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※note創作大賞2024「お仕事小説部門」応募作品_お仕事ショートストーリー【営業課長の心得帖】001「テキストファイル・テンプレート」


🔹あらすじ
 営業スキルの向上や自分磨きなど、更なるステージアップに繋がるヒントを探している方にオススメ!
 3分間の新感覚ビジネスショートストーリー。

 ●●支店の営業課長、京田辺一登(きょうたなべかずと)は、自身が習得してきたビジネススキルを課のメンバーである四條畷紗季(しじょうなわてさき)や住道タツヤ(すみのどうたつや)に分かりやすくレクチャーしています。
 『とんかつ課長』や『夢女子OL』等、個性的な登場人物達が続々登場!
 様々なエピソードを通じてココロに響くメッセージを発信いたします。

それでは、第1話『テキストファイル・テンプレート』をお楽しみください。


「はぁ……」
 京田辺一登がPCの電源を落とそうとマウスを手にしたとき、向かいの机から部下の深いため息が聞こえてきた。

 手を止めてそちらを見ると、額に縦線が見えるほど暗い顔をした20代後半位の女性が、大きなマグカップを抱えて肩を落としている。

「四条畷さん、何かあったの?」
 日中彼女がバタバタしている時に声を掛けたが「あっ、大丈夫です(汗)」との反応だったので、気になったが会議の時間が迫っていたため、そのまま席を外してしまったのだ。

「課長……今日は自分の仕事を熟すスピードの遅さに、ホント嫌になりました」
 京田辺の言葉に促されて、四条畷紗季はポツリポツリと話し始めた。

 どうやら複数のトラブルが重なってしまい、対応しているうちに本社への定時報告を失念。
 先ほど本社スタッフからこっぴどく怒られたとのことだった。

「ちゃんとタスクは整理していたんです。でもつい目の前の対応に追われてしまって」
 ここまで黙って話を聞いていた京田辺は、ふむと頷くと彼女に自分のPC画面を見せた。

「四条畷さんは仕事が遅いことを嘆くのではなく、要領良くやる方法を覚えたらどうかな?」
「えっ?」

「例えば社内メールはある程度テンプレート化できるから、あらかじめテキストファイルで台本を作っておくんだ」
 京田辺のPCデスクトップにある「会議」→「台本」フォルダを開くと、数多くのテキストファイルが保存されていた。

「テキストファイルだとコピー&ペーストが容易にできるからね。私の同僚には【Word】を使ったりスマホからメールを社内メールに飛ばしたりしている人もいるから、其々自分に合ったやり方にすれば良いと思うよ」

 京田辺の説明を受けて、四条畷の表情に明るさが戻って来た。
「凄い、これなら私でもできるかも。早速やってみます!」
 キーボードをカタカタ鳴らしている彼女に、京田辺は追加のアドバイスを送った。

「ファイルが多くなると整理が大変になるから、属性毎にフォルダを分けたり、タイトルを工夫しても良いよ」

「タイトル、ですか?」
「ああ、ファイル名のアタマに【報告】のような強調カッコを付けたり、230401のような日付をタイトルに含めると便利だよ。但し、あまりにタイトルが長いと後ろの方がファイル表示の際見えなくなるので、大事な箇所は出来るだけ前に持って来ようね」

「なるほど、将来の自分に対する優しい配慮ですね」
 生真面目に面白いことを言う四条畷に、京田辺はクスリと笑った。

「四条畷さんはいつも丁寧な仕事をしているから、要領を覚えたら更にパワーアップしてレア度が上がりそうだね」
「えっ、わたしはポ●モンじゃないですよー」

 ようやく普段の彼女が戻ってきたところで、自席PCの電源が落ちたのを見届けた京田辺は、鞄を肩に掛けて言った。

「それじゃ、お先に」

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