用水路にいたのはメダカだよね?
幼稚園の頃の話
母方の祖父母の家には遊び場所がたくさんあった。
目の前は電車の踏切と駅。
(すみません。無人駅を遊び場にしていました。)
裏にはおじいちゃんの畑。その奥にりんご畑。
左側はおじいちゃんの楽園(庭)があり、その向こうは道を挟んで田んぼ。
右隣は…忘れた。
(りんご畑も田んぼもよそのお家のものでしたが、遊び場にしていました。すみません。)
田んぼの周りに小さな川が流れていた。この水は透き通っているし、冷たくて気持ちいい。
タニシを獲ったり、よくわからない生き物を観察したり、
小さな魚を‥‥獲れない。
すばしっこくて獲れない。
たくさん泳いでいるのに1匹も捕まえられない。
う〜ん、どうやったら捕まえられるのかな。
台所にいるおばあちゃんに声を掛けた。
『おばあちゃん、ザル借りていい?』
「何に使うの?」
私の返答を待たずにザルを出してくる。おばあちゃんのこういうところが好き。
『魚をね、獲れないかなと思って。』
「こんな小さな魚、獲っても食べられないよ。」
『ちょっと捕まえてみたいだけ。』
「いいよ。やってみようか。」
2人で川の淵にしゃがみ込んでザルを流れに入れると、すぐに2、3匹ザルの中でピチピチと跳ねた。
『わあ、獲れた!きれいだね!』
興奮した私はズルリと滑って水の中に足を突っ込んだ。川底はぬかって泥が絡みつき、すぐには引き出せない。
おばあちゃんは焦っている私を笑って見ている。
「水、気持ちいいだろ?」
『うん。』
このまま川に入って遊ぼうかと思ったが、おばあちゃんに止められた。
「ヒルがいるからもう出ておいで。」
うわぁー。
慌てて川から脱出した。
『ヒルがいるの?』
「ここは田んぼだもの。ヒルとかタニシとか、いろんなのがいるよ。」
『じゃあ、この魚は何ていう魚なの?』
「ああ、これ?これはね…
ザコ だよ。」
『ふ〜ん』
「さ、家に入って足を洗おう。」
『うん!』
このとき、ベニコの頭にはメダカがザコ(雑魚?)とインプットされた。本当の名前を知るのは何年も先のことである。
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