「おくれ毛で風を切れ」を読む
古賀さんの日記エッセイは2度目の出会いだった。1冊目の「ちょっと踊ったり、すぐにかけだす」を読んだときに、なんて、なんて生活の匂いがする日記なんだ!とぴょこんと飛び上がるくらい興奮した。家族の生活が一つの家を中心に回っている様子が目にうかぶ。
小さい子供がいる生活のエッセイはかず多くあれど、古賀さんのお子さんは中学生と高校生で、それなりに自分たちの意思も体も成長し、物理的に手がかかることが少なくなってくる時期だと思われる。そういった子どもたちとの生活というのは、いったいどのようなものなんだろうか。12歳の息子がいる我が家、なんとなく他のご家庭を覗かせていただく気持ちで読んだ。
生活が踊っていた。
この表現は一体どういうことなんだ、と自分でも首を傾げるほどのワードだけど、本当に生活が踊っている、のですよ。毎日とびきりの何かが起きるわけでもなく、むしろ日々が淡々と進んでいく感じだけど、その日常が古賀さんの表現によって、キラッと光る楽しいやり取りが瞼の裏から想像できるような、そんな文体だった。
楽しそう。生活の中を生きている。一つの出来事がこれほどまでに濃縮されて楽しく書かれているエッセイがあるのか。
ふと自分を見返してみる。きっと私の「あー今日も仕事したわー寝よ」の中にもきっと眠っている生活の一部があるはず。そこを探してみようと思った。
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