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<縁は異なもの粋なもの?>Don’t think! Feel JAZZ! 第十回 「〜大海に出るとき〜」

※黒田ナオコ過去コラム公開 2018年6月号のひろたりあん新聞掲載


人が作るものには、ふた通りある。

残るものと、すぐに消えていくもの。

例えば、飲食店などはわかりやすいけれど、食べたら消える。

車や、家具や、服、貴金属などは、残るものだ。文房具などいわゆる消耗品も目には見える。

目に見えないものですぐに消えていく代表選手で表彰台に上がれそうなのは、音楽だと思う。

同じ芸術でも、絵画や陶芸などは残るものだ。

私にはあまり絵心がなかったが、(好きではあったが残念ながら人に見せるほど上手くなかった)美術をやろうという気が起こらなかった第一の理由は、整理整頓が大変そうだから。書いた作品、作った作品、これをどう保管するか、場所が必要だなと想像しただけでも困る。私は大のキレイ好きだが、整理整頓が苦手。しぶしぶ片付けるタイプ。

その点、音楽は良い。ピアノや歌、オーケストラ、バンド。楽しいものが生み出されていくが、終わったら消える。私は、音楽は「消えもの」だとよく言っている。

消えもの。これの魅力は計り知れない。人はなぜ、アイドルのコンサートに行ったり、オーケストラを聴きに行ったりするのだろう。テレビでもCDでも聴ける。けれど、生で聴くのは格別だ。その場にいる人しか体験できない空気と臨場感。体感しに行くことに喜びがある。ミュージカルや演劇もそうだ。

しかし反面、いつも聴きたいときにコンサートに行けないし、地方に住んでいたらそうそうアイドルも劇団もこない。頼るはCDやビデオだ。また、CDを聴きながらコンサートを思い出すのは楽しみのひとつだ。

と言うわけで長々と書いたが、音楽は生で聴くのが楽しいが、ライブだけを何年も続けていると、どこかで区切りをつけたくなる。録音の楽しさを知っていたら尚更だ。レコーディングは、自分の出す音と正面で向き合う。すぐに消えてしまったりしない。何度も流して確認する。買った人も、きっと何回も聴いてくれるだろう。やはり喜んでいただける納得したものを作りたい。満点にはならないけれど、いまの自分を記録できる。

音楽では、録音をすること。これが作品として残す唯一の手段だ。

と言うわけで、この度、私は、三枚目のアルバムを作った。日本を代表するジャズマンたちとの録音。自分にとっても心に残る一枚になるだろう。

私がアメリカのバークリー音楽大学から帰ってきてもうすぐ20年。思えば中学生の時から、バンドだとか作詞作曲だとかをやっていた。幼少期からマイクを握っていたし、人生のほとんどが音楽で埋め尽くされてきている。


その間に、勉強も、会社勤めも、子育ても、指導の仕事も、人間関係も含め、人生経験を積んできて、このコラムを書かせてもらう縁ができた。

不思議なものだ。横浜市青葉区に住んで20年。今は地域の方々との交流やイベントも出来て有難い。

このコラムはこの回を持って最終回にさせていただく事になった。

次のご縁で、ぜひお会いしましょう!地元万歳!



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