見出し画像

SDGs定点観測 目標6:水・衛生

本シリーズの投稿はこちらのマガジンでご覧になれますので、よろしければこちらのフォローもよろしくお願いいたします。
また東海カーボンのアニュアルレポートで社長との対談を掲載していただきました。よろしければご覧ください。

水に対する様々なニーズ

今回は目標6:安全な水とトイレを世界中に、略して水・衛生です。日本にいるとあまり感じないかもしれませんが、世界は水不足の危機にあります。毎年1月に世界の首脳がスイスの避暑地に集まる会議であるダボス会議ではグローバルリスク報告書を公開しています。同報告書では「発生の可能性が高いグローバルリスク」「影響が大きいグローバルリスク」の上位5位を挙げています。水危機は2012年から9年連続で「影響が大きいグローバルリスク」の上位5位以内に入っています。

このような水不足の危機には大きく分けて1)量の不足、2)質の不足の2種類があります。1)についてWWF-UKは既に世界の17億人が慢性的な水不足に悩まされているだけでなく、世界の80%が安定的な水利用が危機にさらされていると警告しています。2)についても同NGOは2011年時点で25億人が安全なトイレにアクセスできていないと推計しています。

また水不足は世界的な問題ではあるものの、地域差が激しい問題です。それが一目でわかる地図も公表されています。以下の地図では赤の色が濃いほど2040年までに水不足が深刻になりそうだと示しています。

TOTOとLIXILグループに見る活動の多様性

この問題の解決に資する製品・サービスの提供では様々な日本企業が活躍しています。例えば栗田工業は水処理装置や関連する薬品を製造しています。水と言っても飲み水だけでなく、半導体の洗浄に使われる超純水など用途別に求められる品質が異なるため、用途に合わせた水処理装置が必要となります。また一度使用した水である排水を浄化して再利用するということも重要となりますので、排水の回収・処理装置も手掛けています。

また日本が誇る2大トイレメーカーはこの目標に対する取組にそれぞれの特徴が表れています。LIXILグループは新興国向け簡易トイレSATOを開発することで、新興国での悪臭や感染症の予防に寄与しています。デザインをシンプルに、設置を簡単にすることで、2019年11月現在で27か国に約300万台設置し、約1,500万人の衛生環境を改善していると同社は試算しています。同時に世界中でトイレのない生活をする人を約20億人、日常的に屋外で排泄する人を約6.7億人と試算しています。そのため同社の活動がさらにスケールアップすることが望まれます。

一方、TOTOは自社製トイレの節水機能の向上を取り上げています。1970年代前半、同社トイレの大洗浄で使う水量は20リットルでした。そこから様々な改良を加え、現在ではその5分の1以下の3.8リットルまで節約できるようになっています。このような高性能なトイレを世界展開しており、グローバルレベルでの水使用量削減に貢献しています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?