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消えた中世都市の復元に驚く/新幹線ホームは福山城展望台/福山市

★「日本の城下町を愉しむ」一覧
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★都道府県 広島県
★城郭 福山城

 広島県の県立歴史博物館は広島市にはない。かつての福山城三の丸跡にある。それは幻の中世都市、東洋のポンペイなどとも称される草戸千軒遺跡がこの福山市にあるからだ。博物館は1989年、この遺跡の出土品展示を目玉に開館した。
 草戸千軒とは、福山市街地のすぐ西、芦田川の中にあった鎌倉時代から室町時代まで300年間存在した都市である。
 現在の福山市街地の大部分は室町時代以前は海で、福山城もほぼ海に面した城だった。福山といえば鞆の浦が有名だが、国際貿易港の鞆に対し、備後国の産物を運び出す地方港として草戸は栄えたようだ。だが芦田川の流路の変化で次第に港として機能しなくなり、ポンペイのように一瞬で埋もれたわけではないが、消えてしまったらしい。
 それが再発見されたのは昭和になって。河川改修で遺跡が見つかり、発掘の結果大規模な都市が川の底に埋もれていたことがわかった。人口などはよくわからないが、発掘された範囲だけで井戸が300も見つかった。遺跡は河川改修工事で破壊されすでにないが、法音寺橋という橋の上に、かつての遺跡の場所を示す看板が残る。橋の西側には、草戸を見下ろしていた明王院の国宝五重塔と本堂がある。こちらは必見。
 そして歴史博物館には、失われた草戸の街を実物大で復元した街並みが作られ、家の中に入ることもできる。人間の姿だけがなく、今の今まで誰かが暮らしていたようで、中世に迷い込んだ感覚に陥る。街並みの周りには出土した生活用品が並ぶ。扇、下駄、しゃもじ、箸、ハケ、羽子板など現代日本

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