【週末ストーリィランド】「風のように、また。」第13話
レンズの中に居る、浅緒久深。
彼女の白いワンピース、ミューズ、麦わら帽子……
その全てに光が、光が満ち溢れていた。
「風色の粉が、弾け飛んでいる」
波風によってすくわれた水しぶきに、太陽の光が反射して出来た光の衣。
彼女の姿は、まるで風の衣を纏った天女が、地上に降り立って来た様であった。
「そうかっ!」
悠生は、思わず叫んでいた。
(分かりましたよ、お兄さん)
『風の色は、君の色』
(あなたが、何を伝えたかったのか……)
「そうか……そうか……」
満足げに微笑む悠生。
訳の分からない様子で待っていた久深に手を振った彼は、いま迄の想いを込めて、ガシャリとシャッターを押下した。
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