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あきらめないこと ー 二兎社公演42「ザ・空気 ver.2−誰も書いてはならぬ」を観て

7/16に、二兎社の舞台「ザ・空気 ver. 2 −誰も書いてはならぬ」を観に行った。
「おっさんずラブ」に出演していた眞島秀和さんが出ていることを知ったのが、足を運ぶきっかけ。東京公演のチケットは完売していたから一度は諦めたのだけど、イープラスで当日券が販売されていることを知り、どんな席でもいいから! と思ってチケットを買った(実際は前のほうで、眞島さんを間近で見ることができた)。
珍しくあきらめなかったのは、眞島さんの姿を観たかったからというのもあるし、この舞台のテーマに興味があったからでもある。

観終わってロビーで感想を書きながら、いろんな思いが頭の中をぐるぐる回り始め、しばらく放心状態になってしまった。で、こういう状態で絶対に行っちゃいけないところ(品揃えのよい本屋さん)に吸い寄せられ、食費を書籍代に変えてしまった。
以下、ぐるぐる回ったことをまとめます。たぶん、ネタバレになることは書いてない、と思う。

魔術に翻弄される

政権を守りたい人たちは、言葉を巧みに言い換えながらはぐらかすことで、隠したいことをうやむやにできる魔術(黒魔術?)を知ってしまった。
そのおかげで、政権側は見たくないものから目をそらし、知られたくないことをうわむやにして、のほほんと過ごせる居心地のいい場所をせっせと作っちゃったんじゃないかな、と。

政権を批判し、変えようとする人たちは何もしていない訳ではなく、むしろ、何かを変えるために必死になっているんだけど、話が通じない気持ち悪さとか、動き始めたと思っても別の力が働いてしまって、ほとんど何も動かない。
その結果、「頑張ってもムダなのか」というやり切れなさと、ねっとりとした徒労感だけが残っていく。眞島さんが演じる及川の、後半に漂わせる雰囲気や言葉に、そのすべてが込められていたように感じた。

この魔術の力、どうすれば弱められるんだ。

声を上げること

もし、この魔術の力の源が「国民のあきらめ・無関心」だとしたら、声を上げることが力を弱める一歩になる気がする。安田成美さんが演じる主人公の井原まひるのように、小さな市民の声を拾い上げ、ネットで発信し続けることでできる、かもしれない。
でも、そう思ってもためらってしまうのは、たいして知名度もない人(たとえば私)が何か言ったところで……と思ってしまうから。とはいえ、おそらく、「こういうこと」を思ってしまうこと自体、思うツボなのかもしれないけれど。

ここはひとつ、自分で作った壁を少しずつ崩ながら、自分で動いて乗り越えるしかないんだと思う。誰かに任せるのではなくて。
いきなり大きなことを始めるより、自分が気になったこと、ひとつだけでいいから、感じたことを気軽につぶやくことから始めればいいのかもしれない。そうすれば、身のまわりの何かが変わるかもしれない。いや、変わらないかもしれない。

……。

そういえばつい最近、自分が気になったことを知るために動き始めた結果、想像もしなかった場所にたどり着いたことがあったんだった。
もう何年もドラマや映画を観ることなんてなかったのに、友だちの勧めで観たドラマに引き込まれ、気づけば好きな俳優さんができて、その人が出ている舞台に足を運んでいる。そして今、これを書いているのだから。こんなことになろうとは、半年前の私にはまったく想像すらしなかった。

その先の未来を知るには動くしかない。そしてきっと、魔術の力を弱める方法もそれと同じ。

「知ること」を後回しにしない

観終わってからの放心状態は、日々の忙しさを理由にして、知ることから逃げている自分の姿に気づいてしまったからだと思う。よせばいいのに本屋さんに行って、新書をもりもり買っちゃったのも、知らないことから来る焦りだったんだと思う。

毎日の生活や仕事をやりこなすことで精一杯で、「自分に直接関係ないことを知る・学ぶ」ということをおろそかにしていた。自分でなんでも全部できるわけじゃないけど、ほんの少しでも「知る」姿勢を、意欲を忘れちゃいけない。
政治がどうなろうとわたしには関係ない、なんて思っていないけれど、関心を持たないことは、「自分には関係ない」と態度で示しているのと同じではないか、と思う。政治の動きは、私の生活と無関係ではないのだし。

この舞台で、そのことに気づけてよかった。

知ろうとすること。おかしいと思ったら、小さくとも声を上げること。たとえ、そのときに理想的な反応や結果が得られなかったとしても、声を上げた自分を責めたり、行動を悔やんだりしないこと。

そんなわけで、まずは、買った新書の中から『公文書問題 日本の「闇」の核心』(瀬畑源著/ 集英社新書)を少しずつ読むことにした。まだ「はじめに」しか読めていないけれど、さっそく舞台の場面を思い出して苦笑いしている。

#二兎社 #ザ空気2 #舞台 #空気