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疲労

2008/07/30
(この記事は2008年のものです)


今日は午前中から姉と病院へ。入所を希望している、自宅近所に新しくできた介護ホームの担当者2名が母の様子を見に、そして私たちに話を聞きに来るからだ。

母の食事の嗜好だとか、いろんなことを尋ねる。そこでは魚嫌いの母にも、肉を用意してくれるという。朝は母の好きなコーヒーとトーストを用意してくれるという。ああ、私もそんなところに行きたいよ。

そっちのほうの手続きは順調に流れていっているけれど、母の様子はどんどん悪化しているようにしか見えない。今日はパーキンソン症状がひどく、身体がまったく動かない。回診にきた神経内科科長の先生が「フリーズしてるな」と呟く。

母はひっきりなしに襲ってくる便意と闘い、トイレをするのだと言ってきかない。姉とふたりがかりで必死に起き上がらせ、足を床に下ろし、立ち上がらせ、身体の向きを半回転させるのにすごく苦労する。

それでも便は出なくって、再びサポートして、どうにかベッドに横たわらせるのに一苦労。身体を移動させようと必死になっていると、「また出たい」と言う。「少し我慢してみれば?」と姉が言うと、「イヤよ!」と言う。

ナースにサポートしてもらおうとナースステーションに言いに行こうとすると、「お願いだからやめてよ!」と苦痛に顔を歪める。それでも今日はいかんせんどうしようもないと判断したので、ナースに頼みに行った。今日は介護をお願いすると、母もどうにか観念したふうだった。

レビー小体型認知症は、アルツハイマーの人に比べると格段に暗いという。アルツハイマーの人の脳は萎縮が激しく、今後の自分のことなどあまり気に病んだりすることもないようだが、レビーの人の脳はほとんど萎縮が見られないのだという。そして自分の予後について、とても悲観的に捉え、絶望していることも多い。認知症のタイプが違うのだ。

昨日から私と叔母(母の妹)は、悪の組織の一味になってしまったらしい。二人が病室にいて、私は途中でさっさと帰ってしまったとのこと。叔母は廊下に布団を敷いて、組織の一味にマッサージを受けていたとのこと。「財産根こそぎ盗られちゃうのに、ほんとに馬鹿よ!」と、軽率に組織入りした妹のことを、母は悔しげになじる。明日には、私はどうなってるのかしら。もしかして私、組織の中核となって、何か悪いことでもしでかしちゃうのかしら。

妄想と呼ぶのか認知症と呼ぶのか、解らない。これがレビー小体病だと診断できなければ、間違いなく統合失調症として、精神科病棟に入院させられ、抗精神薬を投与されるのだろう。実際レビーの人にはそういう待遇を受ける人がいるという。そして抗精神薬はますますパーキンソン症状を悪化させ、どうにもならなくなってしまうようだ。つくづく、難しい病気だと思う。

主治医が把握してる母の現状が、現実とあまりに違うことが判り、必死に説明をした。幻覚はおさまっていると判断していたようなので(本人に聞いても正直に言わないからだ)、「とんでもないです! どんどん悪化しています! 薬はまったく効いていません!」と、姉と力説してしまった。

母の妄想を書き記す元気もなくなってきた。母は時々妄想で笑うが、どうしようもなく悲痛な面持ちをしている。新しい薬を明日から追加してみて様子を観察し、それ以降、退院となる予定だ。それ以上、病院にできることはない。病院では手厚い介護は望めないのが当然だからね。

姉と病院を出て、すごく遅い昼食をとった。私は野菜ラーメンを食べたよ。「もう! 甘いもので口直ししましょっ!」と姉が言うので、風月堂に入って白玉クリームあんみつを食べたら、死にたくなるほどお腹が苦しくなった。

それにしても、一人っ子じゃなくてよかった。三人姉妹でよかったと、こんなに実感したのは最近のことだわ。

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