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陽キャであれ Be ambitious

「陽キャ」「陰キャ」なんて言葉があるそうです。
一般的なイメージで言えば、陽キャは性格が明るく社交的で友達が多いアウトドア派、陰キャは引っ込み思案でおとなしく物静かなインドア派みたいな印象を受けます。言うならば、昔からあった「根明」「根暗」なんて言葉が今風に変化している感じですかね。実際意味や印象もかなり近いものを感じます。
とは言え、そのときの状況や条件によって性質なんていくらでも変わりますし、人間性や性格なんてものは一言で表せるはずもありません。このように二極化してしまうのもどうかとは思いますが、普段はどちらの傾向がより強いのか、という指標くらいにはなるのかも知れませんね。
(一応こういうのも書き添えておかないとめんどくせぇからよ)

皆様はどちらでしょうか?
なんて突然聞かれてもわかりませんよね。
ただ根拠はありませんが、この質問をされて
「うるせぇな……ほっとけよ」
なんて少しでも卑屈な気持ちになったあなたは多分陰キャです。
というか、やはりこういった文章を読んだり書いたりする人はそっちの傾向が強いように思えます。

ちなみにですが、僕はよく陽キャと称されます。
確かに社交的な方ではあると思います。頑張れば初対面でもちゃんと話せますし、雰囲気もそれなりに明るい方だと思……あっ、待って。待ってください。行かないでください。教室の隅の方に逃げないでください。僕は味方です。何故なら僕も元々はバッキバキの陰キャだからです。
そうです。何を隠そう、僕は後天的な陽キャなのです。学生時代は悲惨なものでした。少ないながらも仲の良い友達は居ましたが、あれは間違いなく陰キャと呼ばれる類の生徒だったと思います。
喋らないわ、声小さいわ、下ばかり向いて歩いてるから猫背だわ、無駄に前髪が長いわ、その前髪が何故かたまに濡れているわ、机にXJAPANの歌詞を書くわと、それはもう陰キャの限りを尽くしておりました。
友人やパンクロックとの出会い、バンド活動や飲食店でのアルバイト等の経験を経て少しずつ社交性を身につけ僕は変わったのです。元々は陰キャ属性ですので、ナチュラルボーンな完璧陽キャ超人には敵いませんが、それでもまぁ世間一般的には十分陽キャであると言えるでしょう。

別に陰キャを否定しているワケではありません。とことん己と向き合う姿勢だって必要ですし、個人的に本当の意味で仲良くなれるのは陰キャと呼ばれる方々です。しかし悲しいかな、陽キャの方が社会では何かと生きやすいのも事実。現に「カラッとした性格」「ジメジメした性格」などと分けて表現される事もあるように、陰キャ認定されるだけでネガティブなイメージを持たれてしまいがちです。
それでも構わないのであれば僕は何も言いません。
しかし、心の何処かで変わりたいと思っているあなた。
僕はそんなあなたに向けてこれを書いています。
変わりましょう。変えていきましょうよ。人は変われますから。
何かしらの事件を起こしたときに
「あぁ、やっぱり。いつかやるんじゃないかと思ってました」
なんて言われるよりも
「あんなに明るい人がそんなことするなんて信じられません」
って言われた方が、なんかいいじゃないですか。
まぁ、そもそも事件を起こすなって話なんですけど。

今宵も陽キャを演じる悲しき道化師(ピエロ)こと、逆佐亭 裕らくと申します。
どうぞ一席お付き合いください。



先述した通り、僕は陽キャと陰キャの水面を縦横無尽に行き来する魚のようなアクション、すなわちサカナクションを日々キメている身ですので、両方の心理が理解できます。今回はいろんなケースの状況を想定し、そのときに取るべき行動を丁寧丁寧丁寧に示していければと思います。このまま君を連れていくよ。
では、さっそくいきましょう。


【街で知り合いに遭遇した】

シカトしましょう。
これが最善策です。お友達ならまだしも、知り合いなんてほぼ他人です。気づかないふりをしてください。これしかありません。
「陽キャの立ち振る舞いを勉強したかったのに……」という皆様の落胆の声が聞こえてくるようですが、そんなことは知りません。陰キャも陽キャもへったくれもありません。気づかなかったんだもん。仕方ないじゃん。出会わなければドラマも悲劇も生まれません。それでいいのです。
ただ一つだけ注意してほしいのは、これはあくまでも相手が気づいていない場合に限ります。
もし先に気づかれてしまった場合、しかも最悪なことにその相手が声を掛けてきた場合は厄介です。先日まさにそのケースのnoteを拝読したので、参考文献として紹介させて頂きますね。(斉藤ナミさん、勝手にリンク貼ってすみません。いつも楽しみにしております)

僕がもし同じ状況に陥ったら、仕方なく「あっどうもー」と笑顔で返し、適当に話を合わせてそれなりに対応はしますが、レジが終わった瞬間に尻尾を巻いて逃げると思います。これがエセ陽キャの限界です。お力になれず申し訳ございません。


【閉鎖空間で知り合いに遭遇した】

街中であったり、スーパーマーケットみたいにある程度開けた場所であれば物理的に距離を取れますが、電車やバスといった公共交通機関、エレベーター等で鉢合わせた場合は難易度が一気に上がります。
どうしても逃げられない場合は先述したように、当たり障りのない会話をするのが無難な手でしょう。
陰キャの皆様はそれすら決死の覚悟でやらないといけないとは思いますが、以下の点を覚えておくと少しだけ、こういった局面を乗り切るのが楽になります。
まず、自分からは下手に話を振らずに聞き役に徹しましょう。相手に情報を与えるのは危険です。下手に話を広げられると後々困ります。それから
「そうなんですか?」「なるほど」「そうですね」「たしかに」
この四つのワードをいい感じに組み替えたり、組み合わせたりして相槌を打つだけでもかなり違います。あとリアクションはなるべく大きめに。よくわかんないときは、とりあえず笑っときゃ大丈夫。ニコニコしてるだけでとりあえず陽キャです。
あとよく聞こえなかったときも笑っときましょう。何度も聞き返すのは失礼ですし、何度も聞き返すほど興味もないからです。
それすらも難しいのであれば、もう寝たふりしてくださいいきなり。
座ってりゃ勿論のこと、立っててもお構いなしで目を瞑って口を閉ざしましょう。それしかありません。おそらく超変な奴だとは思われますが、陰キャだとは思われません。犠牲なくして明日は掴めないのです。勝つ為には腕の一本や二本は捨てる覚悟で挑みましょう。それが武士道というものです。
ふと思ったのですが、陽キャってそんなに覚悟を要するものなのでしょうか。よくわからなくなってきました。


【洋服屋さんで店員さんに話しかけられた】

嫌ですよね。こっちで勝手に選ぶから放っといてほしいです。しかし店員さんもお仕事ですから、店内でウロウロするお客様に声を掛けないといけません。相手もまたツラい立場なのです。そこは理解してあげましょう。
陽キャとしての振る舞いとして正解なのは、自分が探しているアイテムの条件や特徴、予算なんかも伝えて談笑も交えながらお買い物を楽しむという流れでしょうか。なんなら買い物を終えて退店する際に「次来るときも○○さんが出勤してるときにしますね。今日はありがとうございました」なんて笑顔で言えたら最高です。満点です。僕は本気出せばそこまでできます。絶対しないけど。
まぁ陰キャの皆様にはさすがにそこまでの芸当は期待できません。
どうしてもキツいときは、入店時にイヤホンを付けて
「音楽聴いてるから話しかけられても聞こえませんよ」
というポーズをとりましょう。先手必勝です。あとは話しかけられてもひたすら気づかないふりです。相手も仕事なので非常に心苦しいところではありますが仕方ありません。悲しいけど、これ戦争なのよね。
そういえばアパレル関係のお仕事をしている友人にこれを言うと
「マジで最悪。嫌なら嫌って言ってくれれば近づかないのに」
と言っていましたが「嫌です」と面と向かって言えるのなら初めからこんなことはしません。難しい問題ですよね。この世から戦争がなくならないワケです。ただ、「最悪」とは言われましたが「陰キャ」とは一言も言われませんでした。一応、ご報告までに。


【女子が髪の毛を切った事に気づいた】

いっそ気づかなければよかったのに気づいてしまったとき。そういうときこそ一番苦しむことになります。言ったところで「うん、切ったよ」なんて淡白な返事が返ってきたときはどうすればいいのかまったく予想もつきません。そんなの学校で先生に教えてもらってないし。考えれば考えるほど過呼吸になってしまいそうです。
「すごく似合ってるよ」とか言えばいいのでしょうが、そんなこと口が裂けても言えません。そんなことを言っている自分を想像するだけでゲボが出そうになります。相手がノリノリで喋ってくれれば、先述した四つの相槌ワードを繰り返しながらヘラヘラしてりゃいいのですが、女子ってなんかワケわかんないところでいきなり機嫌悪くなったり、急に退屈そうな仕草とかしだすからマジで怖いし、本当に理解できません。『魔女の宅急便』のワンシーンで、さっきまで超いい感じだったのにいきなりキキがトンボに冷たくなって、挙句の果てには「ついてこないで!」とか言うシーンとか、もう意味が分からな過ぎて観るたびにガタガタ震えております。
どうですか、この童貞力。この中学男子パワー。
既婚者で一児の父とは思えません。我ながら。
そういうワケで、どうしようもないので、もう気づいてしまった瞬間に両目を潰しちゃいましょう。勿論、本当に潰さなくてもいいです。潰すふりをしてその場をやり過ごしましょう。多分その女子もさすがに心配してくれると思います。頭の方を、ですけど。
話がちょっと逸れますが、かなりの陽キャであり、更に相当なスケコマシである友人が居まして、彼は一度会った女性と再度会うとき、どんなに小さなことでもいいから前回会ったときと違う部分を見つけて褒めるようにするそうです。
「今日のネイルすごく素敵だね」
「あれ、グロス変えた?いい色だね」
「そのピアスすごく可愛いね!どこのやつ?」
なんでもいいから、とにかく褒めるのだそうです。どうしても変化が見つからないときは、最終手段として
「ちょっと痩せた?」
とデマカセを言うらしいです。それを言われて嫌な気持ちになる女子はいないそうです。いやぁ、すごいですよね。なんなのでしょうか、このムカムカ感。夜中、寝ているときに性器が突然爆発してしまえばいいのに。

あれ?それはそれとして、ちょっと痩せました?



おっと。
ほとばしる熱いパトスをキーボードに叩き付けていたら5,000文字も書いておりました。またつまらぬものを書いてしまった。今回はこの辺にしておきましょう。

「ちょっと!これ読んでも全然陽キャになれそうにないんですけど!」
という皆様の声がモニター越しに聞こえてくるようです。
いやいや。我が友よ、冒険者よ。
何度も言いますが、僕も純正の陽キャではありません。本当の意味での陽キャの振る舞いなんて教えられるワケないじゃないですか。
僕に出来るのは、精々あなたがいないところで「あいつ陰キャなの?」ってあなたの話題になったとき、友人に
「いや、まぁ、どちらかと言えば、陰キャではないと思うけど……多分」
と言わせるくらいのものです。その程度なのです。
僕はあなたに陽キャに変わる為の鍵を渡しただけ。
あくまでも扉を開くのはあなた自身なのです。

あのね、知りませんよ。こっちだってね、自分の事で精一杯なんですよ。大して話したこともない同僚とエレベーターで一緒にならないように行きたくもないトイレに行って時間差を作ったり、絶妙に微妙な距離感の知り合いが前を歩いているのを見つけて、わざと通ったこともない道を進んで敢えて自発的に迷子になってみたりしてんすよ。「あっ、この道に出るんだ……」じゃねぇっつーんですよ。
いい加減にしなよ。ツラいのはあなただけじゃないんだよ。甘ったれんじゃないよ。マジで。


だから陰キャは嫌なんだよ。




御後が宜しい様で。




お金は好きです。