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父と新聞

中学、高校の頃の日常。

父ほど新聞を散らかす人を、私は知らない。
居間はいつも床に散乱した新聞で足の踏み場がなかった。どこを歩くにもまたいで行く。

父ほど新聞に費やす時間が多い人を、私は知らない。
朝読み始めた新聞は食卓はもちろん、トイレにも車にも持って行く。遊びに行く時も必ず新聞を持っていく。職場でも手が空けば読み、帰宅後も読んだ。膝に新聞を広げたままスポーツ観戦したり、晩酌をしながらめくったり。一日中、父に新聞がまとわりついていた。

父ほど新聞を乱雑にする人を、私は知らない。
2社の新聞をとっていたのだが、両方とも完全にバラバラにして混ざってしまう。私が読みたければ、床に広がった新聞を仕分けしながら順番に並べるという作業から始めなければならなかった。

父ほど新聞をボロボロにする人を、私は知らない。
新聞の余白はメモや落書きだらけ。気になった記事は切り抜いて日付を書き込む。
私が切り抜いた記事が気になったときは、束ねられた中から勝手に拝借して読んでいた。



こんなだから、私が読むのはいつもシワシワ、クタクタで穴の空いた《昨日の新聞》。



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