見出し画像

日本にもデモクラティックスクールをつくろう!!

 日本初(発)のデモクラティックスクールまっくろくろすけ27年を迎えて

「好きなことをして過ごせる学校」「子どもが必要としたときは大人がサポートしてくれる学校」「友達をつくったり、同じ趣味とかの仲間と出会える社交の場としての学校」。そして、「そんな学校に関することは学費の値段であっても、雇う大人であっても、すべてに当事者である子どもたちが関わって、決めていける学校」、すなわち基本的人権の尊重に基づいて、主権在民・民主主義で自治されている学校、それがデモクラティックスクールです。
町の自治会の子どもの学校版みたいなイメージかもしれません。それぞれその町で好きなことをして暮らしている。好きな人と付き合っている。でも、自治会全体に関することには住民みなが対等に話し合って決めて、自分たちで治めていく、言葉の通り自治していっている。
デモクラティックスクールは子どもが学校運営すべてに関わることができるところが大きな、類をみない?特徴です。そこが魅力で入学してくる子もいますし、自由に好きなことができるところに魅かれて入ってくる子もいます。いずれにしろ、普段は各自好きなことをしているけど、なにかこれは共通認識として決めといたほうがいいよね?!となると、話し合って、皆の合意としてのルールややり方が決められます。そして、自分たちが決めたことを守りながら、好きなことを追求していきます。


 世界で一番古くからある「デモクラティックスクール」はアメリカの「サドベリーバレースクール」です。1968年に創立されてから、半世紀以上が過ぎました。その取り組みは1980年代に始まった日本のフリースクール運動の中でも紹介されてきましたが、当時日本では設立には至りませんでした。

 1997年、当時はまだ一校もなかったデモクラティックスクールを始めようと私たちが集まりを始めたときも情報はまだまだ少なかったです。それから、25年が経ちました。

 今ではデモクラティックスクールはアメリカでは30校を超え、ヨーロッパ・中東の数か国に、そして日本にも約10校と広がっています。世界の情報はネットで手に入れられますし、海外に行かなくても日本で実際にスクールへ訪問することもできます。


 誰もがデモクラティックスクールを始めたいと思えば、基本的なコンセプトはすぐに調べることができます。ですが、デモクラティックスクールの中で何が大切にされているのか、だから何が起こっていくのかは簡単に伝わるものではありません。「星の王子さま」の「大切なものは目に見えない」というセリフは多くの人の心を打っていますが、そのとおりかもしれません。

「それぞれが好きなことをする」「自分たちに関することは年齢立場に関係なく対等に話し合って決める」「互いの尊重」という設定でスタートしても、それが日常にしっかり根付いていくのは、日々具体的なことやりとりの積み重ねの上しかありません。一朝一夕にはできません。


 デモクラティックスクールを選ぶ子どもと親が、始めようとする方が増えている今、私たち「デモクラティックスクールまっくろくろすけ」の歩みとそこで起こったことを一つのストーリーにまとめお伝えすることで、デモクラティックスクールにある「目に見えない大切なもの」を少しでも感じとってもらえたら幸いです。
まっくろくろすけの関係者の皆さんには似たような事象を一つの話にしているので、この人のことを書いているととらないでいただけないでしょうか。「自分のことかな?」と感じる人が複数いると思います。だから、「勝手に自分のこと書いて!」「事実と違う!」と怒らないでくださいね。そういう意味ではノンフィクションではありません。まっくろでノンフィクションで、実際に起こったことをベースにいくつかのことをわかりやすい物語として描いています。

 ほんとに小さな種だった「まっくろくろすけ」を一緒に時間を過ごして、一緒に育ててくれた子どもたち、保護者、スタッフ、なにかと助けてくださった懐かしい方々に感謝を込めてnoteを始めたいと思います。

 
 初めての方に少し、自己紹介をさせていただいきます。
1966年生まれ、父・母・姉の4人家族
 小学校は近くの西宮市の公立小学校へ通いました。「ランドセルなし、制服なし、宿題なし」というモデル学校だったらしく、毎日学校のロッカーに教科書は置いて帰ることができて、手ぶらや好きなカバンで通っていました。サザエさんを見て、「昔の小学生は宿題があったんだ…夏休みなのに宿題あるなんて、今に生まれてよかった!!」と日本全体を誤解していました。
 中学校からは神戸の中高一貫の甲南女子中学校・高等学校へ。受験がないので、その分は友達と楽しく過ごしていましたが、中には意味不明の校則や尊敬できない先生もいて、そういうものへの文句たらたらの学生生活でした。
 そのまま大学へ進み、文学部でフランス文学を専攻しました。カミュとボーヴォワールを研究。「人が生きるとはどういうことなのか?」「成長とは?」「理想の学校とは?」について考えを巡らせました。在学中は宝塚市の野外活動指導員(キャンプカウンセラー)に打ち込みました。3回生の夏はフランスへ短期語学留学に行き、いろんな国からの学生と一緒にフランス語を勉強する中で、多様性の大切さと楽しさを味わいました。
 卒業後は自分の価値観を大切にできるところで働きたいとNPOに勤めたいと考え、また「自分の時間をボランティアに充てている人を応援したい」と神戸YMCAに就職。
そして、大学生時代からの外国で働いてみたいという夢を実現し、台湾の台南YMCAで日本語教師として1年働きました。
 帰国後は留学生などに日本語を教えたり、大阪にできた大阪インターナショナルスクールで日本語の教科の先生として3年半、幼児から高校生まで教えました。日本の学校以外の場で働けたことはとても有意義なことでした。

 そして、ついに30歳の時に夢だったデモクラティックスクールを作ろうと動き出しました。
仲間に恵まれ、日本初(発)のデモクラティックスクールを始めたのち、結婚し、一児の母になりました。娘は4歳から17歳までデモクラティックスクールまっくろくろすけに通い、卒業後立命館大学に進学し、今年卒業、就職しました。

 デモクラティックスクールのことはもちろん、今まで歩んできた中で気づいたことなどつづっていきたいと思います。
 デモクラティックスクールを始めようという方だけでなく、子どもに関わる方々、子育て中の方、自分の生き方を見つめたい方など、人について・生きることについて考えているいろんな人に、それぞれなにか感じてもらえるものがあれば嬉しいです。

 また、子どもたちがありのままの自分で成長していける、自由に自分の学びを作る、そしてそれが応援される社会の実現を目指して、発信していきたいです。
これからどうぞよろしくお願いします。

黒田喜美

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?