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表現が広がるとずっと愉しい

Aさんは学生時代に本を読んでいたでしょうか。

先生は生徒たちに、「本を読みなさい」と言います。
夏休みの宿題として読書感想文があり、半ば強制的に本を読まされたと記憶されているかもしれません。

本を読むと学業の成績があがる。受験にも役立つ。
そんな意味が、「本を読みなさい」には含まれているような気がします。

もちろん、わたしも本を読むことをAさんにおすすめしたい。

でも、「偏差値があがる、志望校に合格できる」といった目先の利益ではなく、「本を読むことでAさんの感情と表現が広がる」と思うからです。

本を読むことで、感情と表現が広がる、ということを
小説「蜜蜂と遠雷」から事例をあげていきたいと思います

養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年・風間塵(16歳)に対する大人たちの感情とその表現を掬いあげてみます。


喜悦(きえつ)・・・よろこぶこと。よろこび。

美枝子は、なんとなくゾッとした。
少年の目に、喜悦が浮かんだのだ。それは明らかに、快楽の絶頂の表情だった。

「蜜蜂と遠雷」24ページから引用

粟立つ(あわだつ)・・・寒さ・恐ろしさのために毛穴が粟粒のようにふくれる。

全身が粟立った
分かった。彼は、半音ずらして、全く同じフレーズを向こうの学生と重ねて弾いているのだった。

「蜜蜂と遠雷」79ページから引用

邪眼(じゃがん)・・・悪意を持って相手を睨みつけることにより、対象者に呪いを掛ける魔力。

なんだ、この顔は。この目の色は。出てきた時と全然違う。
イヴィル・アイ(邪眼)という言葉が浮かんだのを慌てて打ち消す。

「蜜蜂と遠雷」158ページから引用

淫靡(いんび)・・・風俗・身なり、男女間の態度などが、くずれてみだらな感じであること。

「いいピアノですね」
少年は、うっとりとステージを見つめている。
その目にどきっとするような淫靡な色が浮かぶのに、田久保はどきまぎした。

「蜜蜂と遠雷」280ページから引用



いかがでしょうか。
Aさんが大人となったいま、日常的に使う言葉でしょうか。

学生のころに表現としての言葉を知っておき、その後のAさんの人生でとっておきの非日常に出会うことを想像してみてください。


なんのはなしですか。

想いにちかい言葉があると愉しいですね、という話です。

ひいろサマ、素敵な写真をありがとうございます。

#なんのはなしですか

表現が広がるとずっと愉しい

最近、目の疲れと肩こりがひどくて。週に2回都内の銭湯で湯治してます。1回550円なんですけど、もしこのnoteが面白かったら250円サポートお願いします!ちゃんと自転車に乗って、地域の気になったコトを記事を書き続けたいorz