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-1.0との落差がすごい『ゴジラxコング 新たなる帝国』

本題に入る前に一つだけ。『ゴジラ-1.0』視覚効果賞受賞おめでとうございます!(いまさら)
どんどん!ぱふぱふ!

この受賞は日本映画において偉大な一歩ですし、大きな転換点になりそうですよねえ~。

とかなんとか思っていたら、もうハリウッド版のゴジラ最新作(正確にはモンスターバース最新作)が公開されているではないか! 月日が経つのは早いもの。
その名も『ゴジラxコング 新たなる帝国』です。

以前、私は『ゴジラ-1.0』について、「シン・ゴジラの真逆を行く作品」だと評しました。実際、プロデューサーの方も「シン・ゴジラを徹底的にリスペクトして、徹底的に意識しない」と話されており、私の感覚はおおむね間違っていなかったと思います。

では、『ゴジラxコング 新たなる帝国』はどんな仕上がりになったのか?
結論から言うと、「ハリウッドクオリティーで楽しめる超爽快怪獣バトルエンタメ映画」になっていました。

日本のゴジラがシリアス方向へ突っ走る一方、モンスターバースはシリーズを重ねる度にモンスター同士の戦いに比重が傾いてますね。
やっぱりアメリカは怪獣バトルが好きだなあ!

これ、決してネガティブに言ってるわけではなく、むしろめちゃくちゃ楽しく観ていました。現代の社会問題や人間ドラマを巧みに盛り込んだ、近年の東宝ゴジラも大好きです。でも、70年の歴史を振り返れば、ゴジラは他の怪獣がドッタンバッタンしてる映画の方がむしろ多いじゃないですか。そういう映画では、ゴジラはむしろ人類を助けてくれるヒーローなわけで。

子ども向けにしてもいいし、大人向けにしてもいい。社会問題のメタファーにしてもいいし、正義のヒーローにしたっていい。
どちらの作風が良い悪いではなく、ゴジラには作り手の自由な創造力を受け入れる懐の深さがあるんですよね

では、『新たなる帝国』の魅力は何か?
「怪獣」と「人間」の視点で語ってみたいと思います。

あ、ちなみに私は日本橋のTOHOシネマズにてドルビーアトモスで視聴しました。ぶっちゃけ立体音響なのかどうかはいまいちピンとこなかったんですが、大スクリーン・大音響で怪獣バトルを観られたのでそこは大満足!

殴る!蹴る!ぶっとばす!

突然スマブラみたいなことを言ってしまいましたが、今作はとにかく怪獣パートが多い!
私がモンスターバースを観るようになったのは『キングオブモンスターズ』からですが、そこから『ゴジラvsコング』に今作と、シリーズを重ねる度にどんどん割合が高まっています(笑)

今作は歴代シリーズでも最大級レベルで様々な怪獣が登場します。
東宝からはおなじみのゴジラが登場。相変わらず地上の王として君臨しています。

元気いっぱい!ゴジラ

私の勝手な解釈ですが、あの世界ではゴジラが最上位の強さで、それより強い怪獣は存在していないっぽいんですよね。それこそガンダムシリーズのアムロ・レイや、SCPのワニみたいなイメージです。
もちろん、メカゴジラに苦戦したり、過去にコング軍団に負けかけていたりしているので、絶対無敵の強さではないですが、それでもやはり現役最強に変わりなし。

今作でゴジラが暴れるのは終盤で、それまでは結構焦らされます。でもその分、一度解き放ったら暴れっぷりがもうすごい! 前半にひたすら力を蓄えていたゴジラが、並み居る敵をバッタバッタと倒していく様はなかなか爽快です。

元気いっぱい!キングコング

前作では久々にゴジラと戦い、「どっちが勝つんだ~!?」からの「デカいゴリラにゴジラはちょっと荷が重いよ……」と思わず同情してしまったキングコング。今作ではもうかわいくてしょうがない(笑)

キングコング含めたタイタンはとにかく表情が豊か。言語なしに彼らの感情を理解できるくらいには、コロコロと表情が変わります。今作は地下世界が舞台なので、怪獣としての恐ろしさよりも、そういったチャーミングな部分が目立ちます。
たまに地上に出てくると、「あ、そういや君デカかったね」と思い出す感覚です。

とはいえ、今作ではとあるパワーアップアイテムを授かり、前作以上にめちゃめちゃに暴れます。
今作の実質的な主人公は彼で、地下世界のタイタンのボス、スカーキングとの戦いに身を投じていきます。タイタンとタイタンのぶつかり合いは、異種格闘技を観ている気分になりますね。まあ、コングはゴジラに対してもプロレス技をかけたりしてるんですけど(笑)

いろいろ話しましたが、一つ言えるのは、観終わった後、前よりコングのことが好きになっている映画です。いろんな意味で。

そのほかにもアレとかアレとかいろんな怪獣が出てくるのですが、公式サイトには書かれていないですし、あんまり言っちゃうと楽しみも半減してしまうので、ネタバレは伏せておきます。

4人で行く!ワクワク異世界大冒険

今作は怪獣パートが多い分、今までより人間パートは控えめです。
ですが、今作の作風を決定づけているのは、むしろ人間パートの役目が大きいんですよね。

言ってしまえば、怪獣同士のガチバトルは前作も前々作もやっているわけです。じゃあ今作は何が違うのか。それは「ノリ」なんですよ。

なんていうか、全体的にノリが軽い。良い意味で陽気なハリウッド映画なんです。
今作の冒頭では、「キングコングが食事中に歯を傷つけてしまったので、人間たちが入れ歯に交換してあげる」というシーンが存在します。いやいやなんだそりゃ(笑)
小島秀夫さんも指摘していますが、今作はこういうノリなんだよ、と冒頭で示しているんです。

今作の人間パートでは、歴代モンスターバースにも登場した4人の人物が地下世界を冒険します。

で、観ていて思ったんですが、なんだかゲームっぽい。見たことない生物が闊歩する地下世界で、新しい人物と出会ったり、謎を解き明かしたり……4人パーティーなのも、ちょっとドラクエっぽくないですか?
言うなれば、今作の人間パートは「ドキドキ!ワクワク!異世界大冒険」に振り切っているんです。それがいい。

前作まではシリアスな空気感が強かった一方、今作は全体的にノリが軽く、妙に明るい雰囲気がある。変にジメジメしないので、いい意味でひっかかりのない気持ちよさがあるわけです。

前作でも印象的だったジアが成長した姿で登場したのは嬉しかったですね。

まとめ

世界遺産に厳しい映画

今作の魅力、ちゃんと伝わったでしょうか。

怪獣パートは、最近の東宝映画ではあまり描かれない怪獣同士のガチバトルをおなかいっぱい楽しませてくれます。
人間パートは、怪獣パートを邪魔しない程度に、なおかつ今作の明るくノリの軽い雰囲気を上手く伝える役割を果たしています。

こうして振り返ると、意外にも休みに家族で観るのにちょうどいい映画なんですよね、これ(笑)
家族連れ映画の定番は名探偵コナンでしょうが、こちらを選んでみるのもアリだと思います。

最近『ゴジラ-1.0』がアマプラで見放題になったように、今作も後々見放題にはなるでしょう。とはいえ、こういったド迫力バトルはやはり劇場で楽しんでなんぼ。まだ観ていない方はぜひ劇場まで足を運ぶことをおすすめします。


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