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いま、鉄の蓋がアツい。~蓋と意匠とまちあるき~

みなさん、国内旅行はしますか?

日本は東西南北に広く、各地に地域の名所やカラーがあって、どこのまちに行っても「来てよかったなあ」って思えるはずです。

そして旅行したらきっと写真を撮ったりお土産を買ったりと、なにか記念を残したい!と思う方も多いんじゃないでしょうか。でも、写真は整理が大変だから見直さない、お土産は重いしかさばるし結局捨ててしまう……。そんな経験ありませんか?

そんなあなたにおすすめ、きょうはいろんなまちにある軽くて薄い「鉄の蓋」のお話をお届けします。


「鉄の蓋」とは

冒頭の「鉄の蓋」。もうピンときている方もいるかもしれません。

そう、マンホールです。正確には、マンホールとは地下につながる穴のことで、この写真は「マンホールの蓋」が正しいですが、ここではこの蓋自体をマンホールと呼ぶことにします。

Wikipedia「マンホールの蓋」より:マンホールの蓋は、マンホールあるいは排水桝の最上段に載置・嵌合される蓋あるいは蓋付枠である。人や物が誤ってマンホールに落ちてしまうのを防ぐとともに、関係者以外の進入を防ぐため、マンホールの開口部に嵌められた着脱可能な蓋を指す。

さて、「急にマンホールの話をされても、そんなただの鉄の蓋になんて興味はないが?」と思ったあなた、私も最初はそうでした。しかしこの鉄の蓋、結構奥が深いんです。

マンホールをマンホールたらしめるのは、表面のデザインでしょう。たとえば無地のツルツルした鉄の円盤を見ても、それをマンホールとは呼ばないのではないでしょうか。マンホールはただの円盤ではなくて、幾何学模様だったり文字だったり、なにかしらデザインが彫られている、そういう印象があるはずです。その最大の理由はすべり止め。表面に凹凸がないと、マンホールの上を通った車や人が滑ってしまうおそれがあります。そして単に凹凸をつけるだけではなく、デザインを彫ってみようということになり、各地のマンホールは地域ごとに様々なデザインになっています

「下水道用マンホールのふたの設計基準の全国統一と安全な製品を普及させる目的」(引用元)で設立された「日本グラウンドマンホール工業会」のページにはより詳しい歴史が書いてあります。当初は特にデザイン性が高かったわけではなかったものの、昭和60年代には建設省によって各市町村独自のデザインにすることが提唱され、各地でデザイン化が進んだようです。


「鉄の蓋」とまちあるき

マンホールのデザインは各地域で様々。各地の名物やPRポイントなどがあしらわれていることが多いです。

たとえば多くの皆さんが日ごろ目にするであろう東京23区のマンホール。ただの幾何学模様だと見逃していた方も多いかもしれませんが、実は都の花「ソメイヨシノ」都の木「イチョウ」都の鳥「ユリカモメ」がデザインされています。

↑これはカラーに色付けされているものですが、なんとなくデザインに見覚えあるかと思います。

このほか、最初に貼ったマンホールの写真は函館市のマンホールですが、よくみるとHAKODATEの文字とともに、函館の名所・五稜郭があしらわれていることがわかります。ほかにも函館市には名物のイカをあしらったこんなデザインも。

すべてのまちに特徴的なデザインがあるわけではありませんが、訪れたまちのマンホールがめずらしいデザインだったら、また新しいまちに来たなあと嬉しくなるのではないでしょうか。あるいは何気なく見ていた自分のまちのマンホールが実は何かのデザインだったとしたら、新しい発見をした気になりますよね。

ちなみに先ほどの東京都のカラーマンホールもそうですが、一部のマンホールは色がつけてあります。写真は新潟県長岡市のもの。

ちなみにこの長岡市のマンホールに描かれているのは、火焔土器、花火、桜、郷土資料館。火焔土器は長岡市で発見された縄文土器で、その後ろの花火は日本三大花火の一つ、長岡花火をあらわします。また桜と郷土資料館は郊外にある悠久山公園の名所です。このように、マンホールはまちの有名なスポットを紹介するツールにもなっているわけです。

ちなみにこうしたご当地名物をあしらったマンホールの先駆けとなったのは那覇市のようです。"かつては幾何学模様が中心だったが、那覇市が1977年に「魚の住める環境に戻す」との思いを込めて魚群のイラストを採用したのを機に各地に広まったとされ"ています。(引用部:「(ニュースQ3)ご当地マンホール、人気の訳は」朝日新聞、2016年6月15日)


「鉄の蓋」を集めよう

さて、ここまで「無機質に見えて実はいろいろなデザインがあった」マンホールについて紹介してきました。しかし、マンホールのデザイン自体は前からあるし、そもそも重いし持ち運べないし、結局写真を撮らないと記録できないじゃん、とツッコミが入りそうなところです。

しかし最近、このマンホールが集めやすくなっているんです!

それが「マンホールカード」。

その名の通り、ご当地マンホールがカードになったというわけです。

下水道事業について国民の理解を深めようと活動しているGKP(下水道広報プラットホーム)が中心となり、マンホールを設置する自治体などとともに作成しているカードです。カラフルで洒落ています。

このマンホールカード、表面には自治体名やマンホールのデザインが描かれ、裏面にはデザインの由来や設置年などが丁寧に書かれています。たとえば千葉県柏市のマンホールカードの裏面はこんな感じ。

柏は私の地元ですが、マンホールの由来をここまでは知りませんでした。

マンホールカードは2016年4月1日、28自治体の参加によってスタート(先述、朝日新聞2016年6月15日より)。開始から3年が経つ2019年3月現在ですでに第9弾まで登場しました。その数は407自治体・478種類にも及び、今後さらに拡大するようです。このカードなら、訪れた記念に簡単に集められるし、薄くて軽いのでコレクションも簡単です!


「鉄の蓋」どこでもらうのか

最後に、このマンホールカードはどうすればもらえるのかを紹介します。

基本的に配布場所は一枚のカードにつき一か所のみです。配布している自治体と配布場所はこちらで調べられます。

おおむね配布場所は①「下水道局・下水道関連施設」・②「市役所や町村役場」・③「観光案内所・観光施設・道の駅ほか」の3パターンにわけられます。このうち③のパターンなら旅行のついでに簡単に立ち寄れるのでおすすめです。一方①②は用事がなければなかなか行かないので、事前に調べていかないと少し寄りづらいです。

マンホールカード最大の特徴は「無料でもらえる」こと。一人一回一枚と制約はありますが、お金がかからないのは大きいです。

もらい方は簡単で、配布場所(何かしらの窓口であることが多い)に行って「マンホールカードください」といえば渡してもらえます。下の野田市役所の写真のように、目印ののぼりがたっていることもあります。なお、自治体によっては統計のためにどこから来たのか(市内・県内・県外など)を聞かれることがあります。

というわけで、今回はマンホールカードについて紹介しました。まだ開始から3年しか経っていないですが場所によっては配布予定枚数に達し追加配布が行われているところもあるなど、最近アツいブームが来ているようです!手ごろに集められるこのカード、まずはお近くのまちでもらえないか調べてみてはいかがでしょうか?

ちなみに私自身執筆時点でまだ8枚しかもっていないので、これから一緒に集めに行く同志も募集中です!

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