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投資信託の選び方

iDeCo(イデコ)やつみたてNISAなど、将来に向けた資産形成を後押しする制度が充実してきました。このような環境の中、投資を始めてみようと考えている方から受ける質問の1つが「どの商品を買えばいいのでしょうか?」というものです。

元本保証の貯蓄型商品と違い、投資したお金が増減する投資型商品の場合、何を選ぶかによって結果が大きく違ってきますから、慎重になるのは当然でしょう。ただ、どれだけ注意深く商品を選んでも、結果がどうなるかは誰にもわからないため、先の質問に対する「正解」はありません。最後は「自己責任」の名のもと、自分で決めなくてはいけないのです。そこで大切なのは、「値動きが大きくない商品」を「少額で始めてみる」ことでしょう。ちなみにここでは、一時的に話題となった「仮想通貨(暗号資産)」やFXのような、ギャンブル性の強い投資(投機とも言われます)商品には触れません。

■最初は投資信託から始めてみよう

投資型商品の基本となるのは、「株式」「債券」「投資信託」「外貨建て商品」の4つです。もちろん、その他にも「貴金属」や「原油」、「不動産」といった投資商品もありますが、初めて投資を考える方が選ぶのは先に挙げた4つでしょうし、「値動きが大きくない商品」を「少額で始めてみる」のであれば、最初に検討するべきなのは投資信託になるでしょう。

ただ、投資信託には何千もの種類があるため、次に問題となるのは「どの投資信託を買えばいいのか?」という疑問です。
一般社団法人投資信託協会の公表資料によりますと、2020年5月末現在の公募投資信託は全体で6,015本あります。一般的に「投資信託を買う」場合に選ばれることが多い株式投資信託だけでも5,847本。とてもじゃないですが、すべてを比較して選ぶことなどできません。

■どの投資信託を選ぶべきか?

そもそも投資信託とは、「不特定多数の投資家から集めた資金を1つにまとめて専門家が運用し、そこで得た利益を投資家に分配する金融商品」です。自分1人だとできないような投資が、投資信託を利用すると行えるのです。
もちろん、専門家に任せる以上、相応のコスト(手数料)は必要ですし、投資商品である以上「元本保証」ではありません。

では、投資信託はどのように選ぶべきでしょうか?投資信託には様々な分類がありますが、最初に知っておきたいのは「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の違いです。

■インデックスファンドとアクティブファンド

インデックスファンドとは、個別の投資対象を探すのではなく「市場全体と同じような運用成果があがればOK」とする投資信託です。日本株式を投資対象とするのであれば「東証株価指数(TOPIX)」や「日経平均株価」といった、全体の動きを示す指標(ベンチマークと言います)に連動した値動きとなります。

一方のアクティブファンドとは、他人より先に情報を仕入れて、ベンチマーク以上の収益獲得を目的とする投資信託を指します。インデックスファンドでは関係のない、運用する人の能力が大いに影響してきますし、投資先を選定するために様々な調査等を行うため、インデックスファンドと比べて手数料が高くなるのが一般的です。

インデックスファンドとアクティブファンドは、専門家やベテラン投資家の間でも評価が分かれていて「どちらが良い」のかはわかりません。ただ、最初の商品選択という目で見ると、インデックスファンドから始める方が良いでしょう。そもそも、どれを買えばいいのかわからない状態なわけですから、商品ごとに値動きの違うアクティブファンドの中から投資先を選ぶのは困難です。その点、インデックスファンド、特に世界の市場にバランスよく投資するインデックスファンドであれば、その1つで「世界全体の市場への分散投資」ができてしまうため、悩む必要がありません。

また、アクティブファンドのように投資先の選定を行う必要が無いため、相対的に手数料が低くなります。市場全体に連動した動きというわかりやすさと、手数料の低さにおいて、まずは「インデックスファンド」の検討をオススメするのです。

■投資信託のチェックポイント

さて、投資をスタートすると自分の資産状況が気になるものです。購入した投資信託の値動きをチェックし、資産の増減をみている中で、「なぜ今月はこんなに上がったのか?(下がったのか?)」や「ほかの商品と比較してどうなのか?」といった考えが頭をよぎるようになれば、次なる商品に投資対象を広げていってもよいかもしれません。
その際に考えるべきチェックポイントを3つにまとめてみました。

Checkpoint①:手数料
最初のチェックポイントは手数料です。
投資信託は、購入する時と運用期間中、そして解約する時に手数料がかかります。その中でも特に気を付けてほしいのが運用期間中にかかる手数料である「信託報酬」です。
例えば、信託報酬が1%の投資信託の場合、ざっくり言うと運用資産残高が100万円あれば、毎年1万円の手数料が差し引かれることになるので、その分運用成績が下がってしまいます。これが2%だったら?と考えると、なるべく低い方が良いという意味が分かると思います。
インデックスファンドとアクティブファンドではそもそもの水準が違いますが、同じタイプの投資信託を比較する際には、必ずチェックするようにしましょう。
ちなみに、購入する時の手数料(販売手数料)や、解約する時の手数料(信託財産留保額)は、掛からないケースも多いので、できれば0円の商品を選びたいものです。

Checkpoint②:純資産額の推移
純資産額とは、その投資信託に集まっているお金のことです。一概には言えませんが、純資産額が多い投資信託ほど、多くの人のお金を集めている人気者であると考えられます。特に重要なのは、金額そのものより「継続して増えているかどうか」ということ。運用開始時に多額のお金が集まるのは、単に営業活動が上手くいっただけですが、運用が始まってから資産が継続して増えている場合、人気があるから多くのお金が集まってきているか、運用が上手くいくことで財産額が増えているかのどちらかであり、これからの運用にも期待が持てる商品といえます。反対に、現在の純資産額が多くても、どんどん減っているような商品は要注意です。

Checkpoint③:過去の運用実績
資産を増やすために運用するわけですから、やはり過去の運用実績は大切です。
投資対象が違う商品を比べても意味が無いので、あくまでも投資する分野が同じ商品同士で比較するようにしましょう。ちなみに、「とったリスクに対して見合ったリターン(収益)が得られているか」をチェックする指標に、シャープレシオがあります。
具体的な計算式を知る必要はありませんが、数値が高い方が優れていると判断されるものです。投資信託の比較サイトなどで公表されていますので、是非チェックしてみましょう。

なお、金融商品による運用については、こちらの動画でも解説していますので、参考にしてみてください。12分ほど経過したところでシャープレシオについても説明しています。


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