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#19. 感性を作品に振る_冨井弥樹
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名前
冨井弥樹
職種
ガラス工芸作家
備考
身近なものをモチーフに、ガラスと土を使って、作品制作を行うアーティスト。秋田公立美術大学、東京藝術大学大学院を経て、現在は陶芸の街・愛知県瀬戸市で制作を行っています。
1. 一日のスケジュール
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── まず、一日の流れを教えて下さい!
朝は5:30に起きて、そこから飲食のアルバイトに行っています。だいたい6:30から9時までアルバイトして、その後、10:00から17、18:00まで所属している工房で作業しています。
── 途中で休憩もありますか?
一応してます。その後、またアルバイトをして、23時頃に帰宅しています。
2. 陶芸家を目指すきっかけ
──そもそも、どうして美大をめざそうと思っていたのですか?
割と消極的な理由だったのですが……。私はもともと商業系の高校に通っていて、最初は就職しようと思っていたのですが、働きたくなくなっちゃって…...笑。他の選択肢を模索していたところ、美術が好きだったこともあり、美大を目指すことにしました。
私の通っていた秋田公立美術大学は、1年次にデザインや、建築、彫刻など様々な領域を学ぶことができます。入学するときにはパッケージデザインやWebデザインなどをやりたかったのですが、1年次のうちに自分にはあまり向いていないと分かってしまったんです。そこで、3年次で何を専攻していこうかと考えたときに、担当の先生の優しさと、楽しそうだったという理由で、ガラスと陶芸を選択しました。学部時代は、バイトばかりでなかなか集中して制作に向き合う時間は少なかったのですが、今の作風は、その学部時代の卒業展示の課題で作ったものがベースとなっています。そして、これをもっと発展させたい、続けたいと思い、東京の大学院への進学しました。
── 秋田の美大から東京に出てきて、なにか変わったことはありましたか?
チャンスがかなり増えたことかな。展示やコンペとかも東京のほうがかなり多かったので、アクティブに活動するきっかけになりました。あとは藝大(※東京藝術大学)だったから、周りの意識の高さ、レベルの高さに引っ張ってってもらった感じがあって、「やらなきゃ!」って気持ちになって制作できたと思います。
あとは自分でポートフォリオを作ってギャラリーに売り込みに行ったこともありました。やっぱり直接行ったほうが、こちらも雰囲気がわかるし、顔も覚えてもらえるかなと思っていたので、やっていました。
3. 冨井さんの作品のモチーフ
── どのような作品を制作していますか?
私は、素材の選択が分かれる学部3年次から、ガラスと陶芸の素材の2つを選択していて、それを組み合わせる研究を通じて作品を制作しています。
モチーフは自然なものが多いですが、基本的には素材の研究が楽しいので、その素材の魅力を引き出した作品を重点的に作っていきたいと思って頑張っています。
やり方としては、まずガラスをパウダー状にします。それをそのまま粘土に混ぜ込んで、形を作って焼いていきます。作品にもよりますが、だいたい1週間あれば完成しちゃいますね。大学院で、今の制作スタイルに落ち着いてきたところはありますが、まだまだ発展途上といった感じです。
あとは、粘土に混ぜる作品とは別に、工房では吹きガラスもやるので、イベントに出したり受注制作も行っています。
── 素材の研究はどのように進めていくのでしょうか?
ガラスの種類とか色とか温度とか要素は色々あります。基本的にはテストピースと言って、小さなものから実践しています。ある程度想像がつくものは、それより少し大きい作品にして焼いてしまったりもしますね。
素材研究自体はずっと続くものなので、作品を作ったりする合間で行うことが多いです。
── なるほど! テストピースで小さく試していくんですね。ちなみに、モチーフは自然なものだともおっしゃっていましたが、具体的にはどういうものなのでしょうか?
道を歩いてて目についたものだったり、最近は植物の種子などからとってきたりしますね。作品ごとに違うけど、本当にそのあたりの道端からインスピレーションが湧いてくることが多いです。
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4. キュンとなる作品を作る
── 制作について、意識していることはありますか?
まず自分が「キュン」とするものを作ることを意識して頑張っています。吹きガラスにおいても、何か手作りのアクセサリーとかだとしても何か自分が好きだなと感じるものっていうのは、とりあえず大事にはしてます。
素材研究が好きなのはやっぱり素材の焼いた後の反応が一番面白いからです。それが一番良く見える形や、どう展示したら作品が鑑賞者に見やすいか、一般的な白い展示台だけじゃなくて違う素材も使ったりとかということも考えています。基本的には展示をするときは作家が構成とか考える場合が多いです。
── なるほど、自分が好きだと思える作品作りを心がけていらっしゃるんですね! 創作の活動を続けていて、当たり前になっているところってなにかありますか?
先ほど話したように、結構周りのもの見ることは多いかもしれません。
例えば、自然が多いところでこれ使えそうって思ったものは撮影しています。「なんかいい」って思ったものはすぐ写真撮っちゃうかな。身の回りにたくさんのアイディアの種があると思ってます。
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5. 冨井さんにとって「ふつう」とは
── 冨井さんにとって「ふつう」とはなんでしょうか?
作品について考えることは当たり前になっています。そのために「寝なきゃ」みたいなレベルで「作らなきゃ」って考えています。
生活しているなかで制作につながる気づきがあるし、そういう感性ってみんなが生まれながらに持っていると思うんですよね。私は、作品制作のために色々インスピレーションを得ることが普通になっているけど、その私が気づかないことに、気づく人はたくさんいるんだと思います。それを伸ばす伸ばさないも、人それぞれだと思います。例えば、ホラー映画を選ぶセンスや、好きな音楽の違いも、感性の違いだと思います。
── ありがとうございました。
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