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家計簿のお話

2022年も3週間が過ぎました。
新しい年を迎えた時に「今年の目標」を掲げる人もいらっしゃるかと思いますが、その1つとして耳にするお金の目標。
節約の目標からキャリアアップして収入を上げる目標、貯蓄額の目標など様々なお金に関する目標を実現するために大切なのは、やはり記録を付けることでしょう。

◆紙かアプリか

お金の記録といえば、真っ先に思い浮かぶのが「家計簿」です。
最近は家計簿アプリが多くなっているものの、いまでも紙の家計簿は根強い人気があるようです。

家計簿に関する調査は、調査主体や対象者によって違った結果が出るものですが、いくつかの媒体で利用されている、伊藤手帳株式会社さんの結果を見ると次のようになっていました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000039.000031231.html

●家計簿を定期的につけている人・・・43.7%
 →紙の家計簿のみを利用している・・・・36.4%
 →家計簿アプリのみを利用している・・・39.0%
●家計簿をつけていない人・・・56.3%

紙とアプリの両方を利用している人も15.7%いらっしゃいました。

ちなみに、僕は「紙とアプリの併用派」で、紙にはB6サイズの大学ノート(昔からあるコクヨのCampusノート)、アプリには「Zaim」を使っています。

でもこれがおススメかどうかと聞かれると、わかりません。
色々使ってみて、ここに行きついたというのは事実ですが、価値観とか好みとかフィーリングなんて人によって全然違いますから、やはり自分で使ってみないとわからないものです。
FPとして「おススメの家計簿に関する記事」への意見を求められた時も、最初のころは頑張って色々調べて自分なりのランキングをつけたりしていましたが、結局は自分が使いやすいと感じるものに出会うしかないと思います。

ただ、アプリについて確実に言えるのは「長年サービスを提供していて、利用者が多いサービスを使う」というのは大事。使いやすいアプリを見つけて慣れたころに、突然サービスが終了することも珍しくないためです。

◆家計簿の役割は暴走の防止

家計簿って、お金の記録であると同時に家計管理のツールでもあります。
今回は、お金に関する目標を決める時の話として家計簿に触れていますが、実際のところ何のために記録をつけて管理しているのかといえば、「振り返って未来に活かすため」と「暴走を防ぐため」だと思っています。

「振り返って未来に活かす」は、特に説明無くてもわかると思います。
「あー、今月は食費がいつもより5,000円も多かったな。来月は少し減らそう」とか、そういう話ですね。そのためには、家計簿をつけているだけでは意味が無くて、できれば月に1度くらいは見返す時間を取ることが大切です。

もう一つの「暴走を防ぐ」は、あまり使われる表現ではないかもしれません。
ここでの暴走とは、お金の使い過ぎを表しています。かわいいレベルの使い過ぎではなく、ちょっと待てよレベルの使い過ぎ。

つまり、暴走を防ぐというのは、「使いすぎている相手を制御する」というイメージです。そのために家計簿は役立つということです。
この場合の相手とは、配偶者などのパートナーであったり、同居の家族であったり、時には「過去の自分」であったりします。だから、単身の方にとっても大切な要素なのです。

「それは使い過ぎやろ!」

というツッコミは、自分以外の家族やパートナーに使うこともあるでしょうし、自分自身に使うこともあるでしょうという話ですね。
こうしたツッコミは、客観的な数字の記録が無ければできません。
記録が無いと「えー、そうかなあ」とか「そんなことないよ~」で終わってしまいますから。

暴飲暴食という言葉が、自分への戒めのために使われるように、暴走というものは、その瞬間の快感と同時に、その後の深い反省を伴うものなので、あまり良いことはありません。そして、お金の面での暴走を避けるために、やはり家計簿をつけることには意味があるのです。
アプリでも紙でも、自分の続けやすい方法で。
これは、FPの立場上というより、社会人生活を28年間過ごしてきた者として、強く感じることでもあります。

◆押さえておきたいのは4つの要素

家計簿をつける方が良いのはわかるけど続かない、という方の理由には、つけ忘れてはいけないプレッシャーと、細かく正確につけようとしてしまうこだわりがあるようです。逆を言えば、プレッシャーに強く、細かい作業が苦手で無ければ続く可能性が高いです。

では、プレッシャーに弱く、細かい作業が苦手な方はどうすればいいかと言えば、楽に付ける仕組みを作ることに尽きます。体裁など全くこだわる必要はありません。

・毎月どのくらいの収入があるか分かっている
・毎月どのくらいの支出があるか分かっている
・支出のうち、毎月必ず出ていく「固定費」の内訳が分かっている
・今、どのくらいの資産を持っているか分かっている

という、状態が作れていればとりあえずは問題ありません。

アプリを利用すれば、集計の手間は省けますし、最近ではレシートからそのまま入力情報を取り込むこともできますから、入力の手間も省けます。ただ、入力に関して言うと「項目を最小限にして自分で入力」というのが一番いい気がしています。最小限の項目というのが悩みどころですが、基本は、食費、光熱費、教育・教養、服や靴、レジャー等、その他ぐらいでしょうか。

◆紙に書き写す意味とメリット

その上で、1ヶ月ごとの合計額だけを、手帳やノートに書き写せば完了。紙に書くのは、後から振り返りやすいからです。ちなみに、ノートに書き写す際はさらに項目を少なくします。次のようなイメージ。

・収入は「毎月の収入」と「臨時収入」の2つ
・支出は「固定費」「必要だった支出」「使わなくてよかったと思う支出」の3つ

「固定費」は、毎月決まって同じ金額を支払うお金なのでわかりやすいでしょう。住宅ローンや家賃、生命保険料などが典型です。光熱費や通信費(スマホ代)なども「使わない」という選択はなかなか難しいと思うので、固定費項目にいれておけばいいです。

「必要だった支出」と「使わなくてよかったと思う支出」は、直感で振り分けます。同じ項目でも、「必要」に振り分けられることもあれば、「使わなくてよかった」に振り分けられることもあるでしょう。
記入する際に「金額+何に使ったのか」を記入しておくと、何を無駄に感じるのか、という傾向も把握できるので、一石二鳥のような気がします。支出のときからしばらく時間が経っているので、冷静な判断ができる点も、この方法をおススメするポイントです。いや、すみません。お勧めするわけではありません。何かのヒントぐらいになればいいなと思うだけです。

ちなみにこの方法、半年ほど続けると、「使わなくてよかったと思う支出」を減らそうとしている自分に気付いたりします。あるいは、「いや、これは自分にとって不可欠な支出なのだ」と自信を持って使えるようになることもあるでしょう。
自分の支出の傾向が見え、家計にどのくらいのゆとりがあるのか、それとも全く無いのか、そもそも黒字なのか赤字なのかが確実にわかるので、さらに一歩先に進んで、本格的な家計の見直しに繋がることもあるわけです。

キーワードは「ゆるく、ながく」。気楽にいきましょう(^^)

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