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【週末ストーリィランド】「風のように、また。」最終話

「インタビューしても、いいですか?」
 大量の花束と格闘していた悠生に、ある女性記者が近付いて来た。


「ええ」
 係の人に花束を預け、ようやく落ち着いた彼は、襟元を正して向き直る。

「この度は、大賞受賞おめでとうございます」
「有り難うございます」
「『風の色』素敵なシーンですね。光の粉が舞い降りてくる感じが」
「ええ、苦労しましたよ」
 当時のことを思い出した悠生は、軽く微笑んだ。


「それで、モデルの浅緒久深さんなんですが」
 核心に迫ったのか、女性記者の言葉に熱がこもる。
「天才バイオリニストと、新鋭写真家の接点は、何だったのですか?」


「夢……ですね」


 あの写真を撮影した半年こ、久深は実兄と感動の再会を果たした。  
 この前彼女から送られてきた絵葉書には、ウィーンの消印が付いていた。

「それで、浅緒さんと今後のご予定は?」
 彼女はどうしても、二人をゴシップ記事にしたいらしい。

 そんな思惑を知ってか知らないか、悠生は穏やかな口調で答えた。
「いつか、逢う事になるでしょうね」
「いつか、とは?」
「同じものを追い続けている限り、人は出会えるものですよ」


 彼はふと、風吹橋の伝説を思い出す。


「……お互い引き合い、合わさって、結ばれる……」

 話に付いて行けていない顔をした記者に向かって、悠生は目配せをしながら言葉を続けた。



「そう……風のように、また」



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