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【小説】「twenty all」216

「恥ずかしい儀式は、終わったか?」
 控室に入ってきた空良に、先に座っていた御角が言った。

「話しかけるなんて、随分余裕じゃないか」
 壁に弓と矢を立て掛け、空良は言葉を返す。
「そのへらず口、二度ときけない様にしてやる」
「その言葉、そっくり返してやるよ」
 暫く睨み合っていた二人は、そのまま腕をガンと合わせて、お互いの席に戻って行った。


「それでは、男子個人戦決勝、射詰め1本目、開始して下さい」
 審判員の号令で、射詰め競射1本目が始まった。
 決勝に進出した選手は、34名。
 この中から上位2名が、インターハイ本選出場権を得て、さらにその内1名が、優勝者となるのだ。



(ようやく、ここまで来ましたよ)


 眼を閉じ、黙想状態で出番を待つ空良。

 彼の瞳の裏には、かつて同じ場所で凛として佇んでいた、河上里香の姿が映っていた。

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