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SDGs定点観測 目標7:エネルギー

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今回は目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに、略してエネルギーです。業種を問わず再生可能エネルギーの導入は活発で、最も言及の多い目標の1つとなっています。この目標はエネルギーの安定性とクリーン性の両立が焦点のはずですが、グリーン性に重点を置くケースが多いようです。そのため、個社レベルでは化石燃料由来の電力から再生可能エネルギー由来の電力への切り替え、社会レベルでは脱炭素社会への移行が話題となりやすいのです。その中でも脱炭素社会への移行で最も影響を受けやすい石油元売り業者がどのように取り組んでいるのか、中期経営計画を比較してみたいと思います。

JXTGホールディングスは2020~2022年度までの中期経営計画で2040年にありたい姿としてカーボンニュートラルを掲げ、その実現手段として次世代エネルギープラットフォームを挙げています。そのほとんどは省エネ関連ですが、水素の活用は再生エネルギーと言えそうです。現在は海外水素サプライチェーン構築に向けた実証実験を行っており、大規模な太陽光発電や風力発電が実施できない日本にとって救世主となるかどうかが注目されます。

コスモホールディングスは2018~2022年度までの中期経営計画で、洋上風力発電のリーディングカンパニーを目指すことを掲げており、2017年度に50億円未満である同事業の経常利益を2030年度までに200億円超にすることを目指しています。しかし本格的な収益向上は次の中期経営計画以降になるという現実的な見方を示し、現中期経営計画期間では事業計画策定や発電所の建設に注力するとしています。

出光興産は2020~2022年度までの中期経営計画で2030年、2050年の定量目標を掲げています。2030年までにCO2排出量を2017年比15%削減、2050年までにエネルギー単位量当たりのCO2排出量を2017年比30%削減するという目標を公表しています。これだけであればよくある目標ですが、全社収益の炭素脱却度をKPI(業績指標)に掲げている点は先進的です。同社のCO2排出量(全排出量からバリューチェーン全体を通じたCO2削減への貢献を差し引いた量)単位量当たりの収益レベルをいかに引き上げているか、すなわちどれだけCO2排出量を排出せずに収益を上げているかということです。再生可能エネルギービジネスを収益化すれば、このKPIの向上につながるため、単なる再生可能エネルギーの拡大よりも経営者に受け入れられやすい指標です。

どの再生エネルギーに注力するか、収益性をどこまで考慮するかなど各社各様ですが、重要なのは最初に申し上げた脱炭素社会への移行というトレンドにおいてどの会社が生き残っていけるのかです。どの会社の戦略が奏功するか、楽しみにモニターしたいと思います。


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