地理総合を始めて②
はじめに
少し前に書いた記事の続きです。
私は、高校の地理歴史の教員免許は所有していますが、高校では地理Aのみで大学では免許取得のために地理学の授業をとっただけでした。高校教員になり10年以上経ちますが、地理Aを教えた経験は何度かあるが、これまでは地誌に重点を置いて指導してきました。
しかし、本年度、地理総合の担当となり、これまでの経験を一旦横に置いて、地理総合とはどんな授業であるべきかを考えながら、同僚たちと協力しながら試行錯誤して、この1年間取り組んできました。
正直まだまだ手探り感がありますし、外にお見せできるものではないかもしれませんが、これから担当される先生方の参考になれば幸いです。
本論
➀教科書と資料集
本校では帝国書院の教科書「高等学校新地理総合」を採用しました。正直なところ、教科書会社も新科目については手探りなところがあり、どのタイプの教科書を選ぶか悩んだんですけど、地理総合については、今回、ある程度体系的にまとまっていて、生徒が後で自分で読んで学ぶことができるものを選びました。
帝国書院のWebサポートが利用できたんですが、結構これが使えました。授業プリントや考査問題サンプル、教科書のPDF、それからGIS教材。GIS教材についてはあとで少し触れたいと思います。
資料集は、とうほうの資料集を採用しました。SDGsの各ゴールごとに特集ページが組まれているのが、グローバル課題の探究の際に使いやすいのではないかということ、それから二宮書店や帝国書院の資料集は情報量が多すぎて地理総合では使いきれないということで選んだと記憶しています。
ちなみに、資料集については次年度も使い続けるかどうかについては実は悩んでいます。今回の改訂で教科書の内容や資料が充実し、教科書の掲載資料を使うだけでも十分であり、少ない単位数で資料集の内容までうまく扱いきれていないなと感じました。探究的な学びを考えると、資料集があった方が良い気もするので悩んでいるところです。
②授業づくりの考え方
上でも述べたように、地理総合の教科書は非常に充実していて、この教科書の内容を全て教え込むことは現実的ではありません。
教科書の構成に従うと
第1部 地図でとらえる現代世界
第2部 国際理解と国際協力
第3部 持続可能な地域づくりと私たち
の3部構成となっています。
第1部 地図でとらえる現代世界
第1部の中で重要なのは第1章「地図と地理情報システム」です。この単元では、緯度・経度、時差、地図の種類といった中学校の地理分野で扱ったような内容に加え、統計地図や地理情報システムの活用を取り上げています。
本年度の授業では
1 緯度・経度、時差
2 地図の図法
3 統計地図
4 GIS➀
5 GIS②
といった形で授業を行いました。やはり、最初は中学校の地理分野でもなじみ深いところからということでオーソドックスな教科書通りの展開で授業を進めていきました。
さて、この単元では2つの学習項目について書きたいと思います。
まず一つ目が統計地図です。現代の情報化社会では、私たちは実生活の中で、データが地図上に表された主題図である統計地図をよく見ています。しかし、そのわりに、私たちは見方やデータの特性や種類に応じた表し方を十分理解しているとは言えません。そのため、私はこの統計地図は情報リテラシーと結びつけて、地理総合でも重要な学習項目だと考えています。
しかしながら教科書により扱いは異なっており、幸い使用している帝国書院の教科書は他の教科書よりも統計地図についての説明が詳しく参考になりました。また、次の本も、授業をするうえでは大変参考になったのでご紹介します。この単元の授業づくりの前に一読すると良いかと思います。
次に地理情報システム(GIS)です。2時間構成にして、コンピュータ室で授業を行いました。1時間目は地理院地図の体験。時間が余ったクラスでは、Google earthも紹介しました。2時間目は帝国書院のWebサポートの力を借りて、同じデータでも表し方で見え方が異なることを体験したり、様々な統計地図を駆使して、テーマパークの場所を考えるという活動を行いました。将来は皆さんはこうしたGISを活用してビジネスを行うことがあるかもしれないという話をしたら、結構みんなその気になって楽しんで取り組んでくれました。
いずれにしても、地理総合では日常生活や将来の仕事等と結びつけて、地理的な知識や資質能力を体験的・活動的に学ぶことで育むことが大事かなと考えています。そうした意味では、本年度は系統性を意識して、時差や地図の図法も丁寧に行いましたが、もっと振り切った授業デザインを考えてみても良いかもしれません。
次回は「第2部 国際理解と国際協力」以降の授業についても取り組んできたことを整理してお話したいと思います。
最後に役立つサイトをご紹介。どれも有名なので、いろんなところで紹介されているので今更かもしれませんが。特に一番下の地理教材共有サイトは絶対参考になりますので是非ご覧ください。
どこでも方位図法
世界中のいろんな場所を中心にして、正距方位図法を作れるサイト
True size of
メルカトル図法でいかに国の形と面積が誇張されるかがわかるサイト
地理教材共有サイト
大変有用。私の記事よりも有用なサイト。これをまずは見てください。
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