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若者よ、日銀に怒れ!!

最近の若者は元気がない、とよく言われる。クルマを買ったり、海外旅行に行ったり、そういうことをしたがらないという。

しかし、私は少し分かってきた。若者は元気がないのではない。元気になるだけのお金がないのだ。

お金がないというのは2つの意味がある。ひとつは今、たちまちのお金。もうひとつは将来の見込みとしてのお金である。

たちまちの話でいうと、日本の給料はここ30年ほど上がっていない。こんな国は他にない。中国のような発展途上国だけでなく、欧米先進国でも、30年もあれば2倍程度にはなるのが普通である。逆に言うと、日本はこの30年で、他国と比較した場合の給料は半分になっているのである。

給料があがらないということは、物価も上がっていないということだ。日本では上がらなくても、海外は待ってくれない。海外のほとんどの国では、物価も2倍程度には上がっているものだ。そうなると、日本から見たら、海外旅行の費用は2倍になっているということである。

日用品などは人件費の安い国で作られるからそうでもないが、先進国で多額の研究開発費をかける自動車などの製品は、日本から見たらやはり高くなる。若者がおいそれと買えるものではなくなりつつあるのだ。

私が新卒で働き始めた30年前の大卒初任給は20万円前後だったが、今でもそんなに変わっていない。本来なら、40万円くらいにはなってていいはずである。

もちろん、その分物価も上がるのだが、毎年少しづつ、給料も物価も上がるのであれば、結果として豊かになるはずである。戦後から昭和にかけてがそうだったが、そのころは豊かになっていっただろう。苦しくなってくるのは平成以降、給料も物価も上がらなくなってからなのである。

そしてもう一つ、将来の見込みとしてのお金である。

かつては、若いときにはお金はなくても働いて年を取ればそれなりに豊かになると思えていた。

例えば今10万円持っているとして、将来は今より給料が増えると信じられたら、10万円全部を使ってしまうこともできる。しかし、将来の給料が増えないのなら、今ある10万円を大事にとっておこうと思うのではないか。

だから、同じ10万円であっても「使える10万円」と「使えない10万円」の差になる。「10万円あるから旅行に行こう」と思えるか「10万円しかないから貯金しておこう」と思うかで、元気に活動できるかどうかも変わってくる。

将来のお金が増える見込みがないということは、現在の活力を奪うのである。

2つの「お金がない」であるが、結局はどちらも同じことである。給料が安いということではない。上がらない、ということが肝である。少しづつでも上がっていけば、例えば平成の30年もあれば2倍にもなる。少しづつでも上がっていく見込みがあるのなら、今あるお金を使ってしまう気にもなる。

そしてこの、給料が上がらない原因こそが、日銀の金融政策の失敗である。金融緩和すべき平成の多くの期間に逆に引き締めをしてしまった。失敗というより、逆方向に突き進んでしまったのだ。

アベノミクスで黒田総裁が就いてからは「異次元の金融緩和」も行ったが、2度の消費増税が緊縮と同じ効果になる。それに2017年頃からは日銀の政策も控え気味である。

もし仮に、バブル崩壊直後から適切に金融緩和策を推し進め、毎年2%程度の物価上昇と給料のベースアップがあればどうであったか。

先にも述べたが、今頃は大卒初任給が40万円くらいにはなっているはずである。少し調子が良ければ50万円でもおかしくはない。

私の頃は、学生でも自分で中古車を持っていることも珍しくはないし、在学中に海外旅行にいくことも普通であった。ハワイなどはむしろ「安い旅行先」として認知されていた。

今ならさしずめ新車にニューヨーク・ロンドン・パリというところか。今の若者にはそういうチャンスがあったのに、日銀が潰してしまったのだ。

若者こそ、日銀に怒るべきである。

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