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SDGs定点観測 目標5:ジェンダー

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製品との紐づけはわずか

今回は目標5:ジェンダー平等を実現しよう、略してジェンダーです。ほとんどの日本企業は女性活躍推進政策を受けて従業員配慮の各種取組と紐づけてこの目標への貢献を掲げています。

しかし少ないながらも一部の企業はこの目標を自社製品と紐づけて紹介しています。例えば、デンカは女性用のウイッグやヘアピース用の原糸を製造しており、薄毛に悩む女性の暮らしの豊かさの向上を目指すとしています。

シチズン時計は工作機械事業で特殊技能が必要な製造工程の自動化とこの目標を結び付けています。あくまでも特殊技能を受け継ぐ人材が将来的に不足する可能性を低下させることを目的としており、直接的にはジェンダーとの関連性は薄いように見えます。

ジェンダー配慮=女性活躍ではない

冒頭でこの目標と女性活躍推進の取組を結び付ける日本企業が多いことに触れました。しかしジェンダーとは女性を示すものではありません。ジェンダー(gender)は社会的な性の意で、生物学上の性(sex)と区別するために使われます。この両者に差があるLGBTの人々の配慮も本来含むのです。長らく労働市場では男性優位が日本では続いていたため、女性の職場での活躍機会を増やすというのはジェンダー配慮に含まれますが、それだけではないということです。

また企業はそもそもその活動原資を得るために利益を上げ続けなければならないという点も忘れてはなりません。女性が活躍することがそれに寄与するのであれば、重視しなければなりませんが、平たく言うと企業は女性活躍を目的として存在していないということです。以前女性活躍を推進する団体30% Clubが日本に進出してきた時にも、この点に言及したことがあります。

今週の日経新聞でもSDGsへの過剰な遵守に警鐘を鳴らしています。以下の記事の言葉を借りれば、企業に求められるのは経済価値を高める活動であり、これからは追加的に社会価値の向上も求められるということです。社会価値が先ではない点は留意しておく必要があります。


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