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AIが要約してくれる時代に人間が要約する意味って何?

はじめに

最近chatGPTで遊んでいるんですが、
彼ができることの一つに「要約」があります。

例えば、私が以前書いた

をinputにして、chatGPTに要約をお願いしてもらうと、こんな感じになりました

「この文章は、著者が最近のコロナの影響で本を読むことが多くなった中で、図解思考に関する本に出会い、その良さを共有するために掲載されたものです。以下のアダで構成されています。
思考って何なの
図解するとどんなメリットがあるの
早速図解思考してみた
参考文献
個人差はあるよ
まとめ
図解思考とは、頭の中で図をベースに物事を考える思考法であり、メリットとして話をシンプルにできること、内容を思い出しやすくなること、話の抜け漏れに気づきやすくなること、存在などそのままに転用できることがあると述べられています。また、実践することで、理解、記憶、説明などの様々なシチュエーションでメリットを発揮することだと述べています。 最後に、個人差があることが指摘され、図解思考がうまくいかない場合もあるとしています。」

私はこれを見たとき、
「たしかにまとめているんだけれども、なんというか要約とは違う?」
と感じました。
(全然関係ないけどアジェンダをアダって呼んでるのはちょっと可愛い)

続いて、別のAIである、ELYZADIGESTという3行要約サービスで同じことをしたところ、
こんな感じになりました。

図解思考とは「頭の中で図をベースに物事を考える思考法」のこと。話をシンプルにできる、内容を思い出しやすくなる、話の抜け漏れに気付きやすくなる。プレゼンなどにそのまま転用できる、などのメリットがある。

正直、chatGPTより、こっちの方が要約してる気がします。(頑張れchatGPT)

というかこっちの要約、めちゃめちゃすごくないですか?
ELYZADIGESTに文章を入れてボタンをポチッただけなんですけど、
これ読むだけでざっくり全容理解した気になれますよね。

と、そんなこんなで、いろんな文章を要約してるときに、私はふと思いました。

「そもそも自分は、この文章がいい要約だと
どういう風に判断してるんだ?
というかAIが要約してくれる時代で
人が要約力を磨く意味はどんなところにあるんだ?
え?もしかしてない?」

そんなモヤモヤを解消するため、要約について考えてみました。

いい『要約』って何だろう

そもそも、『要約』という言葉はどんな意味でしょうか?

まず、辞書では

文章などの要点をとりまとめること。また、そのまとめたもの。
大辞泉

となっています。

では、要点とは何でしょうか?
これも辞書で調べようと思いましたが、
表現としてかみ砕くため
最近読んだ本、9割捨てて10倍伝わる「要約力」をベースに考えてみました。

この本の初めの章に、

要約力とは、 「死んでもこれだけは言っておく!」 を見つけること
9割捨てて10倍伝わる「要約力」

だと書いてあります。
(ちなみにこの本は要約するうえでの思考プロセスが書いてあってとても参考になりました。おすすめです。)

これまでの流れで言うと、
死んでもこれだけは言っておくこと=要点 といえそうです。

なるほど、そりゃ「死んでもこれだけは言っておく」ことがないと
要約にはならないというのは分かります。

では、「死んでもこれだけは言っておく」ことって何でしょうか?

私が思うに、「死んでもこれだけは言っておく」ことは、
一概にこういう事である、こういうことを言っておけばいい、とは言えないと思います。

具体的にどういう事か、例を使って説明してみようと思います。


例えば、時間が取れない上長に、社内ミーティングのうち10分程度で
案件の進捗報告をしないといけないとします。

そうなるとまず、上長が案件について把握してる時点から、現在までの経緯を考えて、
話さないといけない内容を考えます。

話さないといけない内容の具体で言うと、例えばクライアントから依頼されたことの概要と対応、
現在発生している想定外の問題と対応、次回打ち合わせの想定アジェンダ共有など。
まずこの時点で上記のような要約が発生しています。

そして上長との打ち合わせが始まったとき、
「ごめん、アジェンダ多くてちょっと時間がないから
3分でまとめといてくれる?」と言われました。

そしたら再度、10分でまとめた伝えるべき内容のうち、
緊急性と重要度が高いものをピックアップし、3分で収まるように話そうとします。
この時点でも要約が発生しますよね。

そしてついに自分のパートが回ってきて、話し出そうとしたとき、
上長から「まじごめん、時間なくなっちゃったから
slackで五七五でまとめて送っといて!」と言われました。

そしたらまた、「五七五ってなんやねんそれ」とブチ切れしながら再度、
五七五で言いたいことをまとめます。
またこの時点でも要約してますね。

つまり、要約を聞く側が求める内容によって、要約のレベルって変わりうるんですよね。

案件経緯を10分で簡単にまとめてほしいのか、
時間がないから3分でまとめてほしいのか、
もはやテキストで3行でまとめてほしいのか。
もしくは、3行の中でお金に関することだけ聞きたいのか、
お客さんとトラブってるところだけ聞きたいのか。。

ここまでの例で、何が言いたいかというと、

要約の本質は 文脈理解 にあると思います。

要約を聞く側がどんな情報を端的に聞きたいのか、
それを推測/確認し、必要な情報を正しく提示することが、大切な要約の要素だと感じています。

AIが要約できる時代に人間が要約する意味

ここまでのお話で、人間が要約する意味はある程度答えが出ているかもしれません。

私が思うに、この時代に人間が要約する意味は、
目に見えない文脈をくみ取って伝えるというところである気がしています。

人と人のコミュニケーションでは、暗黙の了解という、毎回わざわざ明示されないけど、
当事者同士では納得していることがあります。

例えば、
高校、大学、会社に関わらず、同期と飲みに行くときには、
「割り勘」にするのが暗黙の了解になっていると思います。
誰も飲み会の最後に「じゃあここは皆同じ金額を払うのがいいと思うんだけどどうだろう?」
などどわざわざいう人はいないと思います。

先にあげた、上長に10分程度で案件の進捗報告をする例でも同様です。
上長に報告するのは、「クライアントから依頼されたことの概要と対応」、
「現在発生している想定外の問題と対応」、「次回打ち合わせの想定アジェンダ共有」と言いましたが、
それはほとんどの人が口に出さなくてもわかるかと思います。
(新卒入社して間もない皆さん、私はこのあたり分からない人間だったので
先輩にそもそも何話せばいいのかからめちゃめちゃ聞いてました。
なんかすみません。)

といったように、

inputとして表現されなくても、必然的にoutputに制約条件を含めていくこと

それを考慮するのが人が要約する意味なのかなと感じています。

結論(要約)

いい要約というのは、一概に定義できません。
なぜならその要約が「いい」かどうかは、
聞き手が求める要約のレベルに依存するからです。

言い換えると、いい要約は文脈によって変わります。

時間のない上司にプロジェクトの相談をする場合で言えば、何の話であるかと、
求める回答の種類と、自分の主張を3分程度で伝えることがいい要約になります。

また飲み会の雑談で面白い話を使用とするのであれば、
笑いまでのプロセスと、
笑いどころ(オチ)を盛り込むことが、
ポイントになるんじゃないでしょうか。

それに伴い、これからの時代に、
AIではなくわざわざ人間が要約する意味というのは、

インプットにわざわざ含まれない暗黙の了解 = 制約条件をいかに汲み取り、アウトプットを出すこと

なのかなと感じています。

ということで、

「そもそも偉そうにつらつら書いてるけど、これ書いてるのどう人間なんだ、、?
というか、最初にある程度自己紹介するのって暗黙の了解じゃね、、?」

という見えない文脈を無視している
くろだでした。

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