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【週末ストーリィランド】「ためいき泥棒」第3話
次の授業の準備を始めようとしている級友の間を抜け、アオイは有夢の元へと向かう。
しかし、彼女の姿は消えていた。
「あれ?どこいったんだろう」
「……生稲」
首をかしげる私に、声が掛けられた。
「あ、大友」
振り返ると、同じクラス委員の大友(おおとも)カズヤが立っていた。
「あのさ、話があるんだけど、放課後いいかな?」
「あ、うん」
放課後、校舎の屋上。
校庭から聞こえてくる運動部員の爽やかな掛け声が届いてくる中、二人の周辺には独特の緊張感が漂っていた。
「……ごめんなさい」
アオイが深々と頭を下げた相手は、動揺を隠せない表情のまま訊いてくる。
「どうして?」
「大友の事は、友達としか見ることができないから」
交際を断るときに使われる台詞のベスト5に入るであろう言葉を、彼女は口にした。
「好きな奴、ほかにいるのか?」
一瞬考えたあと、彼女は軽く頷いた。
「……うん」
「そ、か」
がっくり肩を落として、大友は退場して行った。
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