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センター対策古文:「もの思ひける人」をどう訳すか

古文の解説の一例をご紹介します。

次の文章は建部綾足『西山物語』の一節である。主人公の大森宇須美は恋人が死去したことで病におかされ、看病を受けながら弔いを続けている。次の問いに答えよ。

やうやう涼しき風吹出でて、月の影も清らなるに、すこし人心地出で来て、夜ばかりはせめて起きあがりつつ、しめやかなる火かき照らして、歌物語など読むに、我がごと【もの思ひける人】も昔より多かりき。さて寝られぬままに、

秋の夜のあくるも知らずなく虫は我がごとものやかなしかるらむ


問 【もの思ひける人】とはどういう意味か。
①風流な情趣を理解した人
②病に苦しんだ人
③読書にのめりこんだ人
④悲恋に苦しんだ人
⑤仏道修行をしていた人

・・・正解は、④です。ここで、③ではなぜだめなのか、という質問がありました。それについて考えてみましょう。

1.「我がごと」と意味がつながるかどうか

「我がごと」は、「私のように」です。ためしに③を当てはめてみると、

「歌物語を読んでいると、私のように読書に没頭した人も昔より多かった(=多いんだなと思った)」

となります。

ですが、歌物語に出てくる人々は、最後の歌にあるように、悲恋などの悲しみを感じているだけで、読書に没頭しているわけではありません。

最後の歌は、

秋の夜が明けるのも知らずに鳴く虫は私のように物悲しいのだろうか

というような意味です。

なので意味がつながらなくなり、③では不適ということになります。

2.この時の宇須美がどういう心境なのかを把握すること

小説の読解においては、登場人物の心情を把握しておくことが大事です。特に、リード文にわざわざ本文についての説明書きがされている場合は注意です。

ここでは宇須美が恋人の死が原因で病気になって思い悩んでいるという状況説明がありますね。なので、それをイメージしながら、文脈に合うように読んでいきます。

そうすると、③より④のほうが良いと考えることができます。

ちょっと脇道にそれますが、、、

基本的には出題者は、本文の中だけで問題を解けるように作りたいと思っています。本文の中だけで解けるのであれば、「次の文章は、建部綾足『西山物語』の一節である。これを読んで、次の問いに答えよ。」で終わりのはずです。

でもそれだと、本文の読解が難しくて問題が解けない・・・そういう場合に、必要に迫られてリード文に補足説明をイヤイヤ書いている、というのが出題者の心情です。(これはセンター評論・小説でも役立つ話です

これは注でも同じです。ほんとは注なしで本文だけで解けるようにしたい。でもそれが無理だから、注を書いています。だからリード文と注に書いている内容は必ず確認しましょう

ただし、ただの「お約束」でつけている注もあります(特に評論・小説)。センター国語は、受験生が全国どこにいても、歴史の知識がなくても不利にならないように配慮されているので、地名や、歴史的人名については一律に注をつけるルールになっています。だからやたらと注が多かったりします。その辺は深く読まなくてもOKです。

3.「もの思ふ」の単語の意味をそもそも知っておく

もの思ふ・・・物思いにふける。思い悩む。

このポイントを3番目に書きましたが、そもそもこの問題はセンター古文で言えば問1に当たる内容です。そしてセンター古文の問1は、単語を知っているかどうかが問われています。

単語の意味がよくわからない・・・という場合に、1.2.の考え方だけで推測して解くことも今回は不可能ではないです。が、単語を知らなければ問1は間違えても仕方がないと考えておいたほうがいいでしょう。

というわけで、④は、「もの思ふ」の単語の意味を正しくとらえているし、文脈にも合っているので正解と考えられます。

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