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週末パスで回る 東日本のローカル私鉄と第3セクター線 福島交通飯坂線・阿武隈急行線

福島を起点とする2路線に乗ってきました。

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阿武隈急行 阿武隈急行線

東北本線に並走する形で、槻木駅から福島駅を阿武隈川に沿うルートをとる第三セクター線。1968年の一部開業から苦難の歴史を経て全通は1988年とかなり新しい路線と言える。元々は東北本線の福島~仙台間のルートの候補にもなっていた路線。戦後増大する東京と東北を結ぶ旅客・貨物需要に対応すべく福島-仙台間のバイパス路線として計画され、1968年に槻木駅~丸森駅の仙台方の区間が国鉄丸森線として先行開業する。しかし時代は進み、東北本線や常磐線は電化され車両性能も上がって輸送力が上がる一方で、国鉄の経営悪化が深刻化。1980年代に丸森から福島方面へ全通間近のところで国鉄がギブアップ。沿線自治体等の協議の末、自治体と福島交通社などが出資する阿武隈急行として引き継ぐこととなり工事も再開、1988年に全線開通に至った。

需要的に非電化のままでも良かったと思うのだけど、特急も貨物も走らないのに電化しているのはちょっと謎。

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典型的なローカル線の運航形態。両端の福島方面、槻木(仙台)方面がそれぞれ1時間に1~2本あるのに対して、丸森~富野の県境山間区間は1時間に1本程度の本数。当日は槻木側から乗って、丸森、梁川と2回乗り継ぐパターンでした。

角田は盆地のため朝霧に包まれる。

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丸森駅

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県境は阿武隈川が目の前。この立地からわかるように2019年10月の台風19号により阿武隈川が氾濫、全線運休する甚大な被害を受けている。県境部の丸森~富野が復旧したのは1年後の2020年10月。

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梁川駅。阿武隈急行の本社と車両基地は梁川駅にあります。

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接続待ちでウロウロしてたら鉄印カードを書いていただいてしまいました。

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福島盆地はフルーツの聖地。

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阿武隈川を渡り福島市内へ。

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沿線の角田市・丸森町は仙台へも1時間以下で通勤・通学圏。福島方面の梁川町・伊達市は福島平野の福島都市圏という感じ。伊達市は、あの独眼竜政宗こと伊達政宗の伊達家発祥の地ということもあり、観光のPRもしている。沿線は阿武隈川と山々の自然、桃やりんご、柿などのフルーツに田園が広がる。

車両は最新のAB900系に乗れました。2019年7月デビュー。ベースは仙台地区を中心に2007年より導入されたE721系の最新車両。仙台空港アクセス線、青い森鉄道にも兄弟がいる。阿武隈急行のデザインカラーは阿武隈川の青と取り囲む山々の緑。

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1世代前は8100系という阿武隈急行オリジナル車両。これもJRの急行車両をベースにしているので、クロスシートで居住性はよい。

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福島駅はJR線の東北端にある。立地上新幹線との乗り換えは遠いので5分くらいは見たほうがいいかも。福島交通が出資した関係から、本家の飯坂線と共同駅になっている。

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福島交通飯坂線

福島交通は福島中通り・浜通りを拠点とする路線バス・高速バス、そしてこの飯坂電車を運行するローカル交通会社。飯坂線の歴史は100年ほど前の1924年開通の軽便鉄道にさかのぼる。この時代はまだ道路も自動車も未発達で、全国の地方都市に軽便鉄道(小型の機関車による鉄道)や、電気事業とセットで電車(路面電車)が建設されていた。福島市内と近郊を結ぶ路線が建設され、それらが合併したのが福島交通の前身である福島電鉄となった。全盛期の1960年台には5路線あったのが、飯坂線以外は採算悪化で1971年には廃線、路線バスへの転換されている。その中でも上述の阿武隈急行線の保原や梁川方面への路線を持っていた。それもあり阿武隈急行線の設立の際、福島交通は当初参画に否定的だったとのこと。

福島と飯坂温泉間12駅、9.2kmを23分で結ぶこじんまりとした路線。基本的に単線で、いくつかの駅で行き違いができるようになっている。運行頻度の1時間に2本、ラッシュ時には1時間4本にまで増発される政令指定都市でない地方都市の電車としてはかなり頑張っていると思う。

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福島駅は阿武隈急行線と同じホーム。

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隣の曽根田駅1942年で飯坂線現存最古の駅舎。現在のJR駅隣接になる前はここから福島駅まで路面電車として乗り入れていた。

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途中の美術館図書館前駅まで東北本線と並走していて、そこから東北本線の上をクロスして県道と並走する。

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県道と並走しているので、交差点と踏切が一体化している。窓から見ていると曲がりたい車が道路の往来をブロックするし、場所によっては遮断機もないいわゆる勝手踏切が連続する。

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飯坂温泉手前で花水坂という坂を上っていく。

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車両は東急のお下がり1000系の改造車。いいざか線から、いい電-GOOD TRAINの愛称がつけられている。車内は飯坂電車のキャラクター、うさぎのももりんに、温泉のれんまでついているファンシーな内装。

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ひとつ前の世代の東急7000系も桜水駅の車庫に留まってました。

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終点は福島の奥座敷と呼ばれている文字通りの飯坂温泉。江戸時代には温泉地として開拓されており、松尾芭蕉が奥の細道でも訪れている。与謝野晶子や正岡子規など俳人、ヘレン・ケラーは3度の来日で2度滞在しているらしい。戦後には昭和天皇まで逗留された由緒正しい温泉らしい。

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温泉に来てはいらないわけにもいかず、朝8時台とかなり早かったものの共同浴場はオープンしてるのがありがたいね。今回は飯坂温泉駅から徒歩30秒と乗り鉄に優しい波来湯。乗り継ぎの関係から40分くらいの滞在時間でも少しは落ち着けましたね。300円と安いのもありがたいし。源泉は48度、そのままかけ流しされてるのと、冷まして丁度良い湯加減にされている2つの浴槽がある。48度の方はあちあち言いながらゆでだこになるのも粋かな。

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温泉むすめの飯坂真尋。

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