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三国志展 憧れの原点へ

7月上旬、東京は上野の東京国立博物館にて特別展「三国志」が開催され、そちらへ行ってきました!

本展は、「リアル三国志」を合言葉に、漢から三国の時代の文物を最新の成果によってひも解きます。
2世紀末、漢王朝の権威がかげりをみせるなか、各地の有力武将が次々に歴史の表舞台へと躍り出ました。そうして魏[ぎ]、蜀[しょく]、呉[ご]の三国が天下を分かち、新時代へと向かう大きなうねりとなりました。
近年、三国志をめぐる研究は曹操高陵[そうそうこうりょう]の発掘など空前の活況を呈しています。それらは実物ならではの説得力と、歴史書や物語をしのぐ迫力があります。2019年、三国志の"新時代"が始まります。
(公式ホームページより抜粋)

去年の秋ぐらいだったでしょうか、こちらの展示会が開催されると聞いてから一日千秋の思いで開催を待ちわびていました! 私にとって、三国志の歴史、そして物語とは歴史好きになるきっかけであり、まさに原点と言っても差し支えない時代なのです。これはもう行くしかないでしょう!

この展示会のすごいところは挙げるとキリがないほどなのですが、私が最も感動したのは『三国志を知らない人でも十分に楽しめる展示だった』という一言に尽きます。
人と話をしていてよく聞かれるのが「三国志と三国志演義って何が違うの?」という質問。確かにこれ、知らない人にとっては同じものなのか、違うのか、よく分かりませんよね……突然「正史」だ「演義」だと言われても同様で。特に昨今はゲームなどでも大いに取り上げられるジャンルですから、ますます分からない……ということは十分にあると思います。(大体、正史と演義の違いが分かってないなんて些末な問題は何十年も昔からありますよね、たぶん)これは一例ですが、この展示会ではそういった『全然知らないんだけど……』という人に向けても丁寧にかつ分かりやすい展示物の配置パネルの文章時代の流れがわかる動線といった会になっていたと思ういます。

見やすい展示というのはそれだけで行って良かったと思えます。そこに物があるだけだと、なにがなんだか分かりませんから、基礎知識がない人にも理解が及ぶ展示というのは本当に凄いことだと思います。

そもそもこの展示会、集まっている物も凄い‥‥!

現在『孔明のヨメ』を連載されている三国志オタクで有名な杜康潤先生がご自身のツイッター(@toko_wanko)でもレポ漫画を描かれていて、そちらが大変分かりやすいのです(おすすめです)が、長い年月をかけて中国全土から調査・研究を経て集められた貴重な史料たちが目白押しで並んでいます。その数162点! 会場として一番の見どころは2009年に発掘された曹操のお墓とされる曹操高陵[そうそうこうりょう]でしょうか。随の時代に初めて白磁が造られたとされてきましたが、この高陵からも白磁の壺が出土したことで歴史を覆す大きな一歩となっていると伺います。また、曹操を示す「魏武王[ぎのぶおう]」の名が刻まれた石牌などは日本初公開。まさにお宝の山!(曹操は宝を入れずに質素な墓にしろ、と命じて亡くなりましたが、後世の人間にしてみたらそれ自体がもう宝ですね。合掌。)

▲「魏武王(ぎのぶおう)」の名が刻まれた石牌

こんなに貴重な史料をこの目で見ることができるなんて‥‥生きていてよかった‥‥。
そしてまたこの展示会、驚くべきことに(驚いてばかりです)全史料、写真撮影が可能!(勿論フラッシュなどは駄目です!)また一次史料だけではなく、「三国志と言えば‥‥」で代表されるサブカルチャーの担い手、横山光輝氏原作『三国志』の生原稿や、『人形劇三国志』の人形師を務められた川本喜八郎先生の人形たちが、この展示会に集められていたのです! きゃー! と叫びたい衝動を何度抑えたことか!

アアアア見てくださいこの美しさ‥‥孔明‥‥これですよこれこれ 私が崇拝する諸葛孔明ですよ‥‥(※人形劇三国志が大好きで大好きで大好きでビデオテープで全話いまだに取ってあるのですが、悲しいかな再生機がすでにないという‥‥)かつて小JUNEでも白井恵理子先生が『STOP!劉備くん』を連載されておりましたし、同時期に江森備先生が『私説三国志 天の華・地の風』を書いておられました、大好きです。私にとって諸葛孔明という男のイメージ図は、まさにこの人形そのものなのです。この目で拝むのは三度目でしたが、やはり何度見ても美しい‥‥合掌。

この他にも、コーエーテクモゲームスとの協賛による「演義ブース」とでも呼べばいいのか、魅力的な心躍る三国志演義の世界へ引き込むようなファンには堪らない展示ブース、豪華な音声ガイドも二種(ゲーム「三国志無双」シリーズに登場するキャラクター四名が掛け合いをする紹介音声と、歌手・俳優などで活躍されている吉川晃司さんによる紹介音声)用意されており、何度行っても飽きることがないのではないでしょうか‥‥! 音声ガイドは借りて損がありません。絶対。ミュージアムショップではこの展示会のために用意された素敵な品々が目白押し! 横光三国志の「だまれTシャツ」最高です。図録はフルカラーで、こちらは書店でも購入が可能です。私は図録だけ購入しようと思っていたのですが、あまりにも展示が良かった(構成なども含めて)ので、ついトートバッグ付きのセットを購入してしまいました(笑)

東京上野での展示は9月16日(月・祝)まで。また10月1日(火)からは福岡県にある九州国立博物館にて引き続き展示が行われます。こちらは来年の1月まで開催予定。ちょうど10月に福岡に旅行なので、九博も行ってきますよー! 東京もあと二回くらいは行きたいのですけど‥‥(笑)

自分の歴史好きの原点とも言える三国志。

正史でも、演義でも、その魅力が損なわれることなんて一つもありません。ドラマ(物語)があり、時代を作ったあらゆる物があり、土地があり、人間がある。もうそれだけで最高に楽しいです。およそ二千年前に、このような人々が生きて文明を作っていた。戦争をしていた。物を食べ、子を成し、字を書き、話をしていた。最高です。

そういった気持ちを改めて呼び起こしてくれた特別展「三国志」。三国志を知らない人も、知っている人も、是非足を運んでみてほしいと切に思います。

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最後になりましたが、今回の記事に使用させていただきました写真は、全て展示会及び著作権、保有権を所持しておられる各団体と関係者様に基づきます。ツイッター等でも告知がありましたが、個人利用に限り許可されており、これらに対して商用利用、イベント告知やアイコン使用など他用途での使用は固く禁じられています。無断転載、加工、その他法に触れます行為は絶対にお止めください。
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