれたならと

そんな
誰かに大事にされたような世界を
誰が簡単に誰かに教えようというのか

一輪の花を綺麗に咲かせることもできないで
夢を見ているここはまだ
揺り籠の中