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King Crimson:Red〜プログレッシブ・ロックの到達した一つの理想〜

King Crimsonというバンドは長く続いているだけあり音楽性が多岐にわたるため、リリースしたアルバムの中で一番の名作を決めるのは非常に困難を極めるのですが、どれか3枚を選べと言われたら宮殿とRedは必ず入ってくる。
つまりそれだけKing Crimsonのアルバムの中でも名作なのがこのRedです。

緊張感漂うインスト曲「Red」で始まり優しげなVoが歌い上げる「Fallen Angel」
不穏なイントロからハンドクラップが印象的な「One More Red Nightmare」
奏者の悪ふざけがすぎるなと思っていると実は壮大な次曲のイントロとしての役割もあった「Providence」
美しいバラードの前半から中盤の不気味な展開を経てインストパートが怒涛の展開をみせる「Starless」と続き、最高の盛り上がりの中アルバムは終わり、King Crimsonも終わり、7年間の眠りにつく。

プログレッシブ・ロックの傑作と言われていますが決して難解ではなく、それどころか歌モノとしてもかなり優秀、それでいて一音一音がすごく格好いい。
プログレッシヴな面や演奏力ばかりでなく、彼らのメロディーメーカーとしての実力を感じさせてくれる一枚です。

レコードだとOne More〜でA面が終わり、B面にいくといきなりProvidenceなので少し面食らうかもしれません。
でも何度も聴いて全体の流れがつかめてくると、One More〜の最後に音が途切れる事で、なんとなくこれまでの流れが一旦断ち切られたのかなという気になってきます。

このレコードはレコードを聴きはじめて結構初期に入手しました。
CDで手軽に聴いたり音源ファイルで移動しながら聴くより、レコードでじっくりと腰を据えて聴くほうが、その良さを認識できます。
多分CDだけで聴いてたらProvidenceを聴ききる事なんか無かったと思いますし、これが後半の一連の流れになっていることに気づくこともなかったと思います。

1970年代にこの音楽が完成し、今もなお古くならずに親しまれているというこの事実がKing Crimsonというバンドの偉大さを雄弁に物語っています。

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