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学資保険は加入するべきなのか?

子どもが誕生すると、「学資保険に入った方がいいのかな?」と悩む方は少なくありません。
以前に比べて貯蓄性が悪くなった(=お得ではなくなった)と言われる学資保険ですが、実際のところはどうなのでしょう?

■学資保険は「保険」である

保険会社によって「子ども保険」と呼ばれることもある学資保険は、将来子どもに掛かるであろう教育費の準備手段として検討する人が大半でしょう。
もちろん、その考えは間違っていませんが、そもそも「保険」だということを忘れてはいけません。

そこで、最初に同じ仕組みの「養老保険」について説明します。
養老保険は「生死混合保険」といわれるもので、「保険期間中に亡くなった時の保障と、生きて満期を迎えたときの積立」を同時に準備できるものです。

養老保険に加入する際は、まず保険期間と保障額を決めます。保障額というのは、「保険期間中の死亡時に支払われる金額」ですが、これはそのまま「無事に生きて満期を迎えたらあなた自身が受け取れる金額」でもあり、これを「満期保険金」と言います。

例えば、「保険期間10年、保障額(=満期保険金)100万円」の養老保険に加入すると、「契約から10年の間に亡くなった時は、受取人に対して100万円が支払われて保険契約は終了」となりますし、「10年後に生きていたら、あなたが100万円を受取って保険契約は終了」となります。単純明快です。
ちなみに、満期保険金の受取人を自分以外にすることも可能ですが、その場合は贈与税の課税対象となるので気を付けてください。自分が受け取る場合は、一時所得として所得税・住民税の課税対象となります。

さて、このケースでは、「10年間に支払う保険料の総額」が受け取る100万円より多ければ「損」したことになりますし、100万円より少なければ「得」したことになるって思いませんか?実はこう考える方が多いのですが、これは完全な誤解です。
なぜなら、「10年間の死亡保障」がついているわけですから、当然その分の保険料を負担しないといけないはずです。1990年代ぐらいまでの契約では、保障分の保険料を負担したとしても、支払った保険料の合計額よりかなり多くの満期保険金を受取れる商品もありましたが、あれは世の中の金利が高いことを背景に保険会社がそれだけの利息をつけてくれたからなのです。貯蓄機能がついているとはいえ、あくまでも「保険」であることをお忘れなく

■学資保険の仕組み

では、同じように学資保険を見てみましょう。
学資保険は「子どもの教育費の準備目的で加入する貯蓄タイプの保険」というのが一般的な説明で、契約時には保険期間と満期保険金の額を決めることになります。保険期間については「子どもの年齢」を基準に、教育費が一番かかるであろう大学進学時(つまり18歳)に合わせることが一般的です。そして、満期保険金は、大学や専門学校に行く際にかかる一時金の目安として100万円~200万円程度を目安に、支払える保険料との兼ね合いで決めるケースが多いようです。

さて、もうお気づきでしょうが、生まれてすぐ(つまり0歳)の子どものために、18歳満期、満期保険金100万円」の学資保険に加入するということは、契約する親等が、「保険期間18年間、保障額=満期保険金100万円」の養老保険に入ったのと一緒なのです。
つまり、学資保険には「死亡時の保障」もついているのですが、誰が死亡した時に保障されるのかというと、「契約者」と「被保険者」です(このあたりの細かい条件は保険会社によっても違いますので、ここでは割愛いたします)。

■学資保険は契約者である親の保障も兼ねている

学資保険の特徴として「契約者である親等が死亡した時には、その後の保険料払い込みは免除されるが、満期保険金は契約どおり支払われる」というものがあります。これは、言い方を変えると「契約者である親等の死亡時には保険金を支払います。ただし、その保険金の受け取り時期は満期のタイミングになります」ということなんですよ。
こう考えると、「貯蓄ではなく保険なんだ」という当たり前のことがよくわかると思いませんか?
もちろん、被保険者である子ども死亡時の保障もあるのですが、契約時にあまり重視しないと思います。ちなみに、商品によっては「子ども死亡時に1,000万円」という高額な保障がついているケースがありますけど、その必要性は薄い(あるいは、無い)はずなのです。当然、その分の保険料を負担するわけですから、無駄な出費になりかねません。

■学資保険に加入するメリット

では、貯蓄性の低い学資保険は無駄だから必要ないかといわれると、実はそうとも言い切れません。
私が考える学資保険の一番のメリットは、「貯金が苦手な人でも確実に貯められる」点です。これは結構大きいメリット。運用の効率を考えると、保険以外の金融商品を使って積み立てる方が有効ですが、途中で積立が滞ってしまったり、つい目先の必要性にかられて積み立てたお金を取り崩してしまったり、ということは想像以上によくある話なのです。その点、保険料であれば、支払が滞れば保険会社から通知が来ますし、担当者からの連絡もあったりします。また、ちょっとお金が必要になったとしても、簡単には引き出しできないですから思いとどまる可能性が高く、結果として確実にお金が貯まっていくわけです。保険期間途中での解約は、ほとんどの場合、元本割れするので、その意味でも解約を思いとどまることが多いようです。

また、保障機能がついている点で、親の死亡保障と緒に考える場合、学資保険も有効な手段の1つとなります。ようするに、学資保険に加入した分、親が加入している保険を減額するなど逆を言えば、既に加入している保険で死亡保障が十分なのであれば、学資保険のメリットは、強制積立機能だけだといえそうです。

■学資保険は満期のタイミングに注意しましょう

学資保険では「満期保険金を受け取るタイミング」が問題になることがあります。もしあなたが「18歳満期の学資保険」に加入している場合、その満期保険金の受け取り時期を正しく理解していますか?子どもの大学や専門学校に進学する際の学費として考えているのであれば、そのお金は入学前に必要なはずですから、遅くとも高校3年生の1~2月までには受取っておきたいですよね。でも、契約内容によっては、実際に支払われるのが「大学入学後」になってしまうことがしばしばです。今一度、ご自身の契約内容をご確認ください。また、今後検討される方は、契約前にしっかりと確認することをおススメいたします。

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