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その響きがいとおしい〜本のひととき〜

「うさぎパン」瀧羽麻子

以前から気にはなっていた。

だってタイトルにパンの文字。

「同級生の(気になる)男の子と、大好きなパン屋めぐり をする」で心が決まった。だって夢のような設定ではないですか。

主人公の優子は小中学校を女子校で過ごした。一念発起して共学校を受験し、高校から新しい世界に飛び込むのだ。

私は短大で女子校を経験した。

教室から男子が消えて、女子しか存在しないという環境はなかなか衝撃だった。

なのにその逆!

パンが大好きな優子は母親とも仲が良いが、実は継母だという。父親は海外に単身赴任中で作中にはほとんど出てこない。

複雑な家庭環境なのに暗さはなくて、優子が感じる新しい世界の眩しさが伝わってきた。

友達、家庭教師、パン屋、そして恋する気持ち…。

初めて尽くしの優子の毎日は出会いの連続だ。予想もしなかった人とも出会う。

その中で思い出したこともあった。

忘れていただけで、いつもそこにあったのに。新しいことが懐かしい記憶を呼び覚ます。

たぶん著者もパンが好きだと思う。

香り漂うパンの描写がたまらないから。


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